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夏練一日目・海辺

 俺は和久井真彦。至って普通の脇役だ。

 トーナメントに向けた合宿の一日目で、

俺は女性達の水着を思わず見ていた。

 男の性というやつなのだろうが、何故か俺自身でもやるせなく感じた。

 ともかくまじまじ見るのもあれなので、

俺はみんなと一緒に海辺へと歩き出していた。

「で、どうするんだ」

 俺はトランクを持ち、他の四人はクーラーボックスを持って歩いていた。

 トランクの中身はそこまで重くないので、

中身はバーベキューセットだろうか。

 土台はこの海水浴場に用意されているので、

金網や燃料さえ持っていけばバーベキューできるわけだし。

「海遊びよ、海遊び!」

 夏葵がそういうのに対し、俺はこういう。

「俺達は遊びに来たわけじゃないだろ!」

 だが、それに由莉はこう反論してきた。

「砂浜の上で歩き回るのは案外足腰の筋肉を使うのよ?」

「そんなに練習したいなら、腕立て伏せでもしてればいいのよ」

 幸美にまでそういわれてしまったら、俺は反論できない。

「さすがにそれはいいすぎだと思うけど……根詰めすぎても良くないからね」

 そんな状況の中、ゆめは優しくフォローしてくれた。

 由莉の意見には同意のようだが。

「分かったよ。折角の海だし、楽しまないとな」

 そういって俺も海へと駆け出す。

 すると、ゆめがあるポスターを見つける。

「ミスコンが明後日開催だって!?」

「いっとくけど、俺は女装しないぞ」

 何故か悪い予感がした俺はゆめにこういう。

「そのへんは心配ないわ。魔法とかで性転換してないかもチェックされるらしいし」

「心と身体の性別が違うからってんで手術を受けた奴は識別呪文があるからな」

 なので、そういう人間は魔法で性転換してるかどうかのチェックは免除される。

 悪用を避けるため、その識別呪文の掛け方は医療関係者以外誰も詳細を知らない。

 無論俺だって詳しいことは知らないが。

 だがそういう呪文が掛かってるかは知る呪文があるし、

その呪文はは高校生になれば学ぶことだ。

 またそういった呪文の存在自体は、

今時なら中学生でも知っていることだ。

「まあ、とにもかくお前には関係ないことだ」

「ええ。出るかどうかは明日決めないとね」

 そんな会話をしていると、由莉がこういってくる。

「どうしたの、二人とも?ん、そのポスターを見てたの?」

「そうよ」

 すると、幸美はこういう。

「私はパスね。そういうのは見るだけでいいわ」

「私もよ。さすがにゆめとそういうので戦える自信はないから」

「夏葵はどちらかいうとボーイッシュだしな」

 すると、夏葵はこういう。

「褒め言葉として受け取って置くけど、ぼさっとしている暇もないわよ」

「ああ、海遊びするにしたって先を急がないとな」

 そういって俺は海に出る。

 すると、夏葵がクーラーボックスを開ける。

 中にはスイカが手ぬぐいに包まれ五つ入っていた。

「まさか、スイカ割りか?」

 そういった俺に対し、夏葵はこういう。

「そう、そのまさかよ。あなた達には回し蹴りでスイカ割りをしてもらうわ」

「マジかよ!」

 そういいつつ、俺は周りに人気がないことを確認する。

 一応、安全確認をしてから行わないと周りを巻き込んでしまうからだ。

 まだ夏休みに入ったばかりなのもあってか、

俺達がいるところの周辺にはチームの仲間以外誰も居なかった。

「まずはゆめからよ」

 ゆめはサンダーサーチによるソナーがあったためあっさりスイカを割る。

 ならばと由莉はウインドサーチで探すが、

海からの風もありそう上手くは行かないようだ。

 だが、それを計算しつつスイカを探したので何とかスイカを割れた。

 幸美は置いた場所との距離感を計算しつつ、

冷静にスイカを割った。

 提案者の夏葵は周囲の助言に割かし頼っていた。

割るときに備えて自前の剣を召喚したりしない辺り割と律儀だとは思ったが。

 ともかく、次は俺の番だ。

 スイカの位置を覚えつつ、目隠しされる。

(斜め右よりやや向こう、だったな)

 そう思いつつ身体を斜め右に傾け、

そのまままっすぐ歩く。

 早足ではないが一歩一歩歩く。

「前、前!」

 この声は四人の声だ。

 俺はそれを待っていたのだ。

 今度は身体を斜め左に傾け、まっすぐ歩く。

 何かが当たる感触がする。

 俺は二歩ほど下がり、正面に思いっきり回し蹴りを放つ。

 バコン、という音が聞こえた気がした。

「目隠し、とっていいわよ」

 そういったのは夏葵だ。

 ということは、と俺は思いつつ目隠しを外す。

 すると、そこには案の定割れたスイカがあった。

「中々やるわね……」

 そういったのは幸美。

「こういうのは位置関係を捉えておけば何とかなるもんだ」

「私もその理屈でやったんだけど、あなたがそうやるとは思わなかったわ」

「俺もそれなりの思慮深さはあると思うんだがな」

 皮肉る俺に、ゆめはこういう。

「まあ、魔道に興味を持っていたんだしそういうのもありだとは思うよ」

「私は風にちょっと翻弄されちゃってたから、素直に尊敬するわ」

 そして割れたスイカは五人居れば何とか食べきれるだろうが、

一応クーラーボックスに入れておくことにした。


続く

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