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No.16 暗雲漂う一時~王妃様の悲願


【ローゼ王妃side】


ガシャンッとグラスの割れる音が、部屋の中に響く。

壁に当たったグラスからこぼれたワインが、絨毯に赤い染みを作っていく。


「どいつも、こいつも…!」


頭に浮かぶのは、白銀の髪にアメジストの瞳の憎らしい女。

あれさえいなきゃ…そう思って実行したのに!

邪魔が入った。それも、人ざる者によって。

そして昨日。

陛下の采配で、キースの婚約が決まった。

相手はあの憎らしい女。

爪を噛んで考える。どうすれば、軌道を此方へ向けられるか。


「あの、王妃様…」


その声に顔を上げる。

ハニーブロンドに空色の瞳。

一目で気に入って、最近は話相手になっているニード・サルエル子爵の次男。

じっと見て、策を巡らせる。

婚約を壊すには?

どうしたらアレを排除出来る?

この際、キースだけでいい。

傀儡に出来たら…第二王子なのだから、公爵家の次男よりは発言権が強いはずだ。

そのためには、ワタクシが用意した令嬢に骨抜きになってもらわなくては!

同時に、アレを引き離さなくてはダメね。


「ねぇ、ニード?少しワタクシのお願い聞いてくれるかしら?」


「お願い、ですか?」


「えぇ、小さなお願い。それを叶えてくれたら…貴方のお願い、なんでも叶えてあげるわ」


悪い話ではないでしょ?と、足を組変えて囁けばゴクッと喉を鳴らして頷く。

視線は足へと流れていると知りながら、気がつかない振りをして。

本当に男は単純。若ければ余計に。

陛下もそうであったなら……今と違った未来があったはずなのに…。

魔力が無いだけでワタクシを拒んだ陛下が、今は憎い憎い憎い……。

だから、ワタクシは動かなくてはダメなの。

誰を蹴落としても、ワタクシはワタクシの理想郷を実現してみせる。

魔力も国も手に入れてみせる。

ねぇ、陛下。

貴方様は何を見ていますの?

ワタクシの理想郷が実現した時、陛下にはワタクシしかいませんのよ?


赤い紅を引いた唇を吊り上がる。

まだ始まったばかりですもの。

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