表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

103/272

103-『オマエノ ノゾミハ ナンダ?』

片腕を失ったカナードだったが、その動きはほとんど変わらない。

カルは防戦一方であり、ファイスはコンバットバトンを捨て、その膂力でカルのサポートに回っていた。


「無駄! 無駄! 無駄だっ!!」


カルは弾き飛ばされ、ファイスは地面に叩きつけられる。

左腕の骨が折れているために、うまく受け身が取れないカルは、地面を転がることで衝撃を分散する。

だが、勝機は全く見えない。


「無駄なことはやめたらどうだ!」

「無駄ではないから、やめる気はないな!」


カルは再び、カナードの足元を銃撃して配管を破壊。

カナードはその勢いを受けて吹っ飛ばされた。


「やるね――――だけど、見えているよ!」

「くっ!」


動体視力すら上がっているカナード相手に、カルは難なく捕らえられる。


「まったく.....不意を突かなければ武器も効かないというのに、よく頑張るね――――君は」

「不意さえ突けばいいんだろう?」

「もう突くことさえできないだろうね」


カナードはカルの首を握り、持ち上げる。

いかにカルが常人ではありえない技量を持っていようとも、重機並みの力で首を絞められれば、ただ死に向かうしかない。

だが。


「貴様あッ!!」


ファイスがカナードに組み付き、その強靭な咢でカナードの肩に噛み付いた。


「.....痛いじゃないか」

「くっ.......!」


カルは苦し気にファイスを見る。

牙がほとんど通っていない。


「お前は.....それで.....いいのか?」

「構わないさ」


最早どんな言葉もカナードに届かない。

つまり、挑発して抜け出すことは不可能。

そう判断したカルは、その場でマスクの解除スイッチを押した。

マスクが解除され、カルの顔が露になった。


「え.....君は......!」

「ハァッ!!」


折れた左腕を無理に動かしつつ、カルは再び至近距離でのカルセールを放った。

最後の一発であり、これで倒せなければ――――


「お......驚いたよ......君は女性だったのか」

「......っ」


避けられた。

カナードは撃たれた胸を再生させていく。

狙っていた腕に当たらなかったのだ。

カルはカルセールを優しく仕舞い、傷む腕を抑えて立ち尽くす。


「それで、私は可愛いかな?」

「勿論.....と言いたいところだけどね、見慣れない民族だからかな.....僕には少しわかりにくいところではあるよ」


会話は続いているが、カルの焦りは最高潮に達していた。

自分は負傷し、ファイスの力をも超越したカナード。

カルセールはエネルギー切れ、ニケではカナードに傷を付ける事はできない。

アドアステラの砲撃では、この研究施設まで砲撃は届かず、外部からの援護も期待できない。

背後にいるアラッドすら、生きているかどうかも分からない。


「............ちなみに、降伏すると言ったらどうなるかな?」

「勿論、命だけは助けてあげるよ。そこの犬コロと混ぜて獣人にしてあげようか?」

「.....」


勿論、そんな事をされたなら....兄に不気味だと思われるに違いないと、カルは冷や汗を流す。


「兄に嫌われそうだね、それは....」

「安心していいよ。君の兄とやらも、いずれは僕の作った兵器で死ぬんだ」

「死ぬ?」


カナードにとっては、今までの会話と同じノリで発した発言だったのだろう。

だが、返ってきたのは――――地獄のように冷たい声だった。


「何も間違ったことはないだろう? 君の兄だって人間に過ぎないんだから」

「お兄ちゃん、はぁ......!! 死なないッ、絶対に!」

「無駄だと、言っているだろう?」


カルは理性を失ってニケを連射するが、そのうちエネルギーが切れる。

カナードには一切の傷がない。


「いい反応を見せてくれたよ」


直後。

カルは不思議な感覚を味わった。

自分に向かって肉薄してくるカナードが、ゆっくりとした動きになり始めたのだ。


「――――?」

『オマエノ ノゾミハ ナンダ?』


視界が白く染まり、再び”あの声”がカルの耳に届いた。


『オマエノ ノゾミハ ナンダ?』

「強くなりたい――――お兄ちゃんを守りたい.......仲間たちを...悲しませない力が欲しい!!」


そして。

カルの声を聴いたナニカは。


『ソンナコトデイイノカ』


と、不思議そうに尋ねた。

だがカルは、迷わなかった。

直後――――


『ナラバ、授ケヨウ――――何ヨリ、大キナ”力”ヲ――――!!』

「うぉおおおおおおおおおお!!!」


カルは慟哭した。

それに頼らなければ打破できない現状を。

そして――――不甲斐ない自分に向けて。


「――――さようなら」


時が動き出す。

カナードが振り上げた拳がカルに迫り――――


面白いと感じたら、感想を書いていってください!

出来れば、ブクマや高評価などもお願いします。

レビューなどは、書きたいと思ったら書いてくださるととても嬉しいです。

どのような感想・レビューでもお待ちしております!


↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