調理部のメイド
俺は和久井真彦。至って普通の脇役だ。
三枝由莉はメイド服だったが、放課後なら別に問題ない。
部活であれば何を着ていようとどうだろうといいのだ。
調理部の服は男なら執事服で、女ならメイド服なのだ。
由莉が戦うメイドさんを名乗ってるのもそれにちなんでだろうが、
何でわざわざ名乗るのかが分からない。
「三人も戻ってきたところだし、打ち合わせをするか」
俺は部員五人が集まったところでこういった。
「で、調理部のほうでもリア充爆散団の対策はしているのか?」
「危ないから嫌だっていってるの。根性がないわね」
それに対しゆめはこういう。
「まあ、リア充爆発が目的なら戦闘力もありそうだしね。爆発だから、無属性かな」
「こういう時の爆発は比喩よ」
夏葵は冷静に返してきた。
「そうなんだ。私覚えた!」
「それどこのネタだ」
このゆめという少女、やや天然らしい。
まあ、そういうところもひっくるめて好まれているんだろうが……
「まあ、ここは由莉の料理で釣って情報集めるのはどうなの?」
「調理室でもないのに料理するわけにはいかないだろ」
すると由莉はこういう。
「いや、調理部を魔道部が守るとなれば調理室を使わせてもらえるかもしれないよ」
「なるほど、意外に考えてるんだな」
俺がこういうとゆめにこういわれてしまう。
「私が天然だと思ってたよね?これでも演劇部だからそれなりの考え方はできるわ」
図星だ。とてつもなく図星だ。
「天然だと思ってすまなかったな」
「別に謝ることでもないわ」
案外気にしてないようでよかった。なんてことを思っていると夏葵はこういう。
「ビラ配りは私がやるわ。あなたは調理部を護衛しといて」
「確かにビラ配り中に襲われるリスクは大きいが……」
すると幸美がこういう。
「面倒くさいわね。でも、そんな連中は放って置いたほうがもっと面倒なことになるかもしれないわ」
「幸美がやる気なら、俺もやるしかないだろうな」
「私はビラ配りにさせて貰うわ。ずっと調理部についてる時間はないしね」
「まあ、ゆめの場合は仕方ないな。演劇も忙しいだろうし」
「じゃあ、私とゆめがビラ配り。真彦と幸美、そして由莉が調理部護衛という風に分かれるわね」
それについて異存を述べる奴は居なかった。
どうやら幸美も俺達と一緒に調理部の護衛をしてくれるらしい。
いたいけな少女と二人きりというのは避けられそうだと思い、
俺はひとまずほっとしてしまったのだった。
だが、それがそもそもの間違いだったということを俺はまだ知らなかった。
続く