ナルさんとオヤツ
ナルさんの所へ行く際、私は鹿肉のオヤツを持参している。
ただの鹿肉フードではない。
ナルさんの身体に良い漢方が練り込まれたものだ。
最初は普通にあげていたのだが、
某ドックトレーナーさんの本を読んだ影響で、今はゲームを取り入れている。
右手と左手を同時にナルの前に出し、「さぁ(オヤツが入っているのは)どっちだ?」とやる簡単なゲームである。
というわけで、
袋から鹿肉フードを少量だけ取り出す。
ナルさん歓喜!
目が急に輝き出し、そわそわし出すナルさん。
次に、ナルさんを正面にして、両手を背中に隠し、
フードを右手に仕込むか左手に仕込むかを検討する。
する…と……
ナルさん、私の背後にダッシュ!
待てコラ。
それは反則だぞ、ナルさん!!
逃げる私→追いかけてくるナルさん→逃げる私→追いかけてくるナルさん→逃げる私…
………ぜぇぜぇ。
ここなら来られまい。
ナルさんの綱がギリギリ届く範囲で、なんとか態勢を整え、正面を向く私。
諦めてお座りするナルさん。
頼むから最初からそうしてくれ。
ただ、お座りをするも、欲望を抑えきれないナルさん。
明らかに右手が出てくる位置に前のめりである。
お前……わかりやすいな。
もう右手に来る気満々だろ。
試しにやってみる。
「どっちだ?」
両手を前に出した瞬間、考えるとかそんな動作は1ミリもなく、右手に飛びつくナルさん。
うん。
わかってた。
ハズレ。
もう一度、両手を背中で隠し、フードをどっちにするか考えていると……
ナルさん、明らかに右手に前のめり。
お前もう考えるとか臭いを嗅ごうとか、何もしてないなっ?!
その後も、ナルさんの勘に頼った前のめりは続き……
何故か当るか外れるか、私が自己調整できるゲームと化した。
読んで頂きありがとうございましたm(_ _)m