第1話
読み飛ばしは、
オススメしないよ?
今年で齢12になる少年ポールは、焦っていた。
自らの村のババ樣の部屋に忍び込み、禁書である魔術書を盗んでくるという約束を村のワルガキどもとした。
自らを仲間として認めてほしいという一心で。
ババ樣の部屋に忍び込み、禁書をワルガキ共が手を掛けたまでは良かったのだが…。
「見せて見せてっ」
といって、ポールが禁書の背を触るといきなり青白い光と共に魔法陣が飛び出しポールの体をおおったのだ。
ワルガキどもは、ビビって逃げてしまった。
...ポールを置いて。
ポールは、ワルガキどもに着いていこうとしたが、ワルガキどもは光に包まれたポールを突き飛ばした。
ポールの姿にあり得ない程の恐怖を抱いたのであろう。
それは、謎の光に対する恐怖か...はたまた、生物としての本能的な恐怖なのか...。
「俺はまだ、死にたくねえ!」
「どけろっ!」
「お前が死んだらいいんだっ『親無し』っつ!」
死の恐怖でも感じたのであろう。
ワルガキどもは、なりふり構わずポールを置いてけぼりにしたのだ。
『親無し』...その言葉は、ポールの心に深く突き刺さる。
何故親がいないのか。
そう問い詰めたこともあったが、育ててくれた養父は、はぐらかして教えてくれない。
ポールは、親がいない。本当の肉親が。
育ててくれた養父には、とても感謝しているが
そのことだけは、冷めていく心の中で小さいころから理解していた。
理解しざるをえなかった。
そのことが理解できないでいるほど、子供のままではいられなかった。
いっそ無邪気に何も知らなかっと気に戻りたい。
そう思いながら、心に穴を開けてきた。
心に突きさった鋭い言葉群は、溶けた事や自分でこわした事はあったのだが、その言葉が空けた穴が埋められることは無く、その破片が取り除かれることは無かった。
「ヤダヤダっ!!まってよっ!」
(怖いっ)
心の声に連呼したように青白い光は、段段と強くなっていく。
生憎と、心の声の意志に反した形で。
取り出されることのなく、棚に収まったままの禁書が不気味な存在感をはなっている。
そのままポールは、突き飛ばされて尻餅を付いた体勢から動けずにいた。
腰が抜けていたのだ。
そして、ポール自身の恐怖のせいなのか、こえもだせなくなっていた。
(死にたくないっ!)
という、人として当たり前の感情。
生物としての生存本能。
だが、しかしポールは余りにも大きすぎた恐怖のせいなのか。
その感情は、麻痺してしまったかの様に働かなくなってしまっていた。
ポールは、禁書をずっと見つめていた。
いや、とても大きい威圧感と恐怖で見つめざるをえなかったのだ。
その異形...はたまた神秘の結晶とも言えるモノが魔導書の前に青白い光を伴って突然に現れた。
そのモノは、動かないポールをじっと見つめた。
ポールにとっては、数時間がたったのかというほどの長い時間だったのだろう。
だか、現実には10秒とたっていない。
その異形は、この世のモノでは無いような美しい猫すがたをもっていた。
正しくこの世界のモノではないのであろう。
禁書の背表紙には、『××××・×××××』とかいてあった。
『×』の部分は、何かが書かれていたのだろうが黒く塗りつぶされていた。
まだまだ続く予定です。
猫になれるかなー
親の気持ちで見守っていってくださいませ(にこ)《作者》