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「二流小説家」(デイヴィッド・ゴードン)(ハヤカワミステリ)
なぜこの本が創作意欲を刺激するのか?
(1)売れない作家が主人公。
(2)その主人公がいくつものペンネームを持っている。主に小説のジャンルごとに使い分けているのだが、中にはポルノ雑誌の相談コーナーに執筆していたころのものまで含まれている。冒頭の「主な登場人物」欄はこんな具合だ。
A…売れない作家
B…SFを書く時のペンネーム
C…ミステリ、サスペンス(以下略)
D…ヴァンパイアもの(以下略)
E…ポルノ記事(以下略)
(3)主人公が過去に書いた小説の抜粋が差し込まれる、というメタフィクション(?)的趣向。
(4)冒頭の謝辞。ラスト3行は以下のとおり。
そして何より、愛する家族に。
きみたちの愛と、支えと、忍耐と、寛容な心ははかり知れないほど大きい。
きみたちがぼくの作品の登場人物とは少しも似ていないことを、ここで断言しておこう。