113-混戦
敵陣に飛んだ私たちは、アドアステラを旗艦の背面にあるステーションへと向かわせる。
そのステーションだが...様相はとてもではないが、私たちの知るものではなかった。
「凄いな...」
『熱源が不安定です、これは...生体反応に近いものと思われます』
シトリンが漏らす。
ステーションからは、配線が触手のように飛び出し、内部の機械などは謎の光る液体を帯びていた。
生命反応はあるが、救出は望めなさそう。
『敵の総数を確認。小型艦クラスが321、中型艦クラスが81、大型艦クラスが31、旗艦級クラスが1存在しています』
「数が多いな...!」
幸いにして、援護と盾役は存在している。
更に、
『センティネルは旗艦級母艦ではあるが、殲滅兵器を搭載している、現在それを準備中のため、時間稼ぎを頼みたい!』
旗艦級戦艦と旗艦級母艦では、戦場における戦力は四段階くらい違うそうだが、旗艦級戦艦にしか本来積めない兵器を、センティネルはカーゴスペースの大幅な削減による機関出力増加で無理やり積み込んでいるようだ。
某宇宙戦艦のように、撃った直後の隙があるためそれを無くすための出力強化であり、決して撃つのに出力が足りないわけではないようだが。
「シラード、こちらにキルゾーンの情報を共有しろ、指定時間までにそちらを離脱する!」
『了解だ、今そちらに送った!』
『データを受信、上部モニターのレーダー共有に同期します』
アドアステラを加速させ、ドローン艦隊の陣中へと飛び込む。
今回アドアステラが狙うのは、敵の旗艦ただ一隻。
シールドさえ破壊すればこちらの勝ち。
「敵の攻撃をすり抜ける、総員衝撃に備え!」
アドアステラは慣性制御がしっかりしているため、この程度で揺らぎはしないが、一応の事態に備えて警告はしておく。
第一次改修で、アドアステラには更に多くの機動用小型スラスターが取り付けられており、これまでより無理な機動が取れるようになっている。
「CJD起動!」
アドアステラはバレルロール機動を取りながらジャンプし、敵旗艦の斜め前に躍り出る。
ジャンプによる副作用で視界が明滅するが、健康に影響はない。
私はそのまま、ドローン旗艦の背後に回り込む。
『ターゲット完了、砲塔を敵旗艦に向けます』
「順次攻撃開始せよ」
近接信管の収束弾頭スマートミサイルと、近距離用の高出力化クリスタルを使用したレーザー、同様のクリスタルを装備したパルスレーザーによる斉射が、スリーパー旗艦を襲う。
だが、破れない。
流石に大型艦、普通のスリーパードローンとは耐久力が段違い過ぎる。
『敵に捕捉されました』
「CJD起動、次の射撃後に離脱する!」
モジュールやサブシステム系を一切起動していないので、このまま撃たれると溶ける。
私はアドアステラを再度離脱させ、第二の副作用に耐えつつ次の接近の隙を探す。
「主人、大丈夫ですか?」
「無論だ」
内部構造は不明だが、このマスクはCJDによる疲労を抑えてくれる機能があるようだ。
ノーマスクの時だと、一回目の時点で既に吐いてしまった。
とはいえ、どこまで耐えられるかはわからない。
『再突入ルートを試算します』
「了解。ファイス、電子戦カーネルを起動」
「ハッ! 電子戦カーネル起動!」
私は暗闇を裂く無数の閃光を回避するように動きながら、群がってくるドローンを撃墜するのだった。
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