【ダンボール】
「な......なんで......」
さすがの俺でも驚きは隠せなかった。
目の前の部屋は他と比べられない程古い。 周りに積んであるダンボールの間に その秋山がいた。
「言っただろ? 君でもこれはどうしようもないよね」
少し声を発した後 秋山は棗の横を通り、部屋に入った。
「藤田、出てきていいよ」
秋山は手を叩いて何かの合図を出した。
ガタガタッ
棗のすぐ隣のダンボールが大幅に揺れた。
大河か、紗奈か? 悠もいるんじゃないのか?
そうずっと思っていた間に なぜか揺れが止まってしまった。
「......は?」
「やっぱりなぁ...... 棗、ダンボール どけてやって」
どけてやれ? 精神じゃねぇの?
ガコッ
静かにダンボールをずらした棗。
中にいたのは......
「......誰......」
中にいたのは...... 紗奈だ。
「誰がって......」
1年前......だよな、最後に会ったのは......
「おい 秋山。 どうゆうことだよ 」
目の前の紗奈から視線をそらし、秋山を睨んだ。
「言ったろ。 精神的に問題があるって。 ......見たことないかい? この子の状態」
「見たことないかって......」
だんだんと声が薄れるにつれ、右拳が力強く握られた。
......俺が初めてあっち(学園)に行った時じゃねぇか。
記憶がないまま重傷を負った俺を学園に連れていったんた秋山。
その時 変に荒れてた少年の妹、それが藤田 紗奈だ
兄妹とも 年に合わずかなりの実力者だったが、兄貴はそのせいでわがままに
妹は、自分の能力に恐れ誰とも触れ合わなくなった。
どうにか変わらせようと学園中が力を込んだらしいが、なかなか変化がないままだった。
その後、俺をつれて来たあとに 秋山が思い切り兄貴をぶん殴ったらしい......
その出来事により、やっと変わったらしい藤田兄妹。
「......戻った......のか?」
「そう......。 大河はまたあの頃に......そのせいでここから逃げ出したらしいね」
マジかよ......。