地方大会決勝・先鋒
俺は和久井真彦。至って普通の脇役だ。
準決勝も終わり、ついに決勝になった。
荒丘学園の連中は力こそ強かったものの、
それ以上のポテンシャルはなかった。
ゆえに八笠台学園の生徒の前では、
小学生が大人に挑んだかのようなあしらわれ方で倒された。
そして俺達は楓の居る八笠台学園の生徒達と戦うため、
休憩時間を生かし控え席で体を休めていた。
すると、由莉はこういう。
「相手はお兄ちゃんの居る学校だけど、遠慮はいらないよ。そういうのは却ってあれだし」
すると、穂花がこういってくる。
「私は戦わないけど、こういうときは遠慮した方が失礼になるからね」
「穂花のいう通りだ。とにかく、全力で戦おう!」
すると、ゆめがこういう。
「真彦のいう通りね。ここまできたなら、優勝目指すわよ!」
「もしかしてなんだけど、ゆめは真彦が好きなの?」
「ええ。彼は大切な仲間よ」
そう返すゆめに夏葵はこう返す。
「仲間…いい得て妙ね」
「そういう幸美こそ、真彦が好きなんじゃないの?」
そう問いただしたのは由莉だった。
「私も目標として、気になるところではあるわね。そういうあなたはどうなの?」
「何やかんやで熱い人だし、お兄ちゃんの代わりと思えるくらいかな」
すると夏葵はこういう。
「私も副部長として、真彦のことは期待してるわ」
それを聞いていた穂花はこういう。
「真彦、あなたいつの間にハーレムフラグを立てていたの?」
「これをハーレムというなら、某海賊団の船長は男女問わず攻略してることになるぞ」
「人によってはそれでも一級フラグ建築士として扱うのよ」
穂花がそういってきたので、俺はこう返した。
「たく、俺はわき役だぞ?主役より人望があったって意味がないのに」
「それなら、もっと距離を取ればいいじゃない」
「仲間だぞ?そう簡単なことで無下にはできない」
「そういうところが好まれるのかもね」
「そういうお前も、俺のことが好きだっていうのか?」
俺がそう問いただすと、穂花はこういう。
「そうね。あなたには私を導いて欲しいから」
「自分でいうのは何だが……穂花、お前もか」
それを聞いて幸美はこういう。
「朴念仁なのと好意は受け取りつつ一定の距離を取ろうとするの、どっちがいいのかしらね」
「知るか。俺は脇役だぞ?その手の人気取りとは無縁だ」
すると、ゆめが俺にこういってくる。
「じゃあ、逆に聞くけどあなたにとって主役は誰なの?」
「全員何かしら主役になるチャンスはあると思うぞ。穂花も含めてな」
それを聞いて反応したのはなぜか由莉だった。
「昔不良だったけど更生した主人公、っていう役柄かな?」
「まあ、そんな感じだな」
すると、由莉はこう返す。
「でも、それをいったら真彦だって主役になる素質があるよ」
「そうそう。やれやれといいながらも問題を解決していく役柄」
夏葵がいいたいことを、俺はこういって遮る。
「いまどきそんな主人公はテンプレすぎて見るやつに呆れられるんじゃないのか?」
「だから今更誰もそんなキャラを主役に配さない、といいたいの?」
「夏葵のいう通りだ。見るやつのウケがいいかは作品作りにおいて重要だからな」
「でも……」
そういう夏葵の言葉を俺はこう遮る。
「その続きは先鋒戦が終わってからだ。いい加減試合が始まる頃だしな」
すると休憩終わりのアナウンスがされる。
「と、確かにその通りね。ゆめ、準備はできてる?」
「もちろんよ」
ゆめはそういってマットへと上がる。
彼女の対戦相手である文香も、
マットへ上がり彼女と相対していた。
「いよいよ決勝です。初参加にして決勝まで進出した玉央学園」
「そして荒丘学園の底を見破り、軽くあしらってみせた八笠台学園」
「この両者の戦いは、波乱に溢れた今回の大会の象徴といえるでしょう」
「玉央学園の先鋒廣瀬ゆめ。八笠台学園の先鋒、逸見文香」
「それでは、試合開始です」
それを聞いたゆめと文香が構える。
「行くわよ、フリーズブレード!」
そういって文香が構える。
「氷だから雷は通しにくいし、そのまま受ければいい。考えたね」
「だてにここまで勝ち上がってきたわけじゃないのよ」
文香がそういった後、ゆめと文香はお互い踏み込めずに居た。
だが一ついえることがある。
この戦いは接近戦で決まる。
雷属性はどちらかといえば距離を取るのが得意だが、
接近戦においても相応の力を発揮する。
なので接近戦を得手とする氷属性でも油断はできない相手だ。
だからこそ相性が互角なわけだが。
「貰ったわ!」
文香はそういい、ゆめを切りつけようとする。
しかしゆめは、彼女の左に回り込む。
「いや、この距離は一番蹴りこみやすい距離よ。サンダートルネード!」
ゆめはそういい、雷を纏った回し蹴りを文香に食らわせる。
「うっ!」
それを見た審判はすかさずこういう。
「勝負あり!ゆめ選手の勝利です!」
審判の宣言を聞き、文香はこういう。
「一本取られたわね……」
「でも、隙が無かったから一か八かの賭けだったわ」
そういってゆめは俺達のところへと戻ってくるのだった。
続く




