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夏練一日目・水着

 俺は和久井真彦。至って普通の脇役だ。

 一週間の間トーナメントに備えた合宿をすることになった俺達は、

とりあえずラーメン屋でとんこつラーメンをすすっていた。

 腹が減っては何とやらというやつなので、決してサボっているわけではない。

 まあ、ラーメンの味が美味しいのは確かだが。

 その味はおすすめというだけあってかなりの物であり、

お約束の不味いラーメンとかいわれる味ではない。

「ごちそうさまでした」

 とんこつラーメンを食べ終えそういった俺達は、

一路ホテルへと向かう。

 荷物はローラー付きのトランクに入れて持ってきたのでそれを動かしつつ、

目的のホテルを目指す。

「大きいホテルね……」

 そういったのは幸美だった。

「演劇部の時もこんな感じのホテルね。合宿費は取られるけど……」

 そういったのはゆめだった。

「合宿費大丈夫なのか?」

 そういう俺の疑問に答えたのは由莉だった。

「ゆめのお家は金持ちじゃないけど、貧乏でもないからね」

「なるほどな。そのくらいの余裕はあるということか」

 すると、俺は由莉にこう聞かれる。

「逆に聞くけど、あなたの家ってもしかして貧乏?」

「いや。合宿費取られるのが嫌なように聞こえたからああいっただけだ」

 実際、俺の家は金銭事情が悪いわけでもない。

「ともかく、飯を食って直ぐの運動は身体に負担だし少し部屋で休むわよ」

「夏葵に同意だな。こういうのは焦っても意味が無い」

 そういって俺達はロビーへと向かう。

 受付は夏葵の担当だ。

「終わったよ。1103号室だってさ」

「なら、まずエレベーターホールに向かうか?」

「三階までは階段よ」

 そういう夏葵に対し、幸美はこういう。

「面倒くさいわね。でも、それも合宿の内なら」

「私もつきあうよ」

「がそういうなら、私だって乗らないわけには行かないわ」

 というわけで、階段で三階まで上ってからエレベーターホールへと向かうことにした。

 階段を上るのは意外と筋肉を使うのだそうだが、

それも練習の一環としてやる辺り夏葵は柔軟だと思った。

「さて、後はエレベーターに乗るだけね」

 三階のエレベーターホールでエレベーターの呼び出しボタンを押し、

しばらく待つとエレベーターがやってきたのでそれに乗り込む。

 エレベーターのランプは徐々に十一階へと向かっていく。

 実際にそれが見えるわけでもないのだけど、感覚もあるので実感はある。

 そうしてランプが十一階に辿りつき、開いた扉から俺達は降りた。

 そして俺達は1103号室へと向かうのだった。

 1103号室の鍵を夏葵が開けると、そこには広い部屋があった。

「すげー、広い部屋だな……」

「五人部屋なんだし広いのは当たり前よ」

 そう突っ込む夏葵に対し、ゆめはこういう。

「そういう突っ込みは無粋だと思うけど……」

「別にいいわよね?突っ込みが不在だと大変なことになるわよ」

 幸美の指摘に由莉はこういう。

「ホテルの感想をいうのってあるあるだけどね」

「まあ、ともかく一休みするか」

「まず、荷物を置いてからね」

 夏葵がそういい、俺達は荷物を適切な場所に置いた。

「さてと、休むか」

 俺がそういうのに合わせてか、他の四人もごろごろしだした。

 そして10分が経過し。

「さあ、行くわよ」

 そういったのは夏葵だった。

「切り替え早いな。まあ、まだ14時半だしな」

「まず、着替えるわよ。ここは海辺だから海水浴ができるの」

「知ってるわよ、夏葵。だから水着も持ってきたわ」

「ちょっと待て、ここで着替えるのか?」

 俺がそういうとゆめがこういう。

「あなたはトイレに行っといて」

「いわれなくてもそのつもりだったさ」

 俺はそれもそうかと思いつつトイレへと向かう。

 そして俺がトイレに入って、五分くらいの時にドアが叩かれる。

 俺がドアを開けると、そこには水着姿の四人が居た。

 何というか、こうして見るとゆめってやっぱ胸が大きいな。

 そこまでスケベじゃないと思う俺ですらそう思うレベルなのだから、

どのくらい大きいかは推して知るべきである。

 幸美はクールで小さめ、夏葵はむしろボーイッシュな印象を受ける。

 由莉は普通すぎて何ともいえない。

 俺は変態ではないと自負しているし、カップ換算をする気にはならない。

 だが、一番小さいのは夏葵だろう。

 むろん、俺もトイレで着替えていたが男物の水着に興味はあるまい。

 幸美はセパレートタイプで夏葵は競泳水着、

由莉はワンピースタイプでゆめはビキニだ。

 ビキニを選ぶ辺り、ゆめは色気で勝負したいんだろうか?

 俺としては真面目に練習をして欲しいところだ。

「どうかな?」

 真っ先にそういったのは意外にも由莉だった。

「似合ってるんじゃないかな?」

 無難な対応をしたと思う。その後他の奴にも聞かれ、対応も無難に終わらせていた。

 だが、ゆめに聞かれたときはこう返さざるを得なかった。

「何というか、目のやり場に困るな……」

 すると、彼女はこういってきた。

「私は演劇部だからね。魅せるのは当たり前よね?」

「それもそうだな」

 そういいきれる辺り正直すごいと思いつつ、俺はどうにかやり過ごした。


続く

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