リア充爆散団の脅威
この俺和久井真彦は至って普通の脇役だったはずだが、
何故か高見澤幸美に勝負を吹っかけられた。
俺はただ魔道部の副部長やってただけなんだがな……
ともかく幸美とかいう奴の挑戦も退けて、
何とかそいつの信頼は得たらしい。
「やるわね。勝負を挑んだかいがあったわ」
実際幸美もそういってたし、それは間違いないだろう。
そう思っていると、部室に二人の生徒がやってくる。
「あの……ゆりに連れられたんだけど」
「どうも、さいぐさゆりよ。調理部だけど戦うメイドさんなの」
そういってさいぐさゆりは学生証を取り出す。
そこには『三枝由莉』と書かれていた。
もう片方はそれが無くても分かる。
黄髪ポニーテールの美女で、演劇部の部員にして学園のアイドル。
その名も高い、廣瀬ゆめだ。
「お願いがあるの。もちろんただでとはいわないわ。受けてくれるなら演劇部と兼部するから」
文化部と体育部は兼部が可能だし、魔道は体力作りには持って来いではあるかもしれない。
しかし演劇部だけでも忙しいのに兼部を持ちかけてまで何を相談しに来たんだろうか?
「私が張り紙を見てね。魔道部なら解決してくれるんじゃないかっていったの」
由莉も状況を説明したが、そこはどうでもいい。
何故兼部までして相談を持ちかけたのかが重要なのだ。
「これ、見てくれるかな?」
そこには『リア充爆発しろ!リア充爆散団by熊田史菜 (くまだふみな)』と書かれていた。
「リア充って何だよ。日本語でおkだ」
俺は思わずそういったので、ゆめがこう返してくる。
「リア充っていうのはリアルが充実してる人、のことよ。だから私も狙われるんじゃないかって」
ゆめに浮いた話は無いが、つまるところ演劇部の日々が充実してるからリア充扱いされそうということか?
とりあえず俺はこう問いただした。
「お前はリアル……つまり今が充実してると思ってるのか?」
「そうね。恋人とかは居ないけど演劇部の仲間は優しいし、充実してると思うわ」
するとそこに由莉がこう割って入った。
「ちょっとまって。ここで『リアルが充実してる』というのは恋人が居るってことよ」
「えっ、そうだったの?先にいって欲しかった気もするけど」
「放ってはおけないんだろ、ゆめ?大丈夫。部員も欲しいところだしやってやるさ」
「そうね。約束は約束だし、私は由莉と一緒に、この部活に入るわ」
「私は元々、戦うメイドさんを名乗るからには魔道を上達させたい」
「だから、この部活に入ることへの異存はないわ」
こうして、二人の入部希望者が現れた。
俺はこれで魔道部が存続していくのに必要な人数も集まったし万々歳だと思っていた。
だけど俺は知らなかった。
このことが俺の運命を大きく変えていくことになるなんて……
続く