七分身の力で苦労してきた下僕の逆転追放劇 〜勇者に追放と言われたので、ヒロイン7人が見ている前で言い返す。「お前が、追放だ!」〜
「下僕、お前は追放だー!」
謁見の間に俺を呼び寄せたクズ勇者は、玉座に座りながら開口一番に言った。
「……なんだって?」
俺は思わず、聞き返してしまう。
「聞こえなかったのか、下僕。貴様は追放だと言ったんだー!」
なのに、勇者はもう一度言い放つ。
天より授かった伝説の剣と、国王代理の王子としての権力を振りかざしてだ。
俺は、信じられなかった。
これまでの長い間、俺は王宮の下僕として働き続けてきたというのに。
今までこのクズな勇者にこき使われて、ずっと苦労してきたというのにだ。
「そんな。エージ君が追放だなんて……どういうことですか、勇者様!?」
左後ろにいた剣姫のシズクが、勇者に詰め寄ってくれる。
俺の年下の幼馴染で、信頼できる仕事仲間だ。
「そうだよ。お兄ちゃんがなんで追放なのー!?」
続けて、右後ろにいた、見習い魔女のヒナが文句を言った。
俺と年が離れた妹だ。
「そんなの決まってるだろう」
勇者はあからさまに俺たちを見下しながら言ってくる。
「まずは下僕、貴様の態度が悪すぎるからだー!」
そのことは、否定しない。
俺は初めは下僕として礼儀正しく、勇者への不満を隠そうと努力した。
しかしある時から我慢できなくなり、俺は生意気な態度を出すようになった。
そうなった理由は、この勇者が余りにもクズすぎたからだ。
「それともう一つ、お前の七分身の力がキモすぎるからだ!」
そして勇者は、俺のスキルを侮辱してくる。
「そんな、お兄ちゃんの七分身に何度も助けられたくせにー!」
「そうですよ! エージ君のがんばりがなかったら今頃どうなっていたことか!」
そこまで言ったクズ勇者に、ヒナとシズクが怒った。
「ああっ! 下民どもが、俺に指図するんじゃねえよ!」
逆ギレした勇者は、伝説の剣をヒナとシズクに突きつけた。
まずい。俺は咄嗟に反応する。
勇者のつまらない気まぐれとあの伝説の剣によって、今までにどれだけの罪のない人々が斬られてきたことか。
「ツー!」
俺は、新たな分身を出しながらシズクの前に立つ。
「任せろ!」
俺の分身が言い返し、ヒナをかばうように前に立った。
俺たちは、伝説の剣を突きつける勇者から彼女たちを守ろうとしたのだ。
「それだよ、それ!」
勇者が伝説の剣の切っ先で、俺と分身を指し示す。
「下僕の分際で、同じ姿の奴が七人も増えやがって、気色悪いんだよ!」
これが俺のスキル《七分身》だ。
名前の通り、七人に分身できる。
容姿、能力、知識、技術、全てが同じ自分自身を七人まで増やせるのだ。
俺と分身たちは遠く離れていても頭の中で念話ができ、五感で感じたことや経験したことまで共有できるため、なかなかに便利な能力だった。
しかし決定的な欠点も存在する。傷、痛み、苦しみまで共有されることだ。
分身たちが受けた傷、痛み、苦しみは全て、本体である俺自身に返ってくる。
肉体のものだけでなく、心の傷もだ。
例えば分身たちの傷がどれも軽くても、全て合わせて致命傷になれば俺は死ぬ。
他の分身たちが全て無事でも、一人でも精神攻撃を受けてショック死すれば、俺もショック死してしまうというわけだ。
「俺を追放してどうする。俺たち七分身もいなくなってしまうぞ!?」
俺は、勇者に問い詰めた。
そのリスクのせいで、俺は懸命に働きながらずっと苦労してきた。
