表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

102/272

102-正道か、邪道か

「”頭”が高いッ!!」


カルセールの射撃を、カナードは左手で”受け止め”た。

貫通するはずだ。

カルとファイスはそう思った。

だが――――カナードはそれをゆっくりと押し留め、握り潰した。


「.....!」

「こんなちっぽけなエネルギーで、僕を倒せるとでも?」

「....」


カルは内心、焦った。

カルセールが通じなければ、肉体のスペックで勝てない以上カルに勝ち目がない。


「どこを見ているんだっ!?」

「ぐっ!!」


カナードがカルの眼前に現れる。

振るわれた拳を、カルは片手でパリィする。

受け流された衝撃が腕を伝って地面に抜け、周囲の床が砕ける。


「ガァアアアッ!!」


背後からファイスが、コンバットバトンによる突きを放った。

だが、


「あ、有り得な――――ゴァッ!!」

「ケモノ風情が!」


ファイスの膂力と、驚異的なカナードの防御力。

鉾と盾がぶつかり合い、鉾が負けた。

ファイスの右腕のコンバットバトンが砕け散り、カナードの後ろ回し蹴りを受けたファイスは吹き飛ばされる。

続いて、カナードはファイスを始末しようと動くが、カルがその足を引っかける。


「そうはさせん!」

「ハッ、考えが甘い!」


カナードを投げ飛ばそうとしたカルだったが、腕を掴まれて地面に叩きつけられる。

嫌な音がして、カルはその場に蹲った。

受け身を取れなかったのだ。


「どうだい? 僕の身体強化は。君の長い長い努力なんて、何の意味もない。君が何万年努力したって、たった数十年努力した僕には敵うわけもない」

「それが....正しい道だと.....」

「思っているさ。誰しも、歩んだ道が必ず正しいわけじゃないだろう?」


カルは折れそうだった。

自分の道は間違っていたのか? と。

だが直ぐに、立ち直る。

ここで負ければ、ファイスたちが。

失いたくないと思ったものを失ってしまう。

それに。


「力には責任が伴う。何の努力もなく得た力は、その責任に見合うものではない」

「僕に勝てないというのに、君は何を言っているんだい?」


カルは絶対に退くわけにはいかない。

努力すれば認めてもらえるのは、兄が教えてくれたことだ。


『努力は、必ず認められる。何故なら、この世の99%がお前の努力を妬み、認めないとしても。1%は賢者であり、お前の努力を素直に認めるからだ』


カナードは今まで、99%にしか出会えなかった。

けれど、世界のどこかには流歌を認めた兄、新輝(シンキ)のように。

必ず1%に出会えると教えたかった。

もしくは、出会った1%を無視していることを。


「ハァ!!」

「ぐ......捕まえたぞ!」


降りぬかれた拳を、カルはぎりぎりで躱して掴み、投げ飛ばそうとする。

だが、


「無駄だっ!」


膂力と体幹が違いすぎる。

カルはそのまま上に放り投げられ、宙を舞う。


「空では何もできないだろう!」


跳躍してきたカナードに対して、カルは腕を組む。

だが、その防御を貫通するように、強大な脚撃がカルを襲った。

その恐るべき威力の蹴りは、カルのパワードスーツを貫いて腕の骨を折り、カルを地面に墜落させた。

そこにカナードは、嬉々として突っ込んだ。


「死ね、努力バカが!」

「この距離なら身は守れないな!」


そして。

カルはゼロ距離からカルセールを放った。

大爆発が巻き起こり、今度は逆にカナードが吹き飛ぶ。

その左腕がカナードの肩から外れ、傷口から血が噴き出した。


「......一体、その武器は何なんだい? 君の努力よりも強いじゃないか」

「さあな」


カルはカルセールを仕舞い、慎重にカナードとの距離を取った。

カナードもまた、その驚異的な再生力で腕の血を止めた。

腕が生えるわけではない事を、カルは知る。

だがそれは、何の有利にもなりはしない。

再び、進展のないまま戦いは続くのだった。


面白いと感じたら、感想を書いていってください!

出来れば、ブクマや高評価などもお願いします。

レビューなどは、書きたいと思ったら書いてくださるととても嬉しいです。

どのような感想・レビューでもお待ちしております!


↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