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異世界の宇宙に船ごと転移しましたが、お兄ちゃんのいない宇宙には住めないので、お兄ちゃんを探す事にしました!〜男装ブラコン少女の宇宙冒険記〜  作者: 黴男
シーズン4-スリーパー防衛編

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115/272

115-素 顔

こうして、ネセト星系は奪還された。

私たちの艦隊は、そのままアルカのスターゲートを潜り、陣地を構築する....はずだった。

しかし、アルカ星系は少し様子が違うようだ。


「アルカ星系のステーションと連絡が取れたが、どこも全く問題がないようだ....ただし、待ち伏せにあって艦隊は大体全滅している」

「つまり、この星系は占拠されていない?」


私は疑問に思った。

奴らの法則に従うなら、この星系にもあるステーションを巣として潜伏する筈。


「いや....全く分からない、そもそもこの星系のスリーパードローンがどこに集結しているのかも分からない」

「それで」


私はとりあえず疑問を棚に上げて、尋ねる。


「どうして俺は、お前と食事をしている? 仲間はどこへ?」

「お前の仲間たちは、豪華な戦勝ビュッフェスタイルのディナーにご案内した」

「俺もそちらに行きたいのだが?」

「惑星環境下で作られた超自然食材のフルコースに、何か文句でもあるのか?」


この世界では、惑星環境下で無農薬栽培された野菜や無調整環境下で育った畜肉、魚介類は超高級品だ。

私の収入でも、毎日三食食べてたら一瞬ですっからかんになる。


「どうして、俺をここに?」

「勝利の英雄様が、あの中に現れれば確実に食事など落ち着いて楽しめないぞ?」

「そうか」


私は運ばれてきたプレートの上の料理を見る。

一般的な料理のように思えるが、素材が高いんだよね。


「......」


暫く無言で食事を続ける。

というか、久々にトマト味以外の料理を食べたような....

トマト風の何かの缶詰の備蓄だけは、三か月分くらいある。


「ジスト星系は研究機関が多いからな、培養肉や人工肉の種類も多い。だが、結局は本物の肉には勝てない....面白いと思わないか?」

「感情の問題だろう、培養肉の素材は自然素材の畜肉だし、人工肉はバイオテクノロジーによる肉に遥かに近いものだ、味も風味も、食感も変わらない」


私の回答に、シラードは暫く食事の手を止める。


「つまりは、物の価値とは結局人間の感覚によるものだと?」

「貴族様は、こういう話は不快か?」

「いいや、面白い視点だと思ってな。こう贅沢を続けると、高級とはどのようなものかと悩むことも多いんだ」

「そうか....」


私はシラードの意図が掴めず、スープに手を付ける。

その時。


「お前、女だろ?」

「.....!」


唐突にシラードが、核心をついてきた。


「...いきなり何を」

「たまに通信で、声が変わるから疑問に思ってたんだよ。こうして何度か招いて動きを見たが、流石に綺麗すぎる」


観察されていたのか。

道理で、ディナーに招いたり私的に話したりするわけだ。


「で、どうする? 俺の正体を喧伝するか?」

「いいや? どうせお前のことだ、女だとナメられるとか、面倒が多いとか思って隠してるんだろ?」

「そうだが....一番の理由がある」

「ほう、聞こうか」


シラードの意表を突くため、私はとある理由を語る。


「かっこいいからだ」

「へぇ....ッ!?」


シラードの意識が一瞬そちらに向いた瞬間、私は椅子を蹴倒して銃を抜く。


「俺をやる気か?」

「アレンスターにも続き、貴族というのは本当に面倒だ、どうしてわざわざ隠しているものを引き出したがる?」


男が女性に向ける視線は、とても嫌なものだ。


「あぁ、俺がお前をエロい視線で見るとでも言いたいのか?」

「勿論」

「俺はそんなに趣味の悪い男ではない」

「......そうか。ならいい」


私はニケをしまう。

その時、扉が開いて衛兵が入ってきた。


「シラード様、如何いたしましたか!?」

「いや、大したことではない。俺が彼に失礼なことを言ってしまっただけだ」

「....そうですか、失礼いたします」


衛兵は去っていく。

その背を見送る私に、シラードは言った。


「俺は趣味の悪い男なので、男装してまで日の目を見るお前に興味があって、少し驚かせてやりたかっただけだ。済まない」

「こちらこそ、銃を向けてしまった。貴族にするべき行為ではなかった」

「顔を見せてくれたら、不問にしてやってもいいぞ?」

「仕方ない.....」


その日、私の顔を知る者が一人増えたのだった。


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