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主役と脇役

 俺は和久井真彦。至って普通の脇役だ。

「脇役のどこがいいんだ?時代はやっぱり主役だろ」

 調理部の生徒にこういわれたら、こう返さずにはいられなかった。

「脇役がいてこその主役だ。脇役は主役を引き立てるスパイス。カレーでいうたまねぎみたいな物だ」

「なるほど、いい得て妙だね。でも人間誰しも一度は主役になりたいと思う物じゃないか?」

「余計なお世話さ。俺は脇役として主役を支える方が性に合っているんだ」

 すると由莉がこういう。

「でも、リア充爆散団については放っておけないとかいってたよね?」

「脇役だからって主役を待たなきゃいけないっていうルールはない」

「主役が居ないうちは、脇役が場を持たせないと何も守れないんだ」

「そういうものなのね」

 そこに幸美もこういう。

「主役っていうのはお人よしだと思うわ。自分から身の危険に突っ込んでいくんだから」

「俺はそうは思わない。主役っていうのはある意味自己満足だと思う」

「それはどうして?」

「誰かを積極的に救う、なんていえば聞こえはいいが後先は考えてないからな」

「確かに、そうかもしれないけど。後先なんて考えられる物なの?」

「主役はそういうのを考えなくてもいい。脇役が主役の失敗をフォローするんだからな」

「主役が先頭を走って、その後詰めが脇役なの?」

 その疑問に俺はこう答えた。

「時と場合によるな。脇役が受身で流した事態を主役が解決するときもある」

「脇役って本当に引き立て役なのね」

「だからこそ、俺はそういう脇役になりたいんだ。突っ走る主役の右腕、それは尊い物だからな」

 それを聞いていた由莉はこういう。

「そういう人って割と主人公気質だったりするのよね。最近のアニメとかは割と巻き込まれ型が多いし」

 俺はアニメをかじったくらいだが、確かに最近の流行は巻き込まれ型が多い感じもする。

 そういうのが好まれる時代なんだろうとは思うが、俺はこれだけはいっておいた。

「俺はあくまで脇役だ。主役なんて柄じゃないさ」

 するとさっきの調理部員がこういってきた。

「誘い出しようのエミレットに、アシタールスープができたわよ」

 エミレットは鶏もも肉をホワイトソースで煮込んだ料理だ。

 ホワイトソースが絡み付きやわらかくなった鶏もも肉は何ともいえない美味しさだ。

 そしてアシタールスープはコンソメスープに玉ねぎとキャベツ入れてで作り、

その後キャベツの芯を取り出して完成する。

 キャベツの芯からは少しは味が出るだが、

せいぜい味をまろやかにする程度である。

 しかしそれの有無では感じが違ったりするので、外すことはできないのである。


続く

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