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夏練一日目・夕方

 俺は和久井真彦。至って普通の脇役だ。

 スイカ割りをした後いくらか海ではしゃいでいた。

 俺以外の部員は全員女性なので何というか微笑ましかった。

 ともかくそんなこんなで日も沈もうとしていたので、

俺達はバーベキュー場に向かっていた。

「真彦のトランクの中には金網だけじゃなく鉄板や飯盒も入っているのよ」

 夏葵はそういった。この重さは燃料の重さだと思っていたので、少々意外だった。

 トランクをあけると実際にそれらの物は入っていた。

 無論コップや皿はもちろん串も一緒だった。

「燃料は海水浴場で用意してもらえるのよ、知らなかったの?」

 そういったのは幸美だった。どうやら俺が意外そうにしているのを見透かされたらしい。

「そうだったのか。そこまで調べなかったからな」

 土台が用意されることはメモっていたが、燃料まではメモっていなかった。

 今度また来るときのために覚えておこう。

「じゃあ、やるわよ。 今日の分の食材は全部幸美のクーラーボックスに入れてるから」

「分かったわ」

 そういって幸美はクーラーボックスを開ける。

 その中には肉はもちろんピーマンや玉ねぎといったバーベキューらしいものがあった。

 タレも何故かクーラーボックスに入っていたが、痛むと思ったんだろう。

「それじゃあ、焼くわよ」

 俺が金網を置いて直ぐ、夏葵が受け取っていた燃料が下の空間に敷き詰められる。

 そして燃料に火の魔石で火が付けられる。

 火の魔石は火を発生させる魔法が込められており、

こういう燃料を安全に着火させることができる。

 みんなが串に肉や野菜を刺し込み、金網の上に置いていく。

 とうもろこしも一緒に金網に乗せると、ゆめがこういう。

「私と由莉のクーラーボックスにはジュースが入っていたわね」

「氷水じゃなくて冷却石をちゃんと使ってくれているから、助かるわ」

 すると、夏葵はこういう。

「冷却石なら、家にある物を持ってきたのよ。使う機会が中々無くてさ」

 冷却石のような魔石にある魔力は長期間使うと、さすがに無くなってしまう。

 なので、人力でそれを回復させなければいけない。

 とはいえ用途が限られる分一週間は確実に持つし、

質の高い物であれば一生涯使い続けることだって可能だ。

 まあそこまで質の高い魔石はそうお目にかかれないため、

大事に保管されている方が多かったりするが。

 無論使ったほうが便利な場合は使われることの方が多いのだけど、

それは本題でもあるまい。

 ともかくゆめ達がクーラーボックスをあけると、

その中にはジュースがあった。

 そして冷却石も底にちらっと見えた。

 ジュースはサイダーからリンゴジュースやオレンジジュース。

 スポーツドリンクに麦茶まで完備とバリエーション豊富だ。

 その辺りが何となく夏葵っぽいとも思ったものの、

彼女がここまで決め細やかな配慮をするだろうかという疑問もふっと沸いてきた。

 まあ、そのくらいの気配りは彼女でも出来るということだろうか。

 ともかく俺は土台回りのテーブルにコップを置き、

ジュースも一種類ずつ置いた。

「好きなのを取っていっていいぞ」

 そういうとゆめはオレンジジュース。俺と由莉はサイダー。

 夏葵と幸美はスポーツドリンクをそれぞれコップに注いでいた。

 ジュースを飲みつつ、俺達は鉄板の上に置いた串焼きととうもろこしが焼けるのを待っていた。

 そして、ある程度焼けると夏葵の合図でひっくり返す。

「タレ、行くわよ」

 夏葵によって、タレが大雑把に掛けられていく。

 だが、炎はそのくらいで勢いを増したりはしない。

 ジュースを飲みながらしばらく待っているとひっくり返したほうも焼けたようなので、

五人は串焼きを二個ずつ、とうもろこしを一個ずつ取っていく。

 そして、五人は一斉にこういう。

「いただきます」

 すると、夏葵はこういう。

「まだまだ具材はあるわよ。おかわりがあったらいってね」


続く

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