今まで抱えてきたストレスは、振り返りたくもない。
「お前の代わりを七人雇えば済む話だろう。お前みたいな汚物が消えて、せいせいするぜ!」
なのに、クズ勇者はそう答える。
今まで俺の働きに支えられてきたこと。
俺がいなくなれば、この王国がどうなるかも知らないで。
俺はその瞬間から、とうとう心の底から勇者を見限った。
追放されるならば、望むところだ。
その前に思いっきり、やり返してやりたい。
しかし勇者はクズなくせに、伝説の剣の力だけは本物だった。
しかも国王代理でもあるから、王国全てを敵に回すことにもなりかねない。
さらにこのままでは、シズクとヒナも巻き込んでしまう。
せめて、分身を七人まで出すことができれば……。
「待ってください!」
その時だ。俺たちのいる謁見の間に、おとなしそうな顔つきの豊満な体をした女性が入ってくる。
「私のご主人さまを、追放なんてしないでください!」
「アリア!」
俺が手伝いとして雇っているメイドのアリアだった。
「ほう、これは、これは、君もか、メイド?」
「はい。ご主人さまは、奴隷だった私を引き取り、今の仕事をお与えになってくださいました。あんなに優しくしてくださるなんて、私、初めてで……」
そうだ。以前、アリアは悪徳商人にこき使われて、ひどい扱いを受けていた。
俺が帳簿の改ざんや貴族への賄賂、奴隷の密輸といった不正行為を暴いて、悪徳商人を捕らえていなければ、アリアはどうなっていたことか。
しかも悪徳商人の上にいて、私腹を肥やしまくっていたのが、勇者本人だ。
悪徳商人が捕らえられた時も、真実を求める人々に対し、ふざけた愛想笑いで「俺、そんな奴のこと知りませーん」と知らぬ顔。
心底ムカついた俺は、勇者が関わった動かぬ証拠を何としてでも見つけてやりたかったが、残念なことに既に消された後だった。
「やめろ、アリア。お前まで逆らったら何をされるか」
「いいえ、やめません、ご主人さま」
いつもおとなしいアリアが、黙っていられないようだった。
「ご主人さまを追い出すというのならば、どうか私もご一緒に!」
「ほう、それは困るな……下僕と違って、君は必要な人材だからな」
勇者が妖しい目つきで見つめ、アリアを怯ませる。
「スリー!」
「はっ!」
俺は新たな分身を出して、アリアの守りにつかせた。
「剣姫に、魔女に、メイドね。さすがは下僕。下民どもに愛されてるな!」
「おい、勇者! 俺と彼女たちにそんな言い方をするのは、やめろー!!」
勇者は、伝説の剣と国王代理としての権力を笠に着ているから余裕の笑みだ。
くそー、こんな奴に好きにされてたまるか!
「待ってください、勇者様!」
その時、謁見の間に新たな人物が現れた。
「私も、エージ殿……いいえ、マスターの追放には反対です!」」
「君は、聖女メアリー!」
この王国の最前線で騎士団を率いて戦っている聖女メアリーだった。
「マスターは、まだ弱かった頃の私を強くしてくれました。それに私が絶望した時も励まして、危機に陥った時も助けてくれて……。魔王軍に囲まれ、仲間が全滅して、絶体絶命の中から救い出してくれた時のことは一生忘れません」
そうだ。俺と分身たちは、聖女や騎士団と共に魔王軍と戦った。
彼女たちと生死を共にしてきたのだ。
その時の苦労のほぼ全てが、勇者がクズなせいだった。
俺たちの意見などまるで聞かず、名誉最優先、虚栄心丸出しの無策無謀のせいで、何度死にかけ、どれだけの多くの仲間が犠牲になったことか!
