2nd period
今回またキャラ増やしまーす。
嫌ってやらないでくださーい。
良い子なんです!
読もうと思ってくれた方で
もし、読みにくい人がいたら教えてください。修正します。
「ようやく目覚めたか」
よかった。人の声がする。死んだら無になるものだとばかり思っていたけれど、そうでもなかったようだ。
他人も存在しているし、自分の体も心も無になってはいない。こころなしか体が軽いような気がしないでもないが・・・・。
まあここは生きた人間が存在することは不可能な世界なわけだし、天国だからきっと空のずっと上にあるはずだから気圧の関係とかもあるんだろーな。
と、勝手に解釈しておくことにする。
ん・・・・待てよ。ここは天国でこうやってオレが生存できているわけだから・・・・・・
このことを下界のヤツらに伝えれば、それだけですげー存在価値なんじゃねーのか?人類永遠の謎だと思われていた死んだあとの世界を発見したんだから、そこらの偉人、ってゆーか人類史上最も凄いことだろ!
でも、他の人もいるしなー。やっぱり、下界に行くことができないのかなー。
くっそー、『人類の永遠の謎、死後の世界を追求・解明した男』として、銅像でも作ってもらおうと思ったんだがなー。
いや、いっそ金像とかで。
なんかオレさっきから、存在価値とか偉人とか目立とーとしてんのかな。もしかしてほんとは目立ち『たがり』だったのかな。
生前はそんな性格じゃなかったはずなんだけど。
いや、実は目立ちたかったのかもしれないな。未来に名を残したいだなんて考えてみれば、あの某有名アニメののろまでグズな子と同じ発想じゃねえか!
アイツは確か・・・・歩いて月へ行こうとしたりしたはず・・・・・・。おかしな道具の力を使って。
まあ、一晩でその夢は途絶えてたけどさ。
失敗しているあたりもそっくりだわ。いやだなー、あんな取り柄のないことが取り柄のようなキャラクターと同じなんて。
取り柄はいくつかあったようだけど。
射撃とか。
あんなヤツにもあるんだからオレにもあるだろ。正確には『あった』か?
冒頭部で触れていたはずだぞ。確かいやになるくらいあったはずだ。数ページ戻って確認してくるわ。
・・・・・・こんなことも可能なんだぜ?死んだあとだからな。死んでなくともお前らには容易いことなんだろうけどな!
まったく・・・・こっちの世界はしんどいぜ!
・・・・・・戻らなくても思い出してきたわ。
あー、やっぱりオレは取り柄がなかったことが取り柄だったことにしておいてくれるかな?
そっちのほうが色々都合がいい。
「おい、お前。此方へ来い」
と、男の声がした。
あ、そういやさっきも何か言ってたな。丁度いいや、この世界のこと聞いてみよう。
そう思って顔をあげてみるとそこには数人集まっていた。いかにもオレに興味を持っている風だ。
「あ・・・・その前に、ここって天国?じゃなかったとしても死んだあとの世界だよな?」
「その疑問も此方で解説する。早く来い」
一番に疑問に思ったことを聞いてみた、というか確認したかったんだけど、どうもこのまま素直に言うことを聞いていると手駒になりそうだ。
それに癪に障る。なんとかして自分のペースにしたい。
「それくらい答えろよ。『そう』か『違う』か。たった二、三文字だろ。そっちに行った瞬間オレがアンタに消滅させられたりすんじゃ――――痛っ」
蹴られた。ここから3m程は距離があるはずなのだが、さらに、ここは周りより1m程高いはずだけど。その女は、助走も、ましてや勢いさえつけずに跳んで――そしてオレの後頭部に空中後ろ回し蹴りを決めたのであった。
「もう一度リヒトさんにアンタなんて言ったら次こそあたしがアンタを殺してやるわ!」
そうか。この女はこの男・・・・・・リヒトってやつに忠誠を誓っているわけか。ふん、良い手駒だ。
「エルン。落ち着け。何事も武力で解決するわけじゃあない。今ので敵意を抱かれたらどうする」
「・・・・・・ごめんなさい」
そういって女はオレに頭を下げる。声は明らかに不満そうだが。
「いいよ」
オレは無表情・無感情でとりあえず応えておいた。言葉の謝罪とは表面上のものだから。それに、この女は露骨に嫌そうな態度をとったわけだから、此方も同じような対応で構わないだろうという考え方だな。
しかし・・・・・・殺してやる?
