ラーメンと通信器具
俺は和久井真彦。至って普通の脇役だ。
俺はゆめと一緒に平田のショッピングセンターに来ていた。
そんでもってラーメンの行列に並んでいた。
ようやく俺達の番が来たので注文を取る。
「塩ラーメン一つ」
「俺は味噌ラーメンの餃子セットだ」
「合計1650オラクルになります」
ゆめが700オラクルを俺に渡していたので塩ラーメンが700オラクル、
味噌ラーメンの餃子セットが950オラクルだ。
オラクルは俺達の国の硬貨で、大卒生の初任給が大体20万オラクルだ。
まあ、ラーメンの餃子セットなんてこんな値段だろう。
痛い出費では無いが、ちょっと奮発している感じがする。
「はい」
俺はレジ係に1700オラクルを渡し、おつりとして50オラクルを貰った。
そして渡されたのは番号が刻まれた簡易通信石だ。
ラーメンはできるまでに時間がかかるので、
簡易通信石を渡して貰いでき上がりまで待つ仕組みになっている。
簡易通信石はスマートフォンに使われているもの程ではないが小型で、
粗悪な物なので何か起きたら色が付くくらいの通信しかできない。
ただそうはいっても緊急時や呼び出しといった簡易な物であれば、
色が付くくらいでも充分なのでコストの安さを理由に使われているのだ。
「色が緑色に変わった……」
ちなみに簡易通信石は青色で、赤は緊急用として使われる。
青や赤以外は好みによって照らされるため、
事前に身内だけで使って合図にすることもできる。
とはいえ悪用する場合はいくらか人数が必要なので、
トランシーバーみたいな物だと考えられ規制は取られてない。
魔法によるテレパスがあるといえばあるものの、
やはり魔力を使うためトランシーバーを使った方がいい場合もある。
魔法は万能にも思えるが、際限なく使えるわけではない。
そのため通信器具は開発がそれなりに続けられており、
今ではスマホの開発競争が進められているのだ。
そう考えつつ俺はラーメンを取り、
それに胡椒を入れる。
ゆめはラーメンに何も入れなかった。
席に戻ると、俺は彼女にこういわれた。
「真彦ってラーメンに胡椒入れるんだ。喉渇かない?」
「胡椒入れたほうがおいしいしな。喉の渇きなんて気にはならない」
「そういうものなのね。渡し、あまり水は飲みたくないから」
「むくれるからか?」
「まあ、むくれは心配だからね」
怒らずにこう返す辺り、演劇部としてそういうのにも気を使っているらしい。
「とりあえず、いただきますだな」
「いただきます」
こうして俺達はラーメンをすするのだった。
続く