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そして表彰式で

 俺は和久井真彦。至って普通の脇役だ。

 決勝戦でも俺は何とか勝ち、結果として玉央学園はストレート勝ちを収めた。

 戻ってきた俺は、夏葵の先導でひとまず休憩室へと連れられた。

 そして、真っ先に祝福したのは穂花だった。

「やったわね、真彦」

「ああ。楓に勝てたのは正直自分でも凄いことだなって思う」

 それを聞いた由莉はこういう。

「でも、真彦も凄いよ。お兄ちゃんに勝ったんだからさ」

「それは多分、ゆめのおかげだ」

 すると、ゆめはこう返す。

「どうして私のおかげなの?私は私の戦いをしただけよ」

「そうじゃなくて、あの前方宙返りだよ」

 それを聞いた幸美はこういう。

「まさか、あなたがそれをするなんてね」

「爆発だからな。炎の間をくぐるよりは安全だと思ってな」

 すると、夏葵はこういう。

「それはゆめに悪いわよ」

「別にいいわ。あれは我ながら無茶しちゃったし」

「あ、良かったのね」

 そういう夏葵に対し、俺はこういう。

「で、晩餐会はどうするんだ?」

「私の奢りだけど、どこにするのかってこと?」

 夏葵がそう問いただしたので、俺はこう返す。

「今からなら充分閉店前までには着けるだろうし、寮の近くのショッピングセンターはどうだ?」

「なるほど、そこのバイキングにするってことね」

「そういうことだ」

 するとゆめはこういう。

「あのバイキング、結構美味しいのよね」

「やっぱゆめはそういう店にいったりするのか?」

「打ち上げの時にいったことあるけど、中々美味しくて。贅沢したいときはあそこにいってるわ」

 すると幸美はこういう。

「学生にとってあの店は少々高いからね」

「そうね。驚くほど高いってわけでもないけど」

 そういうゆめに対し、俺はこういう。

「小遣いから出すのか?」

「いいえ、食費からよ。昼食は調理部の余りを分けてもらえることがあるしそこから工面してるの」

「由莉が調理部だもんな」

「そうね。そればっかりは感謝してもしつくせないわ」

 すると、由莉はこういう。

「私は料理が得意なだけなんだけどな……まあいいわ」

 そういう彼女に対し、俺はこういう。

「将来の夢は料理人か?」

「そのつもりよ。戦うメイドさんから戦う料理人にランクアップよ」

「戦うコック、じゃないんだな」

「そこはもう前例が居るし」

「アニメにそういう奴が居たからか?」

「まあ、そうなるわね」

 すると、穂花がこういう。

「みんな、そろそろ表彰状が始まるよ」

 そういわれた俺はこう返す。

「もうそんな時間か。それじゃあ、急がないとな」

「分かってるわ。行くわよ、みんな」

 夏葵の音頭で、俺達は開会式の時集まった場所へと向かう。

 そこに着いたときは、表彰式の十分前であった。

「まあ、こんなところだろう」

 そしてしばらく駄弁っていると、十分が経過する。

 他の生徒も集まっていたところを見るに、

みんな早めに来ていたらしい。

 それを見た司会者は、感心したような表情を浮かべつつステージの上に立つ。

「さて、表彰式をはじめます」

 すると、まず司会者はこういう。

「先に個人戦からです」

 個人戦についてはどうでもよかったので、適当に聞き流す。

 団体戦と個人戦が同時だったので、

それら二つを掛け持ちする人は居なかったということだろうか。

 ともかく個人戦の発表が終わると、司会者がこういう。

「さて、次は団体戦です」

「銅賞、旗井山学園」

 旗井山学園の生徒達が前に出る。

 その表情は気の軽いものであり、

彼らも相応に満足のいった結果だと受け止めたのだろう。

「諸君らは第12回中高共同魔道大会においてこの成績を収めたので、それを表彰する」

 主将である夏歩が、代表としてトロフィーと表彰状を受け取る。

 そして、旗井山学園の生徒達は元の位置へと戻っていった。

「銀賞、八笠台学園」

 八笠台学園生徒達が前に出る。

 俺達とは激戦の末のストレート負けとなっていたが、

状況次第では展開は変わっていたと思う。

 優勝候補同士の戦いも制しており、

その実力は遺憾なく発揮できていたと思う。

 実際に実力が出せていたかどうかなんてのは、

当人でもないし断言は出来ない。

 しかし、表情から推察するに全力は出したようだ。

 表情の細やかな動きは見れないが、俺にもそういったことは分かる。

「諸君らは第12回中高共同魔道大会においてこの成績を収めたので、それを表彰する」

 やはり主将である楓が、トロフィーと表彰状を受け取る。

 そして、八笠台学園の生徒達は元の位置へと戻っていった。

「金賞、玉央学園」

 俺達が前に出る。俺は脇役だが、主将なのでやはり俺が代表なのだろう。

「諸君らは第12回中高共同魔道大会においてこの成績を収めたので、それを表彰する」

 そういわれ、俺が前に出る。するとトロフィーと表彰状が渡された。

 俺達が元の位置に戻ると、夏葵はこういう。

「どうだった?」

「ああ。まさか俺が代表になるなんて思わなかった」

「感想はそれなのね。まあいいわ」

「ともかく、トロフィーとかはかばんに入れておく。なくしちゃいけないしな」

 そういって俺はトロフィーと表彰状をかばんに入れた。


続く

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