「メアリー。君も、俺の追放に反対してくれるのか?」
「もちろんです、マスター。私が、我が剣を捧げるのは、あなた一人のみ。騎士団のみなさんも、きっとあなたについてきてくれます」
俺は、メアリーたちと共にまた戦いたくなった。
「ふざけるな! 王国に忠実なはずの聖女が俺に逆らうだと!? 下僕なんかのためにー!」
怒った勇者が荒々しく伝説の剣を振り回し、メアリーを慄かせる。
「フォー」
「おうよ!」
俺は新たな分身を出して、メアリーの側に置いた。
「お待ちを、勇者さま。エージさんの追放にはわたくしも反対ですわ!」
反対するために来てくれる人は、他にもいた。
「君は……」
「エリザベス!」
勇者のお気に入りの女性、ヴァレンタイン公爵令嬢エリザベスだった。
「エージさんは、わたくしの大恩人でしてよ! 婚約者だった伯爵に裏切られて落ち込んでいた時、わたくしを励まして希望を取り戻してくれました。それだけではありません。後で逆恨みした伯爵の陰謀によって、我が家の経営が傾いた時も立て直してくださり、証拠を集めて伯爵を捕らえてくださったのです!」
そうだ。ヴァレンタイン公爵は俺の数少ない信頼できる仕事仲間で、彼の娘エリザベスも下僕の俺にとても優しくしてくれた。
だからせめてもの恩返しのつもりで、俺はエリザベスたちの助けに入ったのだ。
しかもその伯爵と言ったら、勇者と仲が良いことにやりたい放題だった。
公爵とエリザベスが「伯爵が私たちに陰謀を企てた」と散々訴えても、勇者は「俺の友達がそんなことするはずないだろ」とまるで聞かず、俺は見るに堪えなかったからな。
「大げさだ、エリザベス。俺はちょっと助けただけだ」
「いいえ。エージさん。わたくし、あなたのおかげでどんなに助けられたことか……。私も、公爵家も、あなたの味方ですわ。それに、もう、わたくし、心に決めましたのよ……」
「えっ、それはどういう……」
「もう……言わせないでください」
エリザベスは、可愛らしく顔を赤く染めた。
「おのれ、下僕……俺のエリザベスまで拐かしやがってー!?」
勇者の剣が向けられ、エリザベスがたじろいだ。
「ファイブ!」
「ういっす!」
俺は新たな分身を出して、エリザベスを守らせる。
「やめてください、お兄さま! エージさまの追放には私も反対です!」
そう言って現れたのは、この国の姫君。
「マリーさま!?」
「マ、マリー!?」
勇者の実の妹、マリー王女だった。
「お兄さま。エージさまは、王国に魔の疫病が蔓延した時、教会すら手に負えず、私も病に伏した時……治療ための薬草を見つけてくださったのです! それだけではありません。この方は、絶望しかけていた教会の人たちをも立て直し、大勢の人たちを救ってくださったのです!」
そうだ。あの時は勇者の失策と放置が原因で、大勢の人が病で亡くなった。
俺は無我夢中だった。分身全てを動かして薬草を探索し、疫病に立ち向かう教会の人たちを助け回った……。
「マリーさま。あなたまで、俺のことを……」
「エージさま。あなたがしてくださったことを思えば当然のこと。あなたさまは、この国の救世主。私と教会はあなたを支援いたします。それに、私、もうあなたでないと……」
マリー王女は、俺に向かって瞳を潤わせた。
「おのれ、下僕が……俺のかわいいマリーまで惑わしたのかー!?」
勇者の剣が向けられ、マリー王女が怯む。
