町へ
レイは町へと向かっていた。アレからついに太陽が沈み辺りを暗くする頃になり、ようやく門の前まで辿り着く。
門の前には30代?ぐらいの男が立っていた。
暗闇から現れたレイに気づき、松明をレイに向け話しかける。
「やぁ、あんた運がいいね。今ちょうど閉めようかと思ってたとこだったよ」
「…え?そ、そうなんですか?!良かったぁ間に合って。最近野宿続きで、そろそろ宿に泊まりたかったんですよ」
よし!言葉は通じるぞ!!第一関門クリアだ!
「ははっ。そうかい。それじゃあようこそ、トュルエラの町へ。市民証か、冒険者カード、その他証明書を見せてくれ」
なに!?市民証?冒険者カード?やっぱりそういうのいるんだな。
まぁ、訳のわからないやつを勝手に入れたりは出来ないか
「…。あー、えっと、遠くの田舎から出てきたもので、そう言ったのを持ってないんですよね」
「ん?ああ、そうかい、冒険者登録もしてないのか。なら銀貨1枚と銅貨5枚出してくれ。銀貨は後日、証明書を見せてくれたら払い戻せるぞ。銅貨は入場料さ」
以外と取られるんだな
レイはポーチから、お金をだし、門番に近づき、渡す。
あ、そうだ。
いちをこの人見とくか。鑑定
名前 ジョン・ターナル
年齢26歳
体力300
魔力115
レベル7
武器スキル
・剣術レベル1
・投擲レベル1
魔法スキル
・生活魔法(火レベル1
ん?そんなに、高くないし、スキルも大したことない、これで門番務まるのかよ…ん?レベルの割に魔力が、かなり高くないか?
「……ええ、わかりました。コレでいいですか?」
ジョンは受け取ったお金を松明に近づけ灯りで確認すると、腰につけた袋にしまう。
そして、透明の水晶を中から取り出す。
「ああ、大丈夫だぜ。んじゃ、一緒に警備所まで、行こう領収書渡してやるよ。」
「ええ、わかりました。お願いします。」
良かった何とか入れそうだな。
ジョンは、町へと向き歩き出そうとするが何かを思い出し振り返る
「いけね、忘れてた。その前にこれに触れてくれ、ま、いちを規則だからな」
ジョンは腰の袋から、水晶の様な物を取り出す。
「これは?」
水晶?暗くてはっきりは見えないが水晶の中に何か緑色の文字が中に刻まれている。
「ん?危険探知具だよ。ま、簡易版だけどな」
「…危険探知具?」
「なんだい、そんなのも知らないのかい?」
何、もしかしてかなり当たり前の物なのか咄嗟に口から出たから今更知ってる振りも出来ないよなぁ
「…え、ええ。うちの村はかなり田舎だったもので」
「へぇ。危険探知具知らないなんて、そりゃまた随分な田舎だな。危険探知具ってなぁ。犯罪者が触ると色が変わるんだよ。それで安全かどうか調べるのさ」
「へぇ、なるほど。それは便利ですね。」
ジョンが危険探知具を突き出したので、槍を持ってない左手で触れる。すると、色が透明から赤色に、変化する。
「ああ、まぁ、だいたい犯罪者なら、触れようとはしな…なに!?赤!!?だと!?…テメェ、犯罪者か!!!」
「え?……は?…え?…ええ!??違いますよ!!わ、私、犯罪なんてしてま」
「ウルセェー!下手な嘘吐くんじゃねぇ!!犯罪者じゃなきゃ青色になんだよ!!クソっ危ねぇ!もう少しで入れちまうとこだったぜ。」
ジョンは慌てて、距離を取り危険探知具をしまい、腰の剣を引き抜こうとする
「ま、待って下さい!!。ご、ごご誤解です。本当に犯罪なんてしてません!!!」
なんだ!?どういう事だ!??犯罪者?何なんだよいったい!!!
「嘘つくんじゃねぇ!言い訳は警備所で聞く
持ってる武器を捨てて、大人しくしろ!!テメェが犯罪者の、持つスキルがある事はバレてんだよ!武器を捨てろ!!!」
「す、スキル!?…ま、待って下さい。そんな物おれ……!!。もしかして、鬼畜スキルの事ですか?」
レイの言葉を聞き、ジョンは目を見開く。
「な、なにぃ!!?鬼畜スキルだとぉ!?おお、お前、殺人鬼じゃねぇか!!!クッソなんで、俺の時にこんな事に!!」
ジョン、剣を引き抜き構える。
ヤバイヤバイヤバイ。なんだよ殺人鬼って!!
「ご、誤解です!!確かに鬼畜スキルは持ってますがこれには事情が!!!」
「100人以上殺しといて、事情も何もあるか!!大人しく投降しろ!!今なら、犯罪奴隷で済むように上に掛け合ってやってもいい。これ以上の抵抗は処刑だ!!!今すぐ武器を捨てて投降しろ!!」
門の騒ぎが聞き町の中から誰かが近づいてくる足音が聞こえる。
は、犯罪奴隷!!?しょ、処刑!?何なんだよ、いったい!!ダメだ話が通じそうにない!どうする!?投降するべきか?いや、事情なんか説明したいって意味ない。通じるワケがない。クソっ!!
考えている間にジョンが、一歩踏み出し、剣を振り上げる。
ヤバイ!!
レイは反転し、慌てて走り逃げ出す。
「ま、待て!!!止まれ!!!クソっ!」
レイが逃げ出したのを感じ慌てて追いかける。が、レイの持つ身体強化スキルの恩恵か、ドンドン距離が開き、気がつけばジョンの姿は闇で見えなくなってしまう。
ハァハァ…クソ…クソ!なんだよ、誰が殺人鬼だよ!!クソ!せっかく町へ入れると思ったのに!!また逆戻りかよ!!くそっ!金返しやがれ!!クソ!!
レイはジョンが、見えなくなった事にも気付かず必死に走り続ける。
気がつけばまた、森の中へと戻っていた。
いつの間にか森の中に入ることに気がつき、後ろを振り返る。後ろは真っ暗で何も見えない。何かが走る音も聞こえない。
どうやら、逃げ切る事に成功したらしい。
しばらく、歩き。呼吸を整える。
少し開けた場所を見つけ、座り木にもたれる。
あまりの、出来事に暫く呆然と空を見上げていた。
鬼畜スキル…殺人鬼の持つスキルとか知らないよ……書いてなかったもの。…説明にさ…クソぉ、クソォ…。
選ぶんじゃなかった。大人しく槍術削っとくべきだった。…いや、そうしてたら、きっと俺は今頃狼に殺されてる。…クソ。なら、どうしたら良かったんだよ。
…これからどうすりゃいいんだよ。
レイの心の絶望と対をなすかの如く
夜空は星々で鮮やかに輝いていた。
レイのサバイバルは再び始まろうとしている。
町は1話で終わるというね…ははっ。これから一体どうなる事やら。やっと鬼畜スキルの全貌が表れて来ましたね。




