嫉妬の金、愚者の炎
俺は和久井真彦。至って普通の脇役だ。
俺はどうにか間橋穂花を倒し、仲間と共に熊田史菜の元へとたどり着く。
「真彦、あなた一人で来なさい」
「それを聞いておける私だと思うの?」
そういったのは由莉だった。
「私が金属性使いだってのも割れてるみたいね。でも、これでいいわけ?」
「何がいいたいの?」
すると、幸美がこういう。
「このまま行けば、ただのリンチになりかねないわ。穂花さんは私達を認めたけど」
するとゆめがこういう。
「でも、届出は出してるよね?なら、躊躇無くフルボッコにしても……」
「それじゃあどっちが悪役か分かった物じゃないぞ、由莉」
「本当、そういうとこはお兄さんに似なくて良かったのに……」
「ゆめは由莉の兄のことを俺より先に知ってたのか?」
すると、夏葵にこう突っ込まれる。
「あの二人は親友なんだから、知ってても不思議じゃないわよ」
「それもそうか」
すると史菜はこういう。
「通報も済ませているとは、抜け目が無いのね。いつの間に出してたのか……」
「夏葵が出したといっていた。だが、サシで勝負する」
「仮に負けても治安部隊が来る……そういう算段ね」
「でも、負けるわけにはいかない。脇役だからってここで勝っちゃいけないルールもない」
「あなたは、脇役になりたいの?」
史菜にそう聞かれた俺はこういう。
「ああ。脇役は主役を支える尊い存在だ。脇役が居て初めて物語は成立する」
「なら、脇役らしくとっとと失せなさい!プラスチックナイフ!」
史菜はそういってナイフを投げてくる。
「そおい!」
意識をナイフに集中し、両手を合わせる。
いわゆる、白羽取りだ。
ナイフにやる技じゃないが、彼女から精神的優位を得るためにはこうした方がいいと睨んだ。
「まだよ。ハンドレットナイフ!」
大量のナイフが俺に向かって降り注ぐ。
「バーニングフィスト!」
だが全て一点に集まるなら、拳から放たれる炎で勢いを殺せる。
そして同時にそれが目くらましになる。
「くっ、どこだ?どこに居る?」
俺は史菜の右に回り、こういう。
「バーニングトルネード!」
炎を纏った回し蹴りが、彼女に命中する。
「まだよ。まだ私の嫉妬は消せやしないわ。シルバースラッシュ!」
俺は身を引くが、かわしきれない。
「切られたのに、なぜ笑っていられるの?」
だが、史菜は逆に戦慄していた。俺が笑っていたからだ。
「どんな絶望的な状態だろうと最後まで笑っていると決めたんだ」
「それだけの理由で?」
「それに、少し傷を負ったくらいなら絶望でもない!」
俺はただの拳で史菜を殴り飛ばす。
「うっ……私の負けね」
「じき治安部隊もやってくる。俺の、勝ちだな」
そういって俺は仲間の元へ歩みよっていった。
リア充爆散団編、完