126-偽物の海とダイビング
翌日。
カル達は、PORSの中にある擬似ビーチに来ていた。
このビーチの存在についてカルは、「惑星に降りて泳げば良くない?」と思っていたのだが、インターネットを使って調べると、意外な事実が判明した。
『グラームⅡプライベートビーチ レビュー:★★☆☆☆』
『意外と潮の匂いってのがキツかった』
『日差しって何なんだよ、肌が痛い。日焼けクリームってのが必要らしい』
『プールと違って、海は足が立たないんですね』
この世界の宇宙に住む人々は、地上の暮らしには絶対適応できないということを。
カルはその事実をもって知ったのであった。
「潮の匂いもないし、海水は温水だし...完全に砂浜付きプールで合ってるなぁ...」
文句を言いつつ、カルはビーチチェアに腰を下ろす。
室温は自由に設定でき、ちょうど良いくらいで固定してリラックスする。
「主人、この水...塩辛いですね」
「そうなの!? そんな所だけ...」
ファイスは犬かきで泳ぐが、体積とバランスの関係からすぐに沈んでしまう。
少し奥まった場所の水底には、ダイビング用の穴が用意されている。
「あの中が気になりませんか?」
「ダイビングね...そういえば、専用の装備が入り口にあった気がする」
ファイスは即座に海から上がり、ダイビング用の装備を抱えてくる。
それに、ドリンクコーナーでトロピカルジュースを飲もうとしていたアリアが反応した。
「私も泳ぎたい...です!」
「大丈夫かな...」
「救命用のドローンもあるようですから、試してみるのはどうでしょうか」
という事で、カル、ファイス、アリアはそれぞれ潜水服を着用する。
完全防水圧の優れ物であり、卓越した科学技術を感じられるものである。
『じゃ、行くよ』
『はい!』
通信機でやり取りししつつ、三人は深く潜水する。
ダイビング用の穴に入り込むと、その先は何本もの穴に分かれるハブのような場所につながっていた。
『どちらに行きますか?』
『あっちに行ってみよう』
カルたちは、その中で、縁が赤く光る穴へと入り込んだ。
しばらく、照明が点灯している通路を進むと、見慣れた場所に出た。
『食堂に繋がってるんだ』
食堂にあった水のパイプを、カルは不思議がっていた。
だが、実際に繋がっていたことで、その疑問は解消された。
『あんまりいい目的に使われてなさそうだけど』
『ケインがまた食べておりますね』
良くない想像をするカルの横で、ファイスがつぶやく。
ケインは食堂で、毎日好きなものを食べまくっていた。
『ちょっと同じメニューを出し過ぎたかも?』
『......でも、それなら嫌って言うんじゃないですか?』
アリアがそう口にした。
全員はそれに納得し、ケインのそれは温泉旅館に行った時の子供のようなものだとカルは一人で勝手に納得した。
『上がるよ!』
『ええ!』
三人は垂直の水路を上昇し、今度はスパリゾートにあった水パイプに出た。
『誰もいないね』
『いえ、一番奥のシャワーに誰か入っています』
『....多分、ノルスかな?』
カルたちは曲がりくねった水路を進み、元のハブに出てきた。
『どうする?』
『お風呂に行きませんか? 身体も冷えてますし....』
『賛成です』
アリアの言葉で二人も頷き、海から出るのであった。
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