【等価交換】
「放ったの......か?」
怒り狂った奴なんだ、そのくらい普通にやるだろうとは思ったが 改めて聞くとやはり驚く。
「......そこに現れたんだ。無差別殺人で唯一 しっかりとした思考をとった奴がな」
落ち着いてきた大河は ゆっくりと ただ無我夢中に話し続ける。また今度は無我夢中にマキの手を強く握る。
「そいつをかばったんだ。 ......それが......秋山だよ。 馬鹿げた奴は俺の妹」
「......馬鹿げた奴......か......。でも......紗奈が取りそうな行動だね......」
もちろん驚いた。 驚いたけど そこまで爆発的に驚いたとはまた違う。
もう最初から、身体の底の底だけが分かっていたような感じがしてしょうがないからだ。
「これで話......つながるだろ? 紗奈をかばって秋山は死んだ。 紗奈は秋山を犠牲にして生き残った」
「秋山......死んでしまったんだよね......。 んじゃなんで今 秋山がいるの......?」
下を向いていたマキは 顔をあげ、大河の方を見る。
「あぁ......、それはあれだよ。妹がさすがに自分のせいって思ったらしくてね。等価交換ってやつ? 自分の記憶と魔力全部、あとは俺のくだらない記憶だって」
「魔力全部......んじゃ今はゼロ......? 死ななかったんだね......よかった」
「うん、それも協力者のおかげだよ」
午前4時。 先程まで話していた辛い話も終わり、番人の仕事も無事に終わった。
言い換えれば......念願の睡眠時間が始まる。
深夜の長い廊下を歩き続け、やっとついた自分の部屋の扉。 ついた頃には4時半を過ぎていたが、睡眠時間はまだ1時間半ある。 ないよりは......マシだ。
さすがに疲れ過ぎたマキは、勢いよくベットへダイブ。一瞬のうちに眠りに落ちる。
それから1時間半後......あっという間に流れる時間は、たとえどんなに疲れた人間もお構いなしに起こしてしまう。
時間通りに起きたマキ。疲れているが......仕事があるため、嫌々ベットから立ち上がる。
完全に行く準備を終わらせるまでの時間は約15分。 15分の間で着替え、歯磨きなどを全て終わらせる。
全て終え、部屋を出ようとするマキ。 衝撃的な出来事は 部屋を完全に出て、歩き出そうとする時だった
「......何」
完全に驚きを隠して言うぶっきらぼうな短い言葉。
目の前にいたのが......棗だったからだ。




