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夏練四日目

 俺は和久井真彦。至って普通の脇役だ。

 夏練も四日目に差し掛かり、夏葵が買い出しに行っていた。

 なんでも、今日の夜飯は豚汁にするらしい。

「飯盒もってきたからね。それでやるんじゃない?」

 そういう由莉に対し、俺はこう返した。

「そのためにわざわざ味噌を買うってのも何か違う気がするけどな」

「カレーを置いてあるってことは知ってるはずだしね」

 それは幸美のいう通りだ。

 食券を買ってあるということはカレーがあることも知っているはずだ。

 むしろ知らないほうが可笑しいと思う。

 にも関わらず飯盒を持ってきたのは、

あきらかに豚汁を作るためだ。

 ついでに、豚汁と一緒にご飯も炊くつもりだろうが。

 それはそれとしてである、夏葵が来るまではとりあえず遊ぶことになる。

 遊んでからしばらくすると、彼女が具財とともに冷やし中華を持ってきた。

 五人分あるそれは、今日の昼食のようであった。

「さて、いただきます」

 とりあえず俺達は冷やし中華を食べる。

 すると、夏葵はビニールのボールを取り出しこういう。

「明日は、あの海の家のカレーを食べるわ。だから、ビーチボールするわよ」

「なるほど、今日の内にいっておくというわけか」

「そうなるわね。ともかく、昼食を食べ終わったら少し休んで海遊びするわよ!」

 というわけで、俺達は再度海遊びを始める。

 そして夕方になり、俺達は海の家へと集まる。

「今日はご飯を炊くわよ。飯盒で炊くから、慎重にやらないとびちゃびちゃよ」

 それを聞いた由莉はこういう。

「そういうのは私に任せてよ。他の四人は、豚汁作っといて」

「そのお米は無洗米なんだよな?」

「真彦のいう通りね。水は飲料水を使えるけど」

 レジ袋にあったペットボトルは、確かに大量の飲料水が含まれていた。

「まあ、とりあえず肉を裂いていかないとね」

 そういったのはゆめだった。包丁がないとはいえ、お前もか。

「包丁があればいいんだけどね。こういう時は手で裂くしかないわ」

 幸美は冷静ないい方だったので、何故か気にならなかった。

 気にした方がいいのかどうかなんて俺の管轄外だから、

ここは置いておく。

 とりあえずカット野菜を台の上に置き、

俺は粉末だしと飲料水を飯盒に入れる。

「さて、豚汁を火にくべるのはまだ先だな」

「そうね。ご飯が炊けるまでは時間が掛かるし」

 ゆめは由莉と行動するので、そのことは良く知っているのだろう。

 ともかく、由莉がお米を入れた飯盒を火にくべる。

 こうすることでご飯を炊くことができるのだ。

 当然時間が掛かるので、俺達はその間とにかく豚汁の用意をしていた。

 それも終わったら彼女を置いて遊ぶのも忍びないので、

とりあえずそのへんをぶらぶらしていた。

 俺達がそんな風に時間を潰し始めてから、

幾つの時が流れただろうか?

 俺達は由莉に声を掛けられた。

「もうそろそろ炊けるから、豚汁を作っといて」

 だしをとかした水が入った飯盒を火にくべる。

 そうして水が沸くのを待っていると、

水がお湯になっていくのでそこに肉や野菜を入れていく。

 しばらく温めてから、

最後に味噌を入れるのだ。

 だが、今は早い。

 少し待っておき、灰汁が出るのを待つ。

 灰汁は海の家の排水溝に捨てればいいので、

とりあえず飯盒を排水溝近くに持って行き灰汁だけが落ちていくよう気をつけた。

 そして灰汁が出終わったので、

ようやく味噌が溶かされる。

 ゆっくりとスプーンで溶かしていく。

 味噌を溶かす奴が無いので、スプーンで代用しているのだ。

 ともかく味噌を溶かし終え、飯盒は五つあるのでそのまま配る。

 無論、ご飯を含めたら十個だ。

「さて、出来たよ」

 由莉は調理部だけあって、上手くご飯を炊けたようだ。

 とりあえず、そのへんの炊飯器に負けてはいない。

「すごいな、由莉って」

「それほどでもないよ」

「私も尊敬するわ。そこまでのことを一人でできるんだから」

 夏葵も素直に感服したようだ。

「とにかく、みんなで頂くわよ」

 幸美がそういうと、ゆめもこういう。

「そうね。折角ご飯を炊いてもらっても、冷めちゃったら意味無いものね」

 そして、五人は一斉にこういう。

「いただきます」

 食べ物は見た目がよければいいわけでなく味が肝心なのだが、

味もしっかりしている辺りはさすがだと思う。

 由莉は調理部だけあって料理上手なのかもしれない。

 調理部に居ても料理が苦手な奴だって居るかもしれないが、

少なくとも彼女は当てはまらない。

 むしろプロとしてやっていけるんじゃないかって程上手い。

 まあ、そんなことを考えている間にも俺達の箸は進んでいく。

 食べ終わった、当然ながらみんなでこういう。

「ごちそうさまでした」

 そしてごみを持ち帰りつつ、ホテルへと向かう。

 そして銭湯に入り、部屋に行って眠る準備をする。

 パジャマに着替えて歯を磨く。

 枕投げをする機会は今までなかったなと思いつつも、

誰もそれをやろうとはしなかった。

 俺も無理に枕投げがしたかったわけではなかったし、

みんながベットに入るのを見届ける。

 トイレに行っていたので寝るのは一番最後になってしまったが、

俺もベットに入って寝ることとした。


続く

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