ナルさんとスキンシップ
ナルさんの所へ行くと、ナルさんは常に歓迎してくれる。
寝ていても、起きてきてお出迎えしてくれるレベルである。
若い頃は、尻尾を千切れんばかりに振り、飛び掛かってきて、うれションしていたが、
最近は、お年を召したので、
尻尾を振るのみである。
ただし、暫く会えない日が続くと、
尻尾の振り方が、パタパタからパタタタタッに変わり、飛びかかってくる。
なんかありがとう、ナルさん!!
そんなナルさんは、柴犬には珍しく頭を撫でられるのが大好きである。
撫でられると気持ち良いらしく、
目を細め、「もっと撫でて」と頭を手に押し当てに来る。
「もっと」「もっと」とやっている内に、ナルさんは気が付くと空を仰いでいる。
また、ナルさんは、他の犬と一緒で、喉を搔かれるのが大好きである。
喉を搔いていると、口角を上げて笑顔になり、
「もっと搔くのだ」と言いたげに、喉を押し出してくる。
結果、「もっと」「もっと」とやっている内に、気が付けば、やはりナルさんは空を仰いでいる。
さて、そんなフレンドリーなナルさんだが、抱っこは基本的に拒否る。
こういうところは、さすが柴犬である。
抱こうとする気配を察知するやいなや、ナルさんは体重を落として身構え、
そこから近付こうものならダッシュで逃げてゆく。
こうなると、もはや抱っこは不可能である。
そればかりが、
逃げるナルさん→追いかける私→逃げるナルさん→追いかける私→逃げるナルさん
という単なる追いかけっこに種目がチェンジする。
それはそれで、何故かナルさんは楽しそうなのだが、私がしたいのは抱っこである。
抱っこの極意は、自然体でナルさんの横に佇む事から始まる。
もしもこの時、少しでも欲望を出そうものなら、ナルさんは即刻逃げる。
そう、まず抱っこには、無の境地に立つことが要求されるのだ。
そして、ナルさんの様子をひたすら伺い、
ナルさんが安心しきった時を狙いすまし、
一気に、ぐわっと抱き上げる!
これが唯一無二の方法だ。
さすれば、ナルさんは諦める。
「もぅそんなにやりたいなら好きにしろよ」とばかりに不動と化す。
ここまでくれば、もはや私の勝利である。
抱っこしたまま、暫く高い高いをして心のままに楽しむ、私。
運動不足の腕と足が悲鳴を上げるまで、とにかく回ってみたり持ち上げたりしまくる。
因みに、ナルさんを一度地面に下ろすと、警戒心が上がっているため、二度目は永遠に来ない。
読んで頂き、ありがとうございましたm(_ _)m