冒険者生活
久しぶりです。
初の依頼を終え、次の日の朝。
朝日が薄く照らす中、レイは目覚める。
レイは外に出て、井戸の水で顔を洗い、最近日課としている。槍術の稽古を始める。
最近段々と、身体強化のやり方が分かってきた気がする。…なんか、こう。体内の魔力を血液に溶かして体を巡らす感じ…かな。
…うん、やっぱり、なんか体が一気に軽くなった。
レイは、槍を握り、新たな槍の感触を確かめるように、ゆっくり振っていく。
うん。この槍にも、少しずつ、慣れてきたかな。先端が重くなってるから、重心の置き方がまだイマイチな気がするけど、…さ。
足を組み替え、身体強化を意識しながら、淡々と槍を振るう。槍を自分と体の一部として、捉え20分近く一通り自己流の型を試し終えると、固まった体がいい感じに解れてきた事に納得し、薄っすらと掻いた汗を冷たい水で流し、朝食を取りに宿に入る。
宿の中は、すでに何人かの、客が眠たそうな顔をしながら食事を取っていた。
料理を運んでいた、ニーナが振り向く。
茶色のワンピースに白のエプロンを着ている。
「あ、レイさん。おはようございます。朝から鍛錬ですか?流石冒険者さんですね!。」
「ははっ。おはよう。鍛錬ってゆう程じゃないよ。軽く運動でもして慣らそうかなってさ」
うん。可愛い。揺れる赤い髪が可愛い。笑顔も可愛い。これは朝から元気でるなぁー。
「すぐ、朝食にしますか?今日はカボチャたっぷりのスープと焼きたてのパンとチーズですよ。」
「うん、お願いするよ。あ、そうだ。少し前にさ、森で幾つかキノコ取ってきたんだけど、どれが食べられるか教えてくれないかなぁ?腐らせるのも勿体無いし、晩御飯にでも使ってくれたら嬉しいんだけど。」
「あ、そうですかぁ。はい。たぶん、大丈夫ですよー」
レイはニーナに礼を言うと、二階に上がり、服を着替える。
それにしても、良かったー。キノコ腐らせるのも勿体無いし…あ。ギルドに買い取って貰えるか聞けば良かったのかも…ま、いいか。
にしても、このハーフプレート着るの大変だなぁ。結構重いし…10キロぐらいあるよなぁこれ。改めて自分の体の万能さに感動だよ。前なら絶対着たら動けなかったかも…ハハハ。
レイは装備を整え下に降りて空いている席に座る。待っている間にアイテムポーチからキノコを、入れた袋を取り出す。
中身を出すと赤や茶色や黄色など、様々なキノコがテーブルに転がる。
…うん。結構集めたなぁ。40個近くあるし…
結局、食べる勇気なんて、無かったから一つも減ってないけど。さ。茶色の以外は本当に食べれるのか疑問だしな。
「うわぁー。沢山集めたんですねぇー。マリムダケに…エレキダケに…」
後ろを振り向くと、いつの間にか、料理を持ったニーナが立っていた。
「ん?ああ、森で野営してる時に暇だから集めたんだけどさ。食べれそうなのあるかい?」
ニーナはテーブルに料理を置くと一つずつ手に持ってじっくり見ていく。
「えーと、はい。マリムダケとカーキダケは食べれますよぉ〜。
エレキダケは食べれると痺れちゃうし、ポイズンダケは毒が有りますからむりですねぇー
ネムリダケは食べれますけど、沢山食べれると眠くなっちゃいまよー。…あ、これニセマリムダケだ。これ、マリムダケに似てるけど、強い毒性が有るんでうっかり食べちゃう人多いんですよねぇー。冒険者が森で口にして、そのまま冷たくなっちゃうこと良くあるらしいですよー」
「な、成る程。2つしか食べれなかったかぁー。ま、名前で大体予想はついてたけどさ。じゃあ、食べれるのは10個かぁ」
「そーですねー。あ、他はギルドに持っていけば買い取って貰えると思いますよー。冒険者になる前の子が薬草集めたり、キノコ取ったりしてるって聞いた事あるので多分ですけどぉー。じゃあ、コレは晩御飯に使っちゃいますねー。美味しいキノコ料理楽しみにしててくださぁい」
