表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/15

魔王はメイドと深夜のお茶会をする2

 

 真っ白い壁紙、大きな窓。木漏れ日が差す部屋。木々が風で揺れると、針葉樹からは葉が落ちる。小鳥が枝に止まりこっちを外から見ている。


 僕はなぜかその部屋から出れない。

 たまに来る女の子が、部屋のドアを開けて入ってくることから部屋には鍵がかかってないことが分かる。


 女の子は、僕に外にあるたくさんの物をプレゼントしてくれる。最初に貰ったものは分厚い「本」だ。僕はあまり興味がない本だったけれど、長い時間一人で部屋で過ごすのに暇潰しに読んだ。


 数日後、彼女はまたやって来て僕に自分の一番大切にしている「ぬいぐるみ」をくれた。


 一番大切なら自分で持ってればいいのにと、僕はそれを受け取り、棚に置いた。


 再び、彼女はまたやって来て、今度は僕に「制服」と「靴」をくれたんだ。僕は制服をハンガーにかけると壁に吊るした。


 新しい服をくれたということは、もうすぐ自分がここから出れるという証拠だった。僕は部屋の中で新しい靴の履き心地を試して、いまかいまかと待っていた。


「迎えに来るからね」


 そういって女の子は最後に花束を持ってきてくれた。でも、いつになっても迎えに来てくれないんだ。


「結局、魔王様はどこに捕らわれていたのですか?」


「それが思い出せないんだ。ただ覚えているのはーー……。


 僕が今覚えている鮮明な記憶は、常にその真っ白な空間には、大切な子がいたこと」


 眠くなってきたナーガは目を擦る。エプロンとカチューシャを外して、目を閉じた彼女を自分のベッドへ運ぶと、あたたかい布団を被せ、頭を撫でた。


「おやすみ、ナーガ。


 ……そして、僕の大切な子」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