第45話 何故?クレアにかけられた呪い その3
寝間着のまま宿を飛び出していったエリルが戻ってくるのを、宿の前で待つ俺とミスト。
「やっぱりユウキには敵わないなぁ」
ミストが唐突にらしくないことを言いだした。ので、俺は珍しいものを見るような目でミストを見る。
「熱でもあるのか?」
そう言うと、ミストは不服そうな顔になって俺の手を掴み、自分の額に当てさせた。……へ?
「あると思う?」
「い、いや…ないです。すみません放してください」
むしろ俺の方が熱が出そうな勢いだ。まずい…手汗が出そう…。女の子の額に初めて触れてしまった…。なんとか放してもらうよう言うが、彼女はなかなか放してくれないどころか、俺の掌に自分の掌を当ててきた。
「おぉ…、私よりけっこうでかい」
ミストの手が柔らかい…!しかもすべすべ…!うわぁぁぁ!耐え切れん!
「俺の方が背もでかいし当たり前だろ…!」
耐え切れなくなって手を引っ込める。なんだよ。さっきまでの不安げな感じはどこ行った。
…すると、向こうの方から、とぼとぼと戻ってくるエリルの姿が。
「すごい。ユウキの言った通り」
「だろ。…あれ?っていうか足怪我してない?」
よく目を凝らすと、右足をすりむいている。…ずっこけたのか。そりゃ寝間着は走りづらいからな。エリルも俺達に気付き、恥ずかしそうな表情になる。
「いや…あの…準備はちゃんとした方が良いかなって思いまして…。朝ご飯も食べて無かったですし…」
「転んだ?」
「……はい」
これまた恥ずかしそうに細い声で白状した。
「エリル、さっきは強く言ってごめんね」
ミストがさっきの口論を謝ると、エリルも慌てて頭を下げる。
「いえいえ…!私こそごめんなさい!ミストにひどいこと言っちゃいました…」
「気にしないで。さ、これで仲直り!じゃあ、仕度してモルテナ山に行こう」
「えっ?ミストも来てくれるんですか?」
ミストの方から行くと言ってきたので驚くエリル。俺もちょっと驚いた。
「もちろん。この町に来たのもそのためなんだし」
ミストは笑みを浮かべてそう答えた。…なんか俺の方が恥ずかしくなってしまった。
朝食を食べて、身支度をして、3人揃ってモルテナ山に向かい始める。…と、ここでクレアのことを思い出した。
「そういやクレアは大丈夫か?」
相変わらず、クレアに対する扱いが雑である。
「あっ!そう言えば!」
実はエリルも忘れていた模様。エリルは本を取り出して開いてみる。
「クレア!頭痛は治りました?」
すると、のそっと氷で頭を冷やすクレアが出てきた。
「ん~~~びみょい…」
元気のない感じはなんだかある意味レアだな。っていうか、そんな長引く感じの頭痛だったのか。じゃあ少なくとも演技じゃなさそうだな。