「そっか。じゃあ。買い取って貰うことにするよ。うん。じゃあよろしく。晩御飯楽しみにしながら、頑張って稼いでくる事にするよ。ははっ。」
その後、朝食を取ってギルドに向かう。
ギルドの中は朝方という事もあり、冒険者達で溢れている。
うわぁー結構早く来たつもりだったけど、結構多いんだなぁ。…いや、昨日夕方よりはマシかなぁ。
依頼板の方は…うん。Eランクは冒険者で溢れててる。
文字読めないのに取り合いとかしても仕方ないしなぁ。…どーしよーか。
「あ!!レイさん!」
名前が聞こえたので振り向くと、昨日と同じ格好をしたミーシャが居た。少し顔が赤くそわそわした印象を受ける。
「ん?ああ。ミーシャ。おはよう」
「お、おはようございます!ええと…あのき、昨日はあの、その、…すいませんでした!!…ええと」
「ん?……ああ、酔ってた事かい?良いよ別に全然気にしてないから」
そう言うと、ミーシャはホッと息を吐いた。
「そ、そうですか。ょかった」
「うん、あ、ミーシャ。今日もサポーターお願い出来るかい?昨日と同じで7.3で」
「ええ!!も、もちろんです!今日も討伐系の依頼で良かったですか?」
「うん。なんかいい感じの探して来てくれるかい?」
「わ、分かりました!任せて下さい!」
そう言うとミーシャは依頼板の周りの人の波に入って行った。
やっぱ、文字が読めないって不便だなぁ。ミーシャにでも、教えて貰おうかなぁ。
しばらく待っていると、ミーシャが一枚の紙を持って出てくる。
「お待たせしました。こっちが、ウォーターフロッグで3匹で大銅貨6枚です。森にある三か所の湖の何処かには必ず居るので比較的見つけ易いと思いますよ。」
「ウォーターフロッグって…蛙かい?…ああ!そういえば、屋台で食べた記憶があるな。」
「はい。50センチ位の蛙ですね。口の中に水を貯めて攻撃してくるのと、ジャンプ力は凄いですが、動きは遅いですし、水攻撃も鬱陶しいだけなので比較的人気の依頼ですよ。お肉もみずみずしくて美味しいですし」
「成る程。見つけ易いっていうのがイイね。昨日は探すの大変だったし。よし。じゃあそれにしよっか」
「はい!」
◻︎◻︎◻︎
その後、2人は森に入り湖を目指して2時間程歩き続ける。
最初に、目指した湖は全長20メートル程の小さな湖で、ウォーターフロッグと呼ばれる大きな蛙以外にも、数種類の魔物が居たが、他の魔物に気付かれないよう慎重に、石などを投げ比較的近くに居た二匹のウォーターフロッグを呼び寄せる。
最初こそレイは、ウォーターフロッグのジャンプ力に驚いたが、比較的楽に二匹を倒す事に成功する。
その後も、ミーシャが他の魔物の注意を引いている間にレイがウォーターフロッグを倒すというやり方で計8匹を倒し、解体する。
「よし、じゃあまだ全然時間あるし、途中で休憩を挟みつつ、他の湖を目指そっか。」
「そうですね。ここからだと北西に3キロ程の場所が近いですね。休憩は途中に冒険者達が休憩に使う開いた場所があるのでそこを利用しましょう。」
「へぇー。そんな場所があるんだ。知らなかったよ。いつも良く利用するのかい?」
「はい。そうですね。昨日は川方面だったので利用しませんでしたが、初心者冒険者達が良く利用してる場所ですよ」
「あれ?初心者だけなのかい?」
「はい。高ランクの魔物は森の奥に有りますから、行くだけで1日掛かっちゃいますから、利用するのは初心者だけですね」
「へぇー。あんまり、強そうな魔物を見かけないのは奥に居るからなのか」
「はい。強い魔物は魔力の濃い場所を好むと言われてますから。そのせいかと」




