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由莉の秘密

 俺は和久井真彦。至って普通の脇役だ。

 調理部の作戦でリア充爆散団の一員である間橋穂花を誘い出したのだが、

まんまと逃げられてしまう。

 それはともかく部員の属性はこれで全て割れた。

 夏葵が金属性の使い手であることは聞いていたし、

ゆめが雷属性の使い手であるのは有名だ。

 無論使い手としての属性以外も魔法使いなら使えるが、

最初の一撃は自属性を使うことが多い。

 故に穂花は土属性の使い手だと思ったし、

由莉も風属性の使い手だろう。

 あえて自属性ではない属性で攻撃した可能性があるとすれば、

それは穂花のほうだろう。

 由莉が穂花を逃がすまいと思って放った魔法が自属性ではない、

なんてことはないはずだ。

「ごめん、真彦。逃がしちゃったわ」

「問題ないわ。料理は無事だし、相手の引き際が良かっただけよ」

「幸美のいう通りだな。あんな引き際に対処するのは難しいだろう」

「相手の規模が分からないなら、合体技を使うしかないわね」

「魔道は基本的に一対一を想定した術だぞ?」

「そこは分かってるわ。私の兄も魔道を習っているから」

「お兄さんが居るの!?」

「幸美が驚くのも無理はないよ」

 俺は別に驚かなかった。由莉は自分のことを一人っ子とはいってないからだ。

 かくいう俺に兄弟は居ないが。

「隠していたわけじゃないのか?」

「別に兄弟のことをいわなきゃいけないって規則はないわよね?」

「それもそうだが……」

「ちなみに双子よ」

「ということは二卵性双生児ね」

「いいえ、一卵性双生児よ」

 一卵性双生児は遺伝子がそっくりそのまま同じになるはずで、

性別が違うなんてことはないはずだ。

 いくらなんでもフィクションだろう。

「一卵性双生児の男女は世界でも数例しか報告されてない」

「けど、まさかあなたがそうだなんて」

 実際にあることなのか。俺はアニメだけの話だと思っていた。

「私の場合、母親の性染色体がXXX……スーパーウーマンなの」

「つまり、どういうことなんだ?」

「由莉の場合は受精した際、性染色体はXXYだったと考えられる」

「クライン・フェルター症候群か。だが、それがどう関係するんだ」

「一卵性双生児なら同じ卵子だから性染色体も同じになる」

「それは常識だろ」

「だけど彼女の場合、性染色体が分裂の際XXとXYに分かれたのね」

「そうよ。だから一卵性双生児の男女が生まれたってわけ」

「ややこしい話だな……」

「まあ、兄が魔道の使い手だから魔道のことは知ってるわけか」

 俺の疑問に由莉はこう返す。

「そうよ。だけど合体技がないと、きっと彼女達は倒せないわ」

「なるほど、ならお前の提案には賛成だ」

 だが俺は知らなかった。このことが俺の運命を大きく左右するなんて……


続く

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