第10話 親切!森の妖精の道案内
エリルのドラゴンブレスによって危うく森林火災になるところだったが、神様の助けもあって何とか火を消すことができた。そして、俺達は神様のお告げを受けて、水の魔女を仲間にすべく、森の東にあるという町へと向かうことにした。
……あれ?元の世界に戻るのが遠のいていくような…。
「あの…ありがとうございます」
エリルは罰が悪そうな表情でお礼を言う。自分のせいで一大事になりかけたことに自責の念を感じているようだ。だけど、彼女がブレスを吐かなかったら魔物にやられていただろう。
「エリルこそ、魔物を倒してくれてありがとう」
俺も礼を言うと、気分が晴れたのか、エリルの表情が少し明るくなった。当たり前だが、明るい表情を見ている方が断然いい。
それにしても、東の町に行くのは良いものの…はてさて…。
「ところでエリル。この森の東にある町のことを知ってるか?」
「えっと…、そもそもここがどこかもわかりません」
エリルは苦笑いを浮かべる。…俺も苦笑い。
この世界の地図もないし、周囲は見渡す限り木、木、木…。何も手がかりがない。あとはエリルの知識に頼るしかないのだが、彼女もここがどこなのかわからないようだ。…困った。
「そうだ!さっきの妖精さんに訊いてみたらわかるかもしれません!」
エリルがポンとひらめく。確かに!妖精ならここらへんに詳しいかもしれない。…けど
「さっきの妖精、どこに逃げたんだ?」
「呼んでみましょう。妖精さーん!」
エリルは大声で妖精を呼び掛ける。そんな簡単に出てくるもんなのか…?
「呼んだ?」
すぐに声が聞こえてきて、振り向くとさっきと違う妖精が羽をはばたきながら宙に浮いていた。…妖精って意外とたくさんいるのか?
その妖精はピンク色の髪のセミロングに、白く透き通るような肌をしたかわいらしい女の子の外見をしていた。顔立ちこそ人間の女の子と変わりないが、背の高さは50センチくらいと小さく、背中には透明の羽が付いている。
「あの…この森の東にあるという町に行きたいのですが…、ここがどこかもわからなくて…」
「それなら、わたしが案内してあげるよ」
「えっ…!いいんですか!?」
すごく気前のいい返事に嬉しそうな表情を浮かべるエリル。俺もびっくりだ。こんな親切な人には今まで出会ったことが無い。さっきの一目散に逃げていった妖精とはえらい違いだ。
「うん。困ってる人を放っておくことはできないし。ついてきて」
妖精はそう言って先に進み始める。俺とエリルは彼女について行くことに。
まだ半日しか経ってないけど、今日だけで半竜に魔物に妖精×2、そして神様と様々な出会いをしている。そしてこれから出会うであろう水の魔女…。なんだかもうお腹いっぱいである。
それにしても、妖精っていろんな種類がいそうだけど、この妖精は何の妖精なんだろうか。
「あの…、親切にありがとう。俺の名前は裕樹。彼女はエリル。あなたは?」
俺が自己紹介をして名前を尋ねると、妖精は振り返って俺を見てきた。エリル同様かわいらしい顔立ちだが、落ち着いた雰囲気を持っていてどこか大人っぽい感じがする。
「申し遅れたわ。わたしはカレナ。ここの森を管轄している妖精」
管轄…。なんか妖精とミスマッチなワードだな…。森の妖精なのか。
「2人はどこの人?」
おっと…、返答に困る質問が早速…。
「ハートフィルというところの外れに住んでます」
エリルは何も困ることなく答えた。それにしてもかわいらしい名前の出身だな。…俺はなんて答えようか。困ったな。深岡って言ったってわかるわけないし。
「ハートフィルなんだ。随分と遠いところから来たんだね」
「はい。旅が好きで遠出してたんです」
「なるほど。良い趣味を持ってるんだね。あなたは?」
視線が俺に向いた。…どうしよう。ここは正直に言うか。
「俺は…この国の出身じゃないんです。日本ってところから来ました」
すると、案の定カレナは怪訝な表情を浮かべた。
「…ニホン?なんだか、昔聞いたことがあるような…」
カレナは手を顎に当てて考え込む。その予想外の反応と返事に、俺は別の意味で戸惑ってしまった。




