123-グラーム星系
簡単な別れを済ませた私達は、ジスティアン・コンステレーションを離れた。
アドアステラの旅程は、ネセト→ノクシアテール→オルゴラス→ハルダラ→フォダス→クラリナ→グラームとなる。
オルゴラスとハルダラはローセキュリティ地帯だったが、大して襲われる事もなく通過した。
そして。
ようやくアドアステラは、グラーム星系へと到達した。
「今回は何もありませんでしたね...」
「ああ、だが...それが一番いいだろう?」
「ええ」
私とファイスはそんな会話を続ける。
そこにノルスが割り込んできた。
「艦長、エンジンノズルの調子が少し変ですね。どこかに入港したら、チェックを行いたいです」
「分かった、頼む」
「はい」
アドアステラの得意分野は機動戦だ。
エンジンが使えなくなったら困るので、私はノルスにエンジン関連のチェックを任せている。
『艦長、船の数が多いですね』
「ああ」
殆どは旅客船だろうけれど、そのほかにも様々な船が飛び交っている。
そして、郷に入っては郷に従えとの言葉通り、私たちにもやる事がある。
「傭兵ギルド所属、アドアステラ。七番ステーションへのドックインを申請する」
『こちら管制塔、第七ステーションへのドックインは許可できない。代わりに第四ステーションへ誘導する、第四十二番出入り口から入港せよ』
「了解。ありがとう」
人の多さ故だろう。
管制塔に申請しつつ、慎重に艦を操作する必要がある。
旅客船は大抵第一ステーションに停船するが、私達は比較的空いている第四ステーションへと案内された。
そこまでワープして、ステーションの前へと現れる。
『こちら管制塔。ガイドビーコンを出すため、そちらに向かって入港願う』
「了解」
アドアステラは、ステーションの大量にあるドックポートの一つに向かって前進する。
ワープ位置的に入りづらい場所ではあったが、アドアステラの機動力ならば関係ない。
無事にドックインし、ガントリーで固定されるのを待つ。
『ようこそ、グラーム星系へ』
「観光支援ネットワークにアクセスしたいのだが、やり方を教えてくれないか?」
『それでしたら、こちらのコードをナビゲーションシステムに入力してください』
「ありがとう」
私はナビにコードを入力して、観光支援サービスにアクセスする。
数秒でサインアップとログインが完了し、私たちの観光ガイドが表示された。
「最初はどうされるのですか?」
『とりあえず、ここで三時間ほど休憩。その後、グラーム星系のラクトンホテルに連絡を取って、予約したPORSに向かうぞ』
PersonalOwnedResortStation...略してPORSだ。
なんでも、空白地帯に視認不可能な間隔で並んで浮いているらしい。
既に予約は入れてあるが、一度チェックインを済ませないと入れない。
「というわけで、ノルス。エンジンノズルのチェックを頼む。ファイスも付き合え」
「はっ」
ノルスはエンジンノズルのチェックに出た。
流石に修理となると三時間では済まないけど、確認くらいなら一時間程度で終わるはずだ。
『艦長、マーケットの遠隔購入システムで購入して、日用品を輸送しておきますか?』
「...頼む」
『はい』
向こうにも遠隔注文配達システムはあるけれど、ルームサービスと同じで割高なはず。
だから、日用品や食材類も買っておこう。
「そういえば、ゴールドランクになったから、次ギルドに行った時に更新作業をしないといけないな」
ゴールドランクになると、様々な特典を受けられるようになる。
要は、有象無象から独立し、漸く傭兵ギルドから信頼のおける人物になったという事だ。
傭兵ギルドの上位企業『エンフォース』からの依頼を受けたり、指名依頼などを見たり、後はギルドに赴かなくとも依頼を受けたりできるようになるそうだ。
後、ゴールドランクのホロイメージを投影できるようになり、名刺がわりに出来るようだ。
プラチナ、ダイヤ以降はもっと増えていくらしい。
「アリア、折角だから何か買うか? 配達品と一緒に届けてもらえるが」
「あ....じゃあ、これお願いします!」
アリアは、デラックススイーツカプセルという商品を転送してきた。
何でも、タブレット形式で味はスイーツを楽しめるというものだ。
「......普通にスイーツを食べたほうがよくないか?」
「その、あんまり食べると、体重が.....」
ああ。
アリアは私たちマッスルマッスル! トレーニング! トレーニング! 組とは違い、読書大好き、スイーツ大好きな、普通の子だ。
「.....トレーニングでもするか? それなら、むしろ毎日スイーツを食べないと体重が維持できなくなるくらいには鍛えられるぞ」
「本当ですか!?」
「ただし、最初は死ぬほど苦しいが」
「えっ.....」
ファイスがもともとの膂力に加えて、突っ込んでくるトラックも真正面から受け止められるくらいになるレベルになるためには、当然厳しいトレーニングが必要になる。
「......やります。私だって、ご主人様のために戦いたいです」
「分かった。軍用ロケットランチャーを撃てるくらいにはしてあげるよ」
私はカルではなく、流歌として。
アリアの未来に責任を持つのだった。
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