確かにアイツ、エルンと呼ばれた女は『殺す』という言葉を使ったよな。もう死んでるっていうのに・・・・・・消滅させるってことか?
その言葉に引っかかりながらオレは何気なく顔を見た。男の。
「ア、アンタは――――オレを殺した――――」
「またアンタって言いやがったなぁあ!」
「エルン」
男がそう言うと蜘蛛の巣に絡まったかのように僅かも動かなくなった。少しして落ち着きを取り戻したのか、ようやく拳を下ろした。
「それで・・・・だ。お前・・・・・・お前はなにか勘違いをしている。あの時、確かに私は共に革新を起こそうと言ったはずだが」
「あぁ・・・・そういや言っていたような気もするな」
「そして私が今、お前の前に居る。これだけで第一の疑問は解決したように思うが」
「確かに・・・・・・」
確かにこれ以上の証明は今、この場においてはないだろう。
明らかにコイツの右腕から稲妻は発生していたはずだ。自分がだしたもので死ぬなんてことあるわけない。
つまり、オレは生きているようだ。
なーんだ、金像作ってもらえねえなあ。
「他になにか」
男は言う。
「なにか聞きたいことはあるか?まあ、あるだろうが」
「ああ・・・・『ここはどこだ』と『何故オレを連れてきたか』だ」
「ここがどこかは今は言えないな。何故連れてきたか・・・・か。その問いには、お前が心に強い憎悪心を抱いていたからと答えることになるだろう。」
「・・・・・・目的は」
「その問いには、世界を変えるべくしてと答えておこう」
「・・・・・・」
「どうした?お前も思っているのだろう?こんな世界、『滅んだほうが良い』と」
まるで人の心を見透かしたかのような言い方。しかし、共感できる。それどころか一人でも日々常々そう思ってきた。
力さえあれば行動に移そうと思うぐらいに。
「だとすると・・・・・・ここはその目的の為に集まった集団ということか」
あえてわかりきったことを質問する。
「そのようだな」
男は何故か少しとぼけた言い方をする。普通に答えるときはこういった言い方になるのか・・・・?
「で、アン――リヒトがコイツらをまとめているわけか?」
「リヒトさん、だろうが!」
そういってまたこのトビムシが跳ぼうとする。もっともトビムシは逃げるときに跳ぶらしいが。
無論、トビムシが跳んでくることはなかった。またも男に止められている。
「そうかもしれないな」
と男はまたとぼけるような口調になった。しかし、おそらく彼がリーダー的存在であることは間違いないだろう(さん付けされていることや、さっきからトビムシを従えている様子を見る限り)。
ちなみに、先ほどからトビムシなどと呼んではいるが、勿論容姿が似ているわけではない。あれは跳ぶ姿だけを喩えたものだ。
しっかり見てみると男勝りだとしか思えない性格とは裏腹に、綺麗な顔立ちをしていた。人形のように美しい・・・・とまではいかないが。光り輝いている瞳は水晶を埋め込んだかのようだった。
そして、鮮やかな漆黒色の髪は首の後ろで結っているようだ。
動きやすくする為だろうが、服装は上下赤いジャージだった。これはこれで性格を活かせそうな服装なので良いのだが。
おとなしくさえしていれば、和服を着ていても似合うだろう。勿論、本人はジャージを気に入っているのだろうからそんなことは言わないが。
「な――なに見てんだよ!え、えっと・・・・名前は?」
・・・・しまった。思わず見蕩れていてしまった。しかし、垣間見えた八重歯がさらに彼女の容姿に加わった。一層、活発に見える。
「名前?」
思わず聞き返してしまった。
「そう、名前だよ、名前。知らねーと呼べないじゃん」
「名前・・・・・・は」
わからない。いや、わからないんじゃなくて物凄い撞木に叩かれたせいで忘れたんだろう。
でも、他の事ことはいやなことまでしっかり覚えているのは何故だろう。まるで、名前だけ作為的に記憶から消去、デリートされたような・・・・・・。
「へ?」
エルンは再度聞き返してくる。
さっき見た残りの三人の内二人は既にいなくなっていたし、残っている一人も眠っている。
なんとかこのことを言い訳にしてこの場は回避して思い出そう。知らないとか忘れたとか言うとこのトビムシはすぐに跳んできそうだからな。
