125-リゾート生活
楽しいリゾート生活は、何より自由な事が筆頭に来る。
スパリゾートエリアには、温泉、大浴場、プール、そして、擬似海水面を再現したビーチもある。
カルはここを充分に活用し、大浴場でサウナに入ったり、ジムでのトレーニングで張った筋肉を、温泉で癒したりしていた。
「あ、ファイス」
「主人」
共同サウナに入ったカルは、ファイスと鉢合わせする。
「どう? ここの使い心地は」
「最高です。湯船に浸かれるお陰か、毛の一本一本まで洗浄できるので...」
「それは良かった」
カルは安直に温泉付きで決めたため、仲間たちがそれに納得しているか少し不安だったのだ。
「他の皆は?」
「あまり出会わないですが...ノルスはスパリゾートにはあまり来ませんね」
ノルスはクローリア星人だが、クローリア星人は水に触れると防御反応で体液を出してしまうため、風呂エリアにはあまり立ち入らないのだ。
体を洗う事はするが、シャワーで済ませることが多いのはカルも知っていた。
「彼は特殊だからね」
「あとは...アリアはプールが好きなようです」
「そうなんだ」
アリアは主に、最下層のプールで泳いでいることが多い。
カルはそれを知らなかったが、肉体と精神年齢が同じなのはアリアだけだ。
そういったものの方が楽しいのだろうと納得した。
「そういえば、ケインを見ないね」
「そうですね、どこにいるのでしょうか」
ケインは食堂で好き放題しており、夕飯が食べられなくて怒られるのだが...
まだ彼女らはそれを知らない。
「はぁ......もう15分か」
「出ましょうか」
サウナに長時間の滞在は危険だ。
特に毛のあるファイスはきついと思い、カルは彼と共にサウナを出る。
「あー...さっぱり」
「そうですね」
水風呂に入り、熱を落とす二人。
健康的に害がないよう、水風呂自体の温度も調整される仕組みではあるが...少し吃驚したカルとは違い、ファイスはなんて事ないような顔で浸かっていた。
「ファイス、何分入ってたの?」
「40分ほどです」
「...」
カルは唖然とした表情でファイスを見た。
ファイスはそれに「?」といった顔で返したのであった。
カルはサウナのプロセスを数回行ったあと、休憩する為に休憩エリアへと向かった。
電子書籍を自由に読めたり、軽食を頼めるそのエリアには、既に先客がいた。
「シトリン」
『これは失礼しました。少し、景色を眺めて居たのです』
窓の外には宇宙ではなく、どこまでも続く青空の映像が映っていた。
宇宙に住む者にとっては、青空は地上に住む人間たちの視点よりも美しく映るものであり、そして同時に、心の癒しを求める場所でもあった。
「どうだった?」
『分かりませんでした。この目には、結局分析結果以外は何も...』
「それでいいと思う。目に映ったものについて何を考えるのは、その人の自由だから」
『そう...ですね』
カルはドリンクコーナーでスポーツドリンクを注文すると、
それを飲みつつ快適な温度に保たれた部屋でリラックスする。
『艦長の為に、何冊か書籍をピックアップしておきました』
「ああ、ありがとう」
カルは携帯端末を取り出して、ホログラムの電子書籍を読み始めた。
その内容は、ほとんどが物理学や体術理論などの難解なものだ。
『艦長はいつも、自己研鑽に忙しいのですね』
「うん」
『何のためにですか?』
「お兄ちゃんのために。私が努力し続ける限り、お兄ちゃんは私を見捨てないから」
シトリンはもう少し遊んでもいいのではないかと言おうと思ったものの、カルがそれ以上話を続けたくないということを察知し、押し黙った。
『そろそろ夕飯のお時間ですね』
「あ、そうか」
そして、カルとシトリンは席を立つ。
夕飯の時間だけは定めてあり、その時間だけは全員で食事をすることにしたのである。
だが、二人はまだ知らない。
ケインがどれだけ好き勝手しているかを...
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