夏葵との出会い
俺は和久井真彦。至って普通の脇役だ。
俺はゆめと一緒に平田のショッピングセンターに来ていた。
夏葵との出会いがちらしによるものであることを説明すると、
俺がどうしてそのちらしに興味を持ったのかを聞かれた。
「俺は魔道に興味があってな。今までぱっとした部活も無かったし入ってもいいかと思ったんだ」
「意外と軽いノリだったの?」
「まあな。それまでずっと帰宅部だったわけだし、そこは気分だ」
「気分で副部長になったわけ?」
「なし崩しさ。一番最初の部員だからってんでそうなった」
するとゆめは不思議そうにこういう。
「断る事だってできたはずよ。そういうのに強制力はないし」
「断るのも何か悪いと思った。ただそれだけだ」
実際俺が副部長をやっているのはそれだけだ。
俺は特に夏葵への興味が湧いたわけでもないし、
魔道が特段得意というわけでもない。
幸美との戦いの時は夏葵の特訓にみっちり付き合わされたのと、
この学園での実戦は5段階評価の4を貰ってるからあそこまで出来ただけだ。
まあ基礎は覚えたから、大会に向けて鍛錬するのも悪くはないかもしれない。
脇役だからといって大会に出ちゃいけないルールはないし、
部活物であるなら脇役が大会に出なきゃむしろおかしい。
魔道は柔道や空手のようにチーム戦があるため、
団体で出場したって別におかしいことじゃないし。
とか考えていると、ゆめがこういってくる。
「意外とあなたってお人よしなのね」
「俺は脇役がお人よしでもいいと思う。だからそういうこともやってるだけだ」
「そこでも脇役の拘りは強調するのね」
「当たり前だろ。俺は脇役だし、そうありたいんだ」
「あなたのその心がけはよく分からないけど、一つのあり方ではあると思うわ」
「そういわれると何だか照れるな」
俺はそういった後、ゆめにこういう。
「で、これからどうするんだ。メダルゲームでもやるか?」
「メダルゲームなんてやってる時間は無いわ。格闘ゲームでもしない?」
「格闘ゲームか。正直コマンドとか覚えるのは苦手だな」
「へえ、魔道の技は結構しってそうなのに」
俺はゆめにこういい返す。
「格闘ゲームのコマンドって割と難しいぞ。簡単な奴もいなくは無いが」
「こういうのは慣れよ。といいたいけど、そうね。なら簡単なのにしよう」
そういってゆめが指差したのは子供向けキャラの格ゲーであった。
「たしかに、ボタンも少なくて単純そうだ」
「まあ、これは小さい子供でも遊べるようにしてあるからね」
続く