町へ再び
町を目指し、レイは大きなカバンを一つ背負い歩いていく。
レイの格好は革鎧にローブを被り、
腰にフラミーの剣、後で確認したら鋼鉄剣だった。と短剣2本背中に槍、そしてリュックを背おっている。アイテムポーチを付けている。
アジトはいちを、緊急用にとそのまま使えるようにし厳重に蓋を閉め、土を被せカモフラージュして、隠してある。余程のことが無ければバレたりはしないだろう。
…重い。流石に欲張り過ぎたかな
カバンに入っているのは売る予定の武器だ。片手剣4本に曲刀一本、弓4本に、矢筒が5つ
。それと宝石2つ。
重い、全部の荷物を合わせるとおれぐらいの重さなのんじゃないか?いや、流石にそこまでではないか。
それにしても大丈夫だろうか、いや、格好は前と違うし、顔だってきっとバレてない…はず。…きっと…そうだと良いな。
町に歩いて行くと、時折人とすれ違う。複数の冒険者であったり、馬車であったり。
冒険者を見る限り、おれはそこまで変ではないと思う。
朝、日出と共に歩いて来たが、ようやく町に着いたのは、16時ごろ?だろうか
門番へと近づき、ローブを深く被り、ステータスを操作する。ちらっと顔を見ると、どうやら体格からして、小太りのオッチャンである。
良かったぁ。この前の人じゃない!!運が向いて来たぞ!
向こうからは話し掛けて来ないので、此方から話しかけながら、近づく。
「すいません。町に入りたいのですが。」
小太りの男がこちをらチラッと見る
「ん、そうか、なら市民証、冒険者カード、その他を見せてくれ」
予想通りの答えに安心する
「すいません。田舎から出てきたもので、何も持って無いのですが」
男の目つきが細く鋭くなる。
「ん……そうか。ちょっとローブを取っちゃくれないか?」
ギクッ!!やっぱり怪しまれてるな。まぁ、三日前の事だし仕方ないよな
レイは極力平静を保ちつつ、ローブを外す
男は一瞬目を見開いて、止まる。
「お、あんた結構男前だな。…金髪か…それに槍待ち…いや、流石に…じゃあ、ちょっとコレに触ってくれ」
男は水晶を取り出す。そして、もう片手は剣の柄に手を当てている。
出た!!!危険探知具!!大丈夫だよな!?大丈夫なはずだ!!
レイはゆっくりと手を伸ばし水晶に触れる。
「……緑か。…じゃ、銀貨1枚と銅貨5枚くれ。銀貨は証書があれば返すぞ」
「…そうなんですかー。分かりました。」
良かったぁああ。かなり、怪しまれてたけど何とかなったぁああ
レイはアイテムポーチからお金を取り出し渡す。
男はレイからお金を受け取ると、紙を出す
「それじゃあ、あんた名前なんだ?」
「え、あ…レイです」
そうか。と男は紙に何やら書きレイへと渡す。
「それじゃーこれ、領収書な。ようこそ、レイ。トュルエラの、町へ。あ、最近殺人鬼がウロついてるって話だから、外出る時は気を付けろよ」
ギクッ
「さ、殺人鬼ですか。こ、怖いデスね。どんなやつ何ですか?」
「さぁなぁ、金髪の槍使いの男って話だぜ」
「そーですかーきをつけます。」
そして、レイは初めて、町の中へと入っていく。
門をくぐると大通りが目に入る。地面に布を敷き物を売る行商人らしき人たち、食べ物の屋台、八百屋など、周りの店から売り子が元気に何かを売り込んでいる。人も行き交い、思っていたより活気がある。
さらに見ると人種も様々だ。褐色肌や白人や黒人、それに獣人もかなり見受けれる。
おお!凄い!異世界だよ、うん!あ!!ウサ耳!!あ、なんだ男か。おお、あれは何の獣人だろ?…スゲー。なんかこれ見れただけでも来て良かったよ。
レイはかなり興奮しており、キョロキョロとあちこちを見渡し、町の光景に魅入っていた。
しばらく呆然と立っていると、チョンチョンと服の袖が引かれ、我に返る。右下を見ると130cmほどの茶髪の少女が立っていた。
