第2話
美しいモノはがててきた。
猫?
ポールは、驚いていた。
美しい猫は、ポールの方にとこ…とこ…と優雅に歩いてきているのだ。
(遂に殺されるのか……だがこの美しいモノになら殺されてもいいか。)
そうして、ポールは諦めてしまった。
その時は、本当にこの美しいモノになら殺されてもいいと思っていた。
正常では、無いその考えはポールを歪に救ったのだろう。
死を諦めたポールは、その美しかった目から光を失った。
淀んだ目……それが美しいものの興味をひいたのだ。
先程まで、死にたくない!死にたくない!と美しい目をして足掻いていた少年は一瞬にして何かが変わってしまったのか、淀んだ目で美しいモノを見つめていた。
先程までは、逃げようと足掻いて力が籠っていた足から力が抜けた。
その変化は、顕著であった。
ポールという少年に全くと言ってもいいほど興味のなかった美しいモノが、興味を持つくらいには。
美しいモノは、禁書に封印されていた気ままな〖神様〗だったのだった。
〖神様〗は、気ままで美しいものが好きでした。
そのため〖神様〗はポールのいる時代から2000年ほど前に失礼で面白くなく、そして美しくもない国々を滅ぼしてしまいました。
人間達が悪いのですが、その力を恐れた人間達は美しいモノを危険視に不意を突かれババ様の持っている禁書に封印されていました。
〖神様〗は、何処までも〖神様〗でした。
傲慢であって利己的、当時は何より自らを危険視し封印した人間達を恨んでいました。
〖神様〗の恨みは、強い力を産みました。
その時まで〖神様〗は、強い感情を生まれて持ったことがなく初めてとても強い感情を抱きました。
感情は、自我を強くする。
その時まではまだとても弱く人間達に封印される程の〖神様〗ですが、国々を滅ぼす位の力は持っていました
。
その〖神様〗が強い自我を持つとおのずと世界を理解し始めました。
世界を理解した〖神様〗は、もう弱いとは思わせないほどの力を持ちました。
人間達が自らに課していた封印もだんだんと〖神様〗を封印するほどの力がなくなってきていました。
人間達は、自らの子孫達が永遠とこの封印を補強していける。と考えていたそうでした。
それに伴い、たくさんの伝承などを残しました。
禁書は、人間達の特に権力が強い人々が厳重に保管していたのですが、いつしか忘れ去られ紛失されていました。
そして巡り巡ってババ様の部屋にたどり着いたのでした。
人間は、寿命の少ない生き物です。
そのため〖神様〗を何故先祖が封印したのか……などということをことごとくわすれてしまい、紛失ということがおこってしまったのでした。
美しいモノは、ポールに興味を抱きました。