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亜人至上主義の魔物使い  作者: 栗原愁
第2章 亜人国建国編
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不思議な出来事

「この際、夢については後でいいからその前にお前がさっき言っていたあることっていうのは一体何なんだ?」


正直、紫音はフィリアの夢について気になってはいたが、それ以上に気になる発言がフィリアの口から飛び出していた。

まずはそれをはっきりとさせないと紫音の心は収まらなかった。


「いいわ、話してあげる。あれは私が国を飛び立って数年……数十……いや、百年ほど前のことだったかしら?」


フィリア自身、当時のことについてはどうやらあやふやのようだ。紫音が心配する中、必死に思い出しながら話を続ける。


「……そうだわ。ある夜に眠っているときにね、夢の中で天啓が降りてきたのよ」


「ゆ、夢の中かよ……」


どんなことでも受け止める自信があった紫音であったが、さすがに夢の中と言われ、呆れ返ってしまう。


「そうよ。でもこれは決して私の作り話じゃなくて私の夢の中に誰かが入り込んで私に告げてきたのよ」


そのままフィリアは夢の内容をみんなに話した。


話の内容をまとめると、夢の中でフィリアは光の玉のようなものに出会い、その玉から天啓を受けたそうだ。

その内容は「これから先、誰も住んでいないような土地に人間たちから迫害を受けている亜人種たちを集め、亜人種たちだけが住む国を創りなさい。近い将来、あなたとともにそしてあなたを導いてくれる存在が必ず現れます。その人とともに協力しながら亜人種たちだけが暮らす夢のような国を創るのです」という話だった。そして、フィリアはそこで目覚めたそうだ。


最初のうちはただの夢だと気にしないようにしていたが、夢の話にフィリアは共感を覚えていた。

人間たちから迫害を受けている亜人種がいることは知っていた。それについてフィリアは反吐が出る思いだった。戦争に勝ったからといって調子に乗り、亜人種を虐げる人間。それに対して気に食わないと思っており、殺してやりたいとも思っていた。


それに、夢の話の中でフィリアが国を創るということは必然的にフィリアがその国の王になる。その過程で竜人族としての自分の力を他の者たちに知らしめることが可能であり、それはフィリアが前々から思っていたことが叶うということ。


そのような考えからフィリアは亜人種たちの国を創る旅へと目的は変わっていった。

それ以降フィリアは、自分の国となる土地を見つけるため世界各地を周っていた。そんな折、見つけたのがこの魔境の森だったそうだ。


「そしてこの森で出会ったジンガとディアナに私の野望について教えたら二人とも快く引き受けてくれたわ。私の国の民になることにね」


「そういった経緯があったのか。それで今の国民の数はフィリアを含めて三人か」


そう言いながら紫音は、ジンガたちと出会う前、フィリアは彼らのことを『民』と言っていた。

そのときはなぜそんな言い方をするのか疑問に思っていたが、そういう意味で言ったのかと今さらながら理解した。


「あら、紫音も含めれば四人でしょう」


フィリアの信じられない発言にすかさず反論した。


「なっ!? お、俺はお前の国の住民になった覚えはないぞ!」


「この魔境の森は私の国でもあるのよ。そこに住むってことは自動的に私の国民になるってことなのよ」


「そんなこと勝手に決めるなよ」


「もうなによ! 私の庇護下に入れるのよ。少しは誇りに思ったらどうなの!」


「いや、お前……俺よりも弱いのに庇護下に入れるって言ってもな……」


「なんですって!」


「ほれほれ、落ち着きなさい。そんな急に決めることでもないじゃろう」


喧嘩に発展しそうになる流れであったところをディアナが割ってくれたおかげでなんとか喧嘩までには至らずにすんだ。


「紫音もこの世界に来てまだ一日しか経っていないそうじゃないか。早急に決めることでもないじゃろう」


「そうですよお嬢。それに俺としてはまだ小僧を同じ民として認めていませんから」


「……それもそうね。なんだか無理強いするように言ってしまったわ。ごめんなさい紫音」


ジンガたちの意見のおかげで冷静になったフィリアは素直に紫音に謝罪の言葉を投げかけた。


「まあ、俺もひどいこと言ってしまったからこれでおあいこということで。それと民になる件についてはもう少し時間をくれ」


「ええ、分かったわ。……待ってる」


本当は紫音にも国民の一人にしたかったのだろうか。フィリアは少し無理をした笑顔をみせていた。

その表情を見て少し後ろめたい気持ちにもなったが、この件についてはとても重要なことのため一時の感情で決めず、じっくりと考えるよう紫音はそう決めた。


フィリアの壮大な夢についての話が終わったあとも歓迎会は続いた。

みんな各々談笑をしていると、


ガサッ。草の根をかき分けるような音が聞こえた。


「なんだ……?」


紫音は音がした方向に視線を向けながら警戒をしていると、フィリアたちも同じように警戒していた。

そしてなにが来てもいいように戦闘態勢をとりながら音の正体を探ろうとする。。


ガサッ。ガサササッ。音はだんだんと近づいていき、やがてその音の正体が広場に飛び出してきた。


「……え? こいつらって」


それは、ジンガと同じく獣人族の男女二人であった。男は黒い髪をしており、女の方は雪のように白い髪を伸ばしている。背格好からして紫音と同年代か少し下ぐらいの子どもだった。


その姿はなぜか傷だらけであり、紫音たちに懇願するように必死に手を伸ばしていた。

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