「シックス!」
「ああ!」
俺は新たな分身を出して、マリー王女を守らせた。
「おのれ、おのれ、たかが、下僕の分際で!」
勇者がさっきまでの余裕の笑みを消して、頭に血を上らせる。
「聖女に、公爵令嬢に、王女まで狂わせやがって! こいつらまで歯向かったら、俺の王国が傾くじゃないか!」
聖女、公爵令嬢、王女と、権力ある人たちに反対されたことで、国王代理としての権力が揺さぶられて余裕がなくなったのだ。
「いい加減にしろ、勇者! 彼女たちに手を出すのはやめろー!」
「はっ、俺に逆らうなよ、下僕! 勇者である俺に勝てるのか! しかもお前が逆らったら、この王国は内乱で二分されるぞ! 女と下民が大勢死ぬぞ!」
「ぐっ……貴様ー!」
「魔王だってこの隙に付け入るぞ! お前のせいで大勢殺されるだろう! みんな、お前のことを憎むだろうなー!」
「……いや、その心配はないぞ!」
そう言って、いきなり謁見の間に現れたのは魔族の女だった。
彼女の姿に、俺も含めてその場にいる全員が驚愕する。
「バ、バカな……お、お前は!?」
「魔王パンドーラ!?」
「よう、久しぶりだな、エージ」
俺たちと何度も戦ってきたパンドーラは、可愛い笑顔で気安く話しかけてきた。
「お前、なぜここに……魔王城にいるはずだろ!?」
「そんなのお前と話をしに来たに決まってるだろ。このオレ自らな。エージ、この魔王パンドーラと我が配下の魔王軍全軍は、貴様に降伏する」
「……なに?」
「二度も言わせるな。オレと魔王軍は、貴様に降伏すると言ってるんだ」
「な、なんだってー!?」
それを聞いて、皆はさらに驚かされる。
俺だって、訳がわからない。
「ど、どういうつもりだ、パンドーラ?」
「たいしたことではない。我々は、貴様に屈しただけだ。愚かな勇者の策の穴を埋め、我々をことごとく敗退させてきた貴様の力に。何より、貴様の心にな」
「俺の心?」
「エージ。貴様は、我々に同情までしてくれた。過酷な魔界に生まれて力という価値観しか知らず、新天地を求めて人間界に攻めるしかなかった我々に……。勇者は、オレたち魔族を戦えない者まで皆殺しにするだけだったというのに」
「そんな、たいしたことでは……」
「そう言うな。初めはただの屈辱だったが……まあ、要するに貴様の優しさというものに、オレは胸を打たれてしまったというわけだ」
魔王パンドーラは、女の子らしく顔を赤くする。
「そういうわけだ、勇者よ。オレはエージに降伏する。そのエージを追放するというのなら、この娘たちだけではない。このオレ、魔王パンドーラと我が配下の魔王軍全てが、貴様と王国の相手になるぞ!」
「……調子に乗るなよ、魔王。下僕どころか、この俺にも勝てなかった分際で!」
勇者は受け入れるはずはなく激しい怒りを燃やし、聖剣を魔王に向ける。
「セブン!」
「おう!」
俺は新たな分身を出して、魔王パンドーラの側につかせた。
「そこまでにしろ、勇者! いい加減、俺を追放するのはあきらめろ!」
「黙れ、下僕! 女たちを狂わせて俺の王国に反逆したどころか、魔王にすら寝返った人類の裏切り者がー! そもそも、お前の追放を取り下げたら、俺は大恥かくんだよ!」
「そんなくだらない理由で……やっぱりお前はクズだ! 王国最悪の人災だー!」
俺は心から決意した。ここで勇者をブッ潰してやると!
