女子達の提案
俺は和久井真彦。至って普通の脇役だ。
リア充爆散団の一員を逃したんで由莉に合体技の提案をされたので、
夏葵にそのことを伝えたところ彼女にこういわれた。
「合体技を打つなら、コンビネーションが大事よね。なら……」
「なら?」
「真彦と一緒に何かするってのはどう?」
するとゆめはこういう。
「何かって何?まさか、デートとでもいうの?」
「似たような物かもね。恋人同士じゃないけど」
「まあ、別に構わないわ。浮いた話が少しはあっても学生だし」
そういう問題じゃないだろ、といおうとしたところで幸美がこういう。
「めんどくさいわね。でも、真彦は悪い人じゃなさそうだし」
幸美、お前もか。1対3じゃ分が悪い。由莉、何とかいってくれ。
「別に恋人同士ってわけじゃなくても、合体技には絆が必須だしね」
駄目だこりゃ。でも、一応いうだけいっておこう。
「待てって。俺は脇役なんだぞ?俺を中心にして何がおもしろいんだ?」
すると夏葵はこう返した。
「女の子が二人っきりで町を歩くとさすがに違和感があるわよね?」
「同姓間で生殖可能にする魔法が広まってる今、そんなことを気にするか?」
「中等部の人間がそうだって思われるのは、さすがに厳しいわ」
それもそうかもしれないが、俺は脇役だ。
女の子と二人きりなんて危すぎる。
そんなことはまるで主役みたいじゃないか。
「由莉、お前のお兄さんを魔道部に入れれないのか?」
「同じ学校ならとっくに呼んでたわ。冷静じゃないのね」
由莉のいうように、俺は確かに冷静じゃなかったかもしれない。
だが、この状況で冷静さを保つのは無理がある。
「これで冷静でいられるか。俺は脇役だから柄じゃないってのに」
「今はリア充爆散団の脅威が迫っているからそれどころじゃないわ」
そこにゆめがこう割ってはいる。
「真彦には彼なりの美学があるのよ。ここは私が主役として人肌脱ぐわ」
「お前が、主役になるというのか?なら、俺も文句は無いが……」
「そうよ。あなたは私を引き立てるために一緒に動く。それならいいわよね?」
「さすがにリア充爆散団が迫るのを放ってはおけないし、文句はないさ」
それを聞いた夏葵はこういう。
「で、具体的なプランはあるわけ?」
「こういう時は大抵行くところは決まってるのよ」
俺はゆめがどこに行くつもりなのか分からなかった。
「デパートかショッピングセンター。絆を深めるならお決まりの場所ね」
俺はゆめに、こう突っ込まずにはいられなかった。
「そういうとこに男と女が行くなんて、まるっきりデートじゃないか!」
続く