少女は少し薄汚く、体も細く、薄汚れたワンピースを着ている。そして頭の上にはチョンと小さなキツネの耳が生えていた。
「お兄さん、ピピは、入りませんかぁ?とっても、あまくて、おいしーよぉー採れたばっかりでーしんせんだよぉ」
少女は両手に籠を持ちレイに不安げに見上げてくる。籠にはピピの実が7つ乗っている。
だが、どれも、傷が入っていたり、小さかったりととても正規品とは思えない
レイはしゃがみ少女に笑顔で、応える
「本当だ。美味しそうだね。じゃあ7つ全部頂くよ。いくらだい?」
「え!ほ、ほんと!え、あ、ありがとーございます。えっと一つ銅貨2枚です!!えっと、7つでえーと8、10、12…銅貨12枚です。」
可愛いなぁー。ケモミミだし。格好からして孤児なのだろうか。計算間違えてるし、この感じじゃ、客に小銭誤魔化されたりしてそうだな。
「ふふ、いや、7つなら14枚だよ。はい、どうぞ」
レイは銅貨を取り出し少女に渡す。そして、籠からピピの実を受け取り5つはポーチにしまう。
「え、あ、ありがとーございます。!!」
一つを服で擦り齧る。
「うん。とっても美味しいよ。買って正解だったね。そーだ名前はなんて言うの?」
「え、レナっていいますぅ」
そうか、レナちゃんか、と言いながらレナの頭を撫でる。ピンと立っていた耳がへなへなと倒れ、頬かほんのりと薄紅くそまる。
背中で見えなかったキツネのシッポか左右に振られている。
「はい、レナちゃんも、美味しいよ」
と、レイはもう一つのピピをレナの口元へと運ぶ
「え?………あむ」
レナは驚き、レイを見つめる、がお腹も空いていたのでそのまま齧る。
レイはニコリと笑い、また、少し撫でる
「うん。じゃあ、また美味しいのが採れたら買わせてもらうよ」と言って手を振り歩き出す。
子供って可愛いなぁー。今まで殺伐としてたから癒されるよ。
さて、まずは宿探しだな。あ!レナちゃんに聞けば良かった。…まぁいいや、そこら辺の人に聞こうっと
レイはしばらく大通りを歩き、屋台を見つけたので、近づく。褐色肌の男性が何かを焼いていた。見てみると何かの肉のようだ。
「これは何ですか?」
「おお、いらっしゃい。ウォーターフロッグの肉さ。美味いぜ。一本銅貨2枚」
「そーですか。なら、2つ下さい」
と、ポーチから銅貨を出し渡す。
「はいよ、ちょっと待ってな」
「あ、そうだ何処かオススメの宿ってありませんか?高くなくて、ご飯が美味しい所探してるんですけど」
「ん?…そーだな。…それなら《白夜の月光亭》って所が良いんじゃないか。値段も普通よりちょっと高い位だし。飯も美味いぜ。この屋台の次にな。ハハッ。」
「そーですか、えーと場所って何処ですか?」
「ああ、このまま、まっすぐ歩いて次の十字路を右に曲がって五分くらいのとこだ。青い建物だから、すぐ分かるぜ、はい、お待ち」
「わかりました。ありがとうございます」
「おお!また買ってくれ」
レイを串肉を貰い言われた通りに歩き出す
あむ、うん、鳥のもも肉って感じだな。これ何のタレだろ。変わった味だけど美味しいな。このタレ買えないだろうか…。
しばらく歩き続けるとようやく、目的地に着く。
青のペンキで塗られた、二階建ての木造の建物だった。
早速中へと入る。
中は一階が食事処となり幾つのかのテーブルには客が酒を飲んだりしていた。
ウエイトレスらしき女性がレイが入って来たのを知り近寄ってくる。160㎝ほどの赤い長い髪を後ろで括りポニーテールにしてる女の子だ
歳は少し下ぐらいだろうか、白い肌にブルーの、大きな目がとても愛くるしい、なかなかの美少女だ。
「いらっしゃいー。わーお兄さんイケメンさんだね。食事?それとも、泊まり?」
「泊まりで、お願いします。部屋は空いてますか?」
「うん、空いてるよー、へへ一名様ごあんなぁーい。じゃーカウンターのとこに来て」
どうやら、この宿は当たりのようだ。
