第43話 何故?クレアにかけられた呪い その1
クレアを金庫に禁固した翌朝、俺は早めに目を覚まし、ミストの部屋に向かった。ドアの前でノックしようとすると、ちょうど良くドアが開いてミストが姿を現した。
「覗き?」
「んなわけあるか!」
ジト目を向けて怪しがるミストに俺は即座に否定。そんな俺を弄ぶようにミストは笑みを浮かべ、顔を俺に近付けてきた。……いやいや近い近い!
「まさか乗っ取られてない…よね?」
「さっきの焦りようから察してくれよ…!」
俺は体をのけ反らせてミストから顔を離す。…と、ミストはまたもやおかしそうに笑みを浮かべる。…完全に弄ばれてるな。
「じゃあエリルを起こしに行こっか」
ミストはそう告げると、先頭に立ってエリルの部屋へ向かった。ドアをノックしても返事が無かったので、ドアを開けて中に入る。
エリルはまだ気持ち良さそうに熟睡していた。俺はエリルの傍に行き、耳元でささやく。
「エリルー。早く起きないとトルテ食べ損ねるぞー」
「……と…るて…食べたいです……ふぇ…?」
食い意地の張った寝言を言った後、よくわからん声を上げてまぶたを開いた。
「ゆ、ユウキ…!び、びっくりしましたぁ…」
素でびっくりした模様。そりゃそうか。寝起きドッキリは無事に成功した。
エリルが起きたところで、早速俺とミストはクレアの企みについて話すことに。昨夜クレアから訊きだしたことをありのままに伝える。
「えぇ!?クレア、私の体を乗っ取ろうとしてたんですか!?」
案の定、エリルは驚きの声を上げた。仲良しのクレアがそんな悪巧みをしようとしていたなんてショックかも知れない。でも仕方ないんだ。
「そう。それでドラゴンブレスを吐いて暴れようとしてた」
「えぇー!?それはまずいですー!!」
「いや、そこまでは言ってない…」
ミストがクレアの企みを捏造したので、すかさず俺が否定する。ミスト真面目な顔で嘘言うなよ…。
「まぁでも、私、ブレスを2回連続で吐くと息切れとめまいで倒れちゃうので大丈夫です」
いや、別の意味で大丈夫じゃないだろ!…ていうかそうだったんだ。強力な技にも弱点はあるんだな。
とりあえず、エリルに伝えたいことは話せた。……あとは、俺の部屋の金庫で寝ているであろう当の本人をどうするか…。
俺達は俺の部屋に向かい、ミストに金庫の鍵を開けてもらう。鍵の番号ミストしか知らないので。扉を開けると、本が心なしかくたびれた状態で置かれていた。ミストが金庫から本を取り出すと、バサッと開いて泣き顔のクレアが飛び出した。…まったく飽きない飛び出す絵本である。
「うわぁぁん!!寂しかったよぉーー!!」
クレアは号泣してエリルに抱き着こうと体を伸ばすが、ミストが本をがっちり掴んでいるので届かない。
「うぐぐ…!!はぁ……はぁ……。うぅ…呪いさえなければ…!」
どんなに力を振り絞っても本から抜け出せないクレア。…にしても、クレアはなんで本に縛り付けられてるんだ?なんだかそっちの方が気になってきた。




