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雨の日の僕と君
「雨、やまないね。」
「…うん。」
「傘、ないの?」
「ううん。ある…」
騒がしかった玄関はいつの間にか僕と君しかいなかった。
「帰らないの?」
「…」
君は何も答えない。
なんとなく、気づいてはいたんだ。
「…言っていいよ。」
「っ…」
君は優しいから…
たくさん悩んで…きっと僕の知らないところでたくさん泣いたんだろう。
君の「おはよう!」の明るい声、
いつからか少し擦れていたよね。
みんなはわからないだろうけど、
僕は気づいた。
君の大丈夫が口癖だってことも僕は分かっていた。
でもね…
僕は…
どうすればいいのかわからなくて…
「…何も無いよ」
君はそう笑う。
いつものように僕が大好きな君の嘘の笑顔。
「別れたい。って言ってもいいよ。」
なんて、
怖くて言えなくて…
ああ…また君を悲しませるのに…
「帰ろうか…?」
「うん…」