「いいや、クズはお前だ、下僕! ええい、王国が二分されようと構うものか! お前は処刑し、こいつら女は奴隷にして、俺の王国を取り戻してやる!」
勇者が伝説の剣を振りかざし、彼女たちに刃を向ける。
彼女たちが恐怖し、混乱し、悲鳴を上げる中、
「させるかよ! ツー、スリー、フォー、ファイブ、シックス、セブン!」
「「「「「「おう!」」」」」」
俺たち七人は、力を一つにした。
「な、なんだ!? なにをする気だー!!」
驚愕する勇者に向かって、俺たちは――、
「「「「「「「ファイナル・ゼロ!」」」」」」」
――最後の分身を作り出して、勇者にぶつける。
「ぐわああああああーーー!!?」
強烈な一発にブッ飛ばされて、勇者はブッ倒された。
最後の分身は、消えていく。
「……念の為、もっとやっとくか」
「ぎゃは! ぐへえ! ぶほお! やめろ、いたい、いたい、やめてくれえー!」
さらに勇者が動けないように、俺たち七人で気の済むまで思いっきりボコった。
「げ、下僕……お前、何をした? お前の分身は七人までのはず!?」
倒れたボロボロの勇者が、無様にうめきながら聞いてくる。
それを見下しながら、俺は言ってやった。
「そのとおり。俺の分身は、俺も含めて七人までだ」
「だったら……さっきの八人目の分身はなんだー!?」
「あれは、俺だけじゃない。俺たち七人で力を合わせて作った、最後の分身だ!」
「な、なに!?」
「俺が、分身たちと力を合わせることで、ほんの一時だけ作れる最後の一人。分身の数が多ければ多いほど力は強まり、最大で七乗の力を宿せる俺の切り札だ!」
「き、きさま……こんな力を……」
「知らなかったのか。切り札は最後までとっておくものだってな!」
俺は、敗北して悔しがる勇者に言ってやった。
「すごいですわ、エージさん」
「こんな切り札まで隠し持っていただなんて……」
「さすがだな、エージ!」
彼女たちが、俺を褒めてくれる。
「さあ、話は終わりだ、勇者!」
「な、なにをする気だ……?」
「決まってるだろ。俺を追放しようとしたんだ……お前が、追放だ!」
そう言った瞬間、俺は気分がスッキリした。
「な、なにー!!」
勇者のバカ面を見て、もっとスカッとしてくる。
「さあ、追放と言っても、お前をどこに送ってやろうか……」
「や……やめろ」
勇者が命乞いみたいなことをしてくるが、当然、聞く気はない。
「……ああ、そんなの決まってるだろ」
そこで、魔王パンドーラが意見してきた。
「敗北した勇者には、伝説の剣を奪った上で、地獄の魔界送りがお似合いだ!」
魔王の意見に、俺は賛同の意思がこみ上げる。
勇者の方は、顔が真っ青になった。
「魔界の住人たちは、勇者が大嫌いだからな。伝説の剣の力を失ったと知れ渡れば、みんなで寄ってたかって、熱烈に歓迎してくれるだろうぜ」
「……確かにこいつにふさわしいな。どうだろう、みんな?」
俺は彼女たちに意見を求める。
「賛成です」
「こんな奴には当然の報いだわ!」
「お兄さま、魔界で罪を償ってください!」
彼女たち全員が、勇者の魔界送りに賛成だった。
「や、やめろ……やめてくれー!」
「そう言うなよ、勇者。ほら、オレがすぐに転移魔法で送ってやるから」
伝説の剣を奪われた勇者は命乞いをし、魔王パンドーラは愉快に笑う。
「じゃあな、勇者!」
俺は、それだけ言ってやった。
「やめてくれええええええー……」
転移魔法をかけられた勇者は、断末魔の声を上げながら魔界へと失せていった。
「さて、あとは国王代理が消えた王国の支配者をどうするか……」
「そんなの決まってるじゃない!」
俺がこの問題で困ると、シズクが意見してくる。
「エージ君が新しい支配者になればいいんだわ」
「「「「「「「……えっ?」」」」」」」
俺は、分身たちと一緒に戸惑ったが、
「そうだよ。お兄ちゃんならできるよ!」
「そうです。ご主人さまならきっと……」
「私も同意見です。マスターならできます!」
「そうですわ! エージさんならできますわ!」
「エージさまならば、この王国を必ず生まれ変わらせてくださいます」
「オレも、お前が支配者になるなら何も言うことはない。むしろ好都合だ」
彼女たちは、同意見だった。
「み、みんな……俺のことをそこまで」
「それに……」
さらに彼女たちのうちの誰かが言った。
「あなたが七人いてくれれば、みんなを一度に相手することだって……」
彼女たち七人の熱い視線が、俺たち七人に向けられる。
「み、みんな……」
その後、王国には平和が戻り、俺の七分身の力は、彼女たち七人と一緒に過ごしたり、一夜を共に過ごすことにも活かされるのだった。