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方向音痴の半竜娘は旅がしたい  作者: 揚げパン大陸
序章 こんにちは半竜娘さん。こんにちは異世界
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第8話 強力!半竜娘は心強い? その1

 父さん、母さん、俺は今、異世界にいるよ。本来は学校で授業を受けているはずなんだけど、なぜか異世界にいるよ。いつ頃帰れるか、そもそも帰れるのかわからないよ。


「あの…すみません…。やっぱり…元の世界に戻りたいですよね…」


 落ち込んでいる俺を見て、エリルが申し訳なさそうに謝ってきた。そりゃできることなら戻りたい。ドラゴンはいるわ、妖精はいるわ、あんな性格軽そうな神様はいるわ……俺の中の常識がことごとく崩されていくような世界で生き延びていく自信なんて無い。っていうか、ホームシックだ。家に帰りたい…。


「私が池でブレスを吐かなければ…ユウキを巻き込まずに済んだのに…」


 エリルも俺と同じくらい落ち込んでしまう。女の子が落ち込む姿はやっぱり見たくない。元はと言えば、俺がエリルに無理に頼んだのが原因だ。…まぁ、あんなにすごいのは想像していなかったけども。

 とにかく、ここは彼女を元気づけよう。


「元気出せよエリル!なっちまったものはしょうがない。エリルはせっかく戻ってきたんだ。早いとこ家に帰った方がいい。俺は元の世界に戻る方法を探るからさ」


 何かっこつけたこと言ってんだ俺は。こんなところで1人になったらマジで野垂れ死ぬぞ。っていうかエリル!早くどこから世界を飛び越えたのか思い出してくれ!


「そんな…!ユウキを1人置いていくなんてでき……」

「うわぁーー!魔物が出たぁーー!!」


 エリルの言葉に被さるように悲鳴が聞こえてきた。…え?魔物…?聞き間違いか…?

 俺が戸惑っていると、木の陰からさっき見かけた妖精が飛び出してきた。


「逃げろー!!逃げるんだぁー!!」


 妖精はそう叫んで一目散に逃げていった。え…?なになに?妖精なのに俺達を置いてくの…?

 ――次の瞬間、目の前の木の幹がなぎ倒され、全身紫色の体毛に頭には2本の角を生やし、尖った鼻に赤く鋭い眼をした、パッと見ると熊に似ているようなそうでないような大柄な生き物が現れた。え…やば…。

 俺はもう既にビビりまくって足が震えていた。逃げたいけど…足が動かない…!


「逃げますよ!」


 その時、エリルが俺の手を引いて走り出した。おぉ…!危なかった…!


「グワアァァーー!!」


 魔物は禍々しい雄叫びを上げ、俺達を追いかけ始めた。こっちは2足歩行であっちは4足歩行。あきらかに向こうの方が早い!追いつかれる!

 すると、エリルが俺の手を放して1人立ち止まった。


「ユウキは先に逃げて下さい!」


「えっ!?エリルは!?」


「いいから早く!!」


 エリルは構わず逃げるように叫ぶ。その間にも魔物は見る見る近づいてくる。


「グワアァァーー!!」


 魔物がエリルに向かって勢いよく飛びかかった。すると、エリルは左足を軸に回し蹴り……ではなく、尻尾をぶん回したのだ。


 ドカッ…!!


 尻尾は見事魔物にクリーンヒット。まるでボールを打つバットのように、あんなに勢いのあった魔物の突撃を逆に突き飛ばしてしまった。魔物は数十メートル吹っ飛び、地面に倒れ込んだ。


「え…つよ…」


 俺はエリルの勇ましさに呆気に取られていた。ブレスといい、大人しそうな子なのに戦闘力が高いのはさすが半竜。すごく頼りになるな…。

 何はともあれ、魔物に食われずに済んだ。…食おうとしたのかわからんけど。


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