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異世界ざまぁの魂

 異世界で・・・。

 

 女神はぐっと揺らぐ心を押し殺す。

「ならば、ここは見届けましょう。魂の行方を」



 ざまぁ帰りにやられる※夜話#7


「セーラ・フランシーヌ伯爵令嬢この日をもって婚約破棄を言い渡す」


 ジョルジュ王太子は舞踏会の宴もたけなわな時を見計らい、堂々と皆の前で宣言しましたの。

 とんだ赤っ恥~かかされましたわ。

 アタシセーラはナロウ・デ・メロウの異世界の絵に閉じ込まれてしまい、この世界の住人となってしまいました。

 あとで記憶を思いだした時は、もうすでに時は遅しですわ。

 アタシは伯爵家の令嬢として、今、婚約破棄された絵の中で仲睦まじく踊っていたジョルジュに婚約破棄されましたの。 


 この瞬間、王太子の妻の座は剥奪されることになりました。

 まぁ、別にいいけど。


「理由を聞かせていただきたいですわ」


「よくも、いけしゃあしゃあと!我が愛しのアンヌ嬢に、傍若無人な振る舞いをしたではないか」


「見覚えがございませんわ」


「しらばっくれるなっ!セーラ、証拠はあがっているんだ!」


「ほう、どんな」


「アンヌ嬢をひっぱたいたそうだな」


「それは蚊がいましたから」


「では、先月の父上のバースデー舞踏会のさい、ワインで彼女のドレスを汚したな」


「それは、手がすべっただけで」


「黙れっ、他にも山ほど彼女にした狼藉があるぞ」


 アタシには正当な理由がある。

 毅然とした態度で、あの方に接します。


「あなたに悪い虫がつかないようにする為じゃない。それが妻となる者のつとめジョルジュ、そうではなくて・・・」


 私は堂々平然と言い放ちました。

 しかし、彼は苦々しい顔を見せ大袈裟に首を振ります。


「もうよい!お前の腐った性根など聞くに値せん。アンヌ」


「あい」


「この場にて宣言す。我はアンヌ・テリーヌ子爵令嬢を次期婚約者とすることに決めた」


「ちょー嬉しい」

 

 あのアバズレが、王太子に抱きつきましたの。

 ムカつくわね。


「よってセーラ・フランシーヌ伯爵令嬢は、婚約破棄に処す。さらに王太子婚約者アンヌに対して、これまでの非道な振る舞いに対し、罰としてフランシーヌ屋敷への幽閉、王直属隊の監視下におくことにする」


「ずいぶんですわね」


「話は終わった。セーラよ即刻この場より立去れ」


「・・・・・・」


 私は唇をぎゅっと固く結び王宮を後にしました。


「許さない!」


 アタシは固く誓いました。




 ある日、王太子は貴族仲間と狩りへと出かけました。

 私はこの好機を見逃しません。

 ふふふ、ジョルジュあなた知らなかったでしよう。

 我がフランシーヌ家は代々あなた方王家の影となり働いてきました。

 政敵に仇なすもの、皆々すべて闇へと葬ってきました。

 アサシン・セーラ。

 それが私の真の名前。


 王太子は、仲間たちと狩りを楽しんでいました。

 ふふふ、呑気なものですわ。

 じっくりと物陰に潜み、私は復讐の機会を待ちます。

 まだまだまだ。

 やがて狩りは大成功に終わります。

 うかれた貴族たちは、早駆けで城に帰ろうと馬を走らせます。

 木陰に隠れた、私は小さなポワニャール(短剣)を王太子の馬の尻に投げつけました。

 ヒヒーン!

 馬は驚き、王太子を振り落とします。

 もんどりうって地べたに落ちた王太子を、仲間たちは、次々と笑いながら、我先へと駆けて行きました。

「ちょ、待てよ!くっそ~」

 王太子が立ち上がった瞬間、私は彼の背後に回り込みました。

「ごきげんよう。ジョルジュ」

「お前は」

「そうセーラですわ」

「なっ、何を一体!」

「あなたのアタシへの裏切りビュニシオン(罪)は重いですわ、よってエグゼキュシォン(処刑)しますわ。御免あそばせ」

 私はアサシンラム(刃)を愛しき男へ突きたてた。

「やめろっ!ゆるしてくれっ!おねがいだっ!」

「サヨナラ、私の初恋。永遠のセバラシオン(別れ)」

 斬撃と悲鳴とともに。



 王太子は青空を仰ぎやがて視界を失った。


 血まみれのセーラはジョルジュの首を抱きしめ、森の中へと消えて行った。


 その後、森の廃城に住まう赤の女王伝説が、まことしやかに囁かれるようになった。

 かの城に近づく者は、首無しの騎士に襲われ、城に入れば赤の女王に命を奪われる。

 ・・・・・・。

 そんな怪談じみた話を。




「いい加減にしなさい!私の与えた魂」

 女神は怒りを露わにし手に持った聖杯をぶちまけた。

 


 セーラはざまぁする。

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