トーナメントへのエントリー
俺は和久井真彦。至って普通の脇役だ。
色々あってリア充爆散団を倒した俺だが、脇役がそういうことをしちゃいけないルールなんて無いはずだ。
リア充爆散団を壊滅させた翌日、俺は夏葵にこういわれた。
「夏休み明けには魔道の学園大会があるから、参加してみない?」
「別に異論はない。だが、他の連中はどうなんだ?」
するとゆめはこういう。
「スケジュール次第ね。開いている時なら問題ないわ」
「私も問題はないよ。もしかしたらお兄さんと会えるかもしれないし」
幸美はこういう。
「由莉は寮暮らしだけど、その気になれば土日にも会えるよね?」
「まあ、面倒くさいけど私もやるわ。他のみんなもやる気になってるんだし」
それを聞いた夏葵はこういう。
「大会は9月入ってからすぐの土日だから、スケジュールも問題ないと思うわ」
「それなら確かに大丈夫ね」
俺はこういう。
「で、俺は個人戦に出ないぞ。団体戦なら問題ない」
男女の身体能力の差は同じく男女の魔力の差で相殺されるので、
魔道においては男女混合のチームを作ることが許されている。
距離が離れてしまえば魔力の差には意味が無くなるので、
魔力の男女差は魔道においてのみ意味を持つ。
「なら、あなたが大将ね。私は副将やるから」
「ちょっと待て、何で脇役の俺が大将なんだよ!?」
「出番が回らなきゃ大将は案外目立たないものよ」
そこまでいわれたら俺も断りきれず、こういった。
「分かったって……たく、どうしてこうなるんだろうな?」
するとゆめがこういう。
「なら、私が先鋒をやるわ。兼部だからあまり練習は出来ないと思うし……」
「じゃあ、親友の私が次鋒やるわ」
幸美は納得したようにこういう。
「面倒くさいけど、私が中堅なのね。分かったわ」
「お前ら物分り良すぎだろ……」
「ねえ、真彦」
幸美がいきなり声をかけてきたので俺はこういった。
「どうしたんだよ幸美?」
「練習、付き合ってくれないかしら?」
「別にいいが……やっぱ俺をライバル視してるのか?」
「否定はしないわ。あなたは私に勝ったんだから、越えるべき壁と認識させてもらうわ」
「クールに何いってんだか……俺は脇役だぞ?脇役なんてあっさり越えられるだろ」
「脇役同士の切磋琢磨も、物語の醍醐味よ」
「確かにそうかもしれないけどさ……男と女だぞ?」
そういった俺に対し、幸美はこう断言した。
「気にするほうが、却ってそれを意識させることになるわよ。そういうのは気にしないの」
「仲間として、か。それなら問題ない」
続く