「こ・・・今度他の人も居るときに教える」
多少の恐怖心もあり、うまくごまかして言えずに別に今でもいいじゃねぇか!とでも突っ込まれそうな返事になってしまった。のだが、彼女はそっかー、じゃあまたあとで教えてねなどとまったく疑っている様子はなかった。
そうか!節々に感じてはいたけれど、この女アホだ!確定要素に加えておこう。
「今後・・・ソイツのことはアルとでも呼んでおけ」
・・・・・・む。勝手に名付けられてしまった。まあいいだろう。どうせ名前は思い出せなないし、適当な名前を考えるのと何一つ変わらないだろう。
「りょうかーい!」
それに、この女もこれで良いようだしな。
「それより敵・・・・って、どんなやつらのことだ?」
「それは此方で説明する。ともかく此方へ来てこれを見ろ」
先ほど蹴りを食らったので既に寝かされていたベッドからは落ちているわけで。といっても数メートルあるわけだからここからは見えないし、とりあえず近づくことにする。
モニターにはなにやら勢力図らしきものが映し出されていた。三つに分かれている。
「これは?」
「我々と俗に言う敵の勢力図だ。黒の固まりが我々だ」
三つにわかれた勢力は赤と青、そして黒に色分けされていた。黒が味方か。あとは赤と青だから、敵は少なくとも二勢力以上ってわけか。
「あとのどちらかの固まりは政府なんだろうけれど、あと一つはなんだ?」
「赤が政府軍だ。そして、青はオンフルーという団体だ」
オンフルー?聞いたこともない名だ。
「ソイツらは?何者だ?一体なにを考えているんだ?」
「・・・・・・世界平和維持だそうだ」
若干タメが気になったがまあいいや。特にそんなに意味はないだろう。
それより、世界平和維持が目的か。確かオレたちの目的は革新を起こして世界を変えるだったよなあ。端的に言えば、今の世界を破壊するってことだ。
維持と破壊かー。そりゃあ相容れねえわなー。
「つーことは、政府とソイツらは仲間ってことか?」
だとしたらヤバイんじゃねえの?二対一ってことだろ?
「仲間・・・というよりは手を組んでいるといった感じだな。必ずしも疎通できているわけではない。」
「なるほど」
「そろそろ状況は呑めてきたか?どうやら政府軍が攻撃してくるようだ。早速だが、戦陣に立ってもらう」
政府軍が・・・か。なんでそんなことわかんだ?まあいいや。それより問題は・・・
「オレ普通の人間だし、武器もねーから犬死にするだけだって!」
ということだ。
「案ずるな。既にお前には『力』がある。今回はエルンとパートナーを組んで今すぐ戦地へ向かってくれ」
『力』がある?オレに?一体どんな力が・・・・・・
「えー?あたしー?まあ、いいけど」
「オレにどんな『力』があるのか知らねえけど、例えその話が本当だったとしてもオレには使い方がわからねえ!戦地へ行ったところで何もできず犬死にするだけだ!」
「ともかく行ってこい。あと、これをつけておけ」
「・・・・・・わかったよ!」
こちとら一度は諦めた命だしな!今更死んだとしても、少し長く生きただけで変わらねえ。行って死んできてやるよ。
「で、これはなんだ?」
渡された腕時計のようなものを見ながら尋ねる。
「それはここの軍の者なら誰でも持っている物だ。私どもとはそれでのみ通話できる。その他にも多々機能はあるが」
「あたしも持ってるよー」
「わかった。じゃあ行こうぜ」
考えてみりゃあ、聞く必要なかったな。オレがここに帰ってくることはないんだから。
それより、とっととここから出て行きたいという気持ちのほうが強いしな。
「エルン、頼んだぞ」
「あいあーい」
それからそんな会話があり、すぐに戦地、もとい死地にオレは向かった。
あ、ここ、オレ『達』じゃないとこがミソだぜ。良くも悪くも、幸福も不幸も、な。
最初の方、無駄な脱線が多すぎたせいで長くなってしまいました。
反省します。反省するけどまたやっちゃうかも。
以上2nd periodでした。
なんかの漫画だと『物語は急速に展開を広げる!!』なんて煽りがつくかな、うん。
まあ、実際次ぐらいからようやく話が動き出すかな?ってレベルです。
次回、乞うご期待!! ←煽りです。