可愛い子がいるなら、寝床が牛舎でも我慢できる。…いや、ちょっとシンドイかも。
「えっとシングルなら一泊大銅貨2枚。食事付きなら3枚だよ。食事は朝と夜の2回。前日の夜までに言ってくれればお昼のお弁当を銅貨5枚で作れるよ。どうする?」
「じゃあとりあえず食事付きで5泊頼むよ」
そういって、レイは大銅貨を15枚出す。
「やった!じゃあここに名前書いて」
女の子は表面を磨いた木の板を出す。
「あーすいません。字書けないんですよね」
「あれ?てっきり良いとこの出だと思ってたよぉー、じゃあ、代執は鉄貨一枚だけどサービスしたげる!お兄さん名前は?」
「レイです」
「れー、いっと、あ、レイさんお湯はどうします?小さい桶なら鉄貨5枚で大きいのなら銅貨1枚だよー」
「お湯ですかー欲しいですね。…それなら…夜は大、朝は小とかでお願い出来ますか?5日分払いますので」
「レイさん綺麗好きなんだねー。うんうん!高得点だよ、うん。じゃあ、えっと…」
「銅貨7枚鉄貨5枚ですね」
と、硬貨をだす。
「レイさん…字読めないのに計算は早いんだね。変なの、ふふー。」
確かに…。レイは適当に笑って誤魔化す。
「はい、じゃあこれ、部屋の鍵ね。出掛ける時は私に渡してね。部屋は階段上がってすぐの部屋だよー。今、カンテラ用意するね」
女の子は棚から明かりの魔法具を取り出す
「はいこれね、魔石が切れたら教えてね。無駄遣いはダメだよ。ご飯は日が暮れてから2時間後までだから、気をつけてね。お湯はいつ持っていく?」
「はい。わかりました。用意が出来たらすぐにでもお願いしたいですね」
「はーい。」
レイは鍵を受け取り二階に上がっていく。
部屋は4畳ほどの小さな所だった。シングルベットと小さなデスクと椅子それと服を掛けるタンスがある。 カバンを降ろし、タンスにローブを掛ける。カンテラをベットの近くのテーブルに置き、ベットに腰掛ける。
あーーやっと座れた。ずっと荷物背負ってたから結構肩が凝ってるな。レイは肩を回し、凝りをほぐす。他にも足や腕など痛む所をストレッチして伸ばしていく。
…はぁ。さて、これからどうするか。
正直この町に長居するつもりはない。顔は見られてないとは、いえ声などでばれてしまう可能性がある。そもそも隠蔽スキルがある以上それに対する対策もきっとあるはずだ。絶対にバレるわけにはいかない。
今、考えてみるとフレミーも隠蔽スキルを使ってこの町に出入りしていたのだろうか。
せめて、隠蔽がレアなのか結構持ってる人が居るのかを確認したいな…そうだ!見まくればいいんだ!!鑑定で片っ端から見まくろうそれでスキル保持者の割合が分かるはずだ。
うん、明日は1日鑑定だな
コンコンッ とドアの向こうから音が聞こえる。どうぞと声を掛けると、先ほどのウェイトレスがお湯の並々入ったバケツを両手で持っている。かなり重かったらしく。ゼェゼェと肩で息をしている。
「お湯お待たせしましたぁ。中身は零さないように気をつけてねえー…はぁはぁ。使い終わったら廊下に出して置いて下さいねぇ」
「ああ、ありがとうございます。えっとそういえば名前聞いてませんでした」
「ふふ、私はニーナよ。よろしくねレイさん」
ニーナが可愛くウィンクする。…可愛い。
「はい、こちらこそお願いします。」
レイも微笑み返事をする
「あ、ちなみに、金貨一枚で私が背中を拭くサービスがあるよぉ。ふふっ」
「それはまた随分安いですね。手持ちが足りないので受けれそうにありませんが、ニーナさんなら白金貨でも安いでしょうね。」
「ふふっ。なら、レイさんだけは白金貨一枚ね」
「しまった。値上げされてしまった。正直者は報われないのですね」
とお互い軽口を言い合う
ニーナが去った後、服を全て脱ぎ体を拭く
あー、お風呂入りたいなぁ。シャンプーとか石鹸欲しいなぁ。
大浴場とかないか探してみるか
次回は15時頃予定してます




