ナルさんと氷
暑い日が続いていた。
季節は夏!!
私は冷凍庫の氷をビニール袋に詰めて、ナルさんの元へ急いでいた。
きっとナルさんも暑いに違いない。
まさか隣家の庭先に扇風機を設置するわけにはいかないから、
せめてナルさんと氷で遊んで涼を取るのだ。
そしてナルさん宅に到着。
尻尾を振って出迎えてくれるナルさん。
相変わらず可愛い。
そんなナルさんの前に、私は氷を数個だけバラ撒いてみた。
「ナルさん、氷だよー」と呼びかける。
が、完全スルー。
なんっ……だと?!
試しに、氷を幾つか手にとって、ナルさんの鼻先へ持っていってみるも、
ペロペロ…………スーン。
ちょっと舐めただけで興味失せてるっ?!
えええええええええっ?!
しかし、折角だからと持ってきた氷は、手元にまだ沢山あった。
……どうしよう、これ?
困った私の視界に、その時、ナルさんの飲み水用バケツが映った。
そうだ!あそこならばっ!!
ドンガラガラガラガラガラ……ちゃっぽん!
私は残っていたビニール袋の氷を、勢いよくナルさんの飲み水用バケツへ放り込んだ。
これで、ナルさんが飲む水が冷たくて美味しくなるはず!
そんな達成感に浮かされながら、私がナルさんを振り返ると……
私は今でも、その時のナルさんの顔が忘れられない。
『なんてことをしてくれたんだ!!!』
もう言葉は喋れなくても、間違いなく顔がそう語っていた。
いや……あの、ナルさんや………
氷は溶けたら水になるから大丈夫なんだよ……?
読んで頂きありがとうございましたm(_ _)m