1st period
キャラクター一人増えました。
12行目で記念すべき一言目の発言です。
滅ぼすなんて滅相もないことを言ったけれど、実際にそんなことをする力なんてあるわけない。あったらとっくに使ってるわ。
さて。空気も重くなってしまったし、外にでるとしようか。もしかして、外はおろか部屋からも出れない引き篭もりとかだと思ったりしてないよね?
そんなに重度じゃないぞ?
閑話休題、それはさておき、だ。
特に向かうアテもない。まだ本を返していないのだけれど、図書館にでも行ってみようか。だいぶ日も暮れてきてそろそろ図書館も閉まる時間だろうから走っていかなくちゃ。走るのは苦手ではない。寧ろ得意なほうだ。 正直、普段から運動はしていないだけでこれから毎日体を動かせば、五輪にもでれるんじゃないかって自分で思ってる。
そんな風に、とにかく自身のイメージアップ及びキャラ付けをしているときだった。
「――――つっ」
思わず声が出た。後ろから視線を感じたために、後ろを振り返ると同時に。後ろから視られているだけなら、なにも驚くことはないのだが――――その男、掴み所がない、強いて言うならば不吉だろうか?言葉では言い表しづらい禍々しいオーラを放っている男は地面に立っていなかったのだ。
首を60度くらい上に傾けた先、普通の人間ならば位置することのできないところ。
つまり、電柱の線の上。
まったくライトノベル泣かせなやつだ。もっと正確に言うなら作者泣かせか?いや、読者にも伝わりにくいから前者で良いのか。ってなんでこんなに冷静なんだ?
そんなこの雰囲気にあわないことを気にすることもなく(頭の中で考えただけだからわかる筈ないけど)その男――――不吉な男は言った。
「強き憎悪の心を持つ漢よ。我らと共に革新を起こすのだ。拒否権は無い」
と。
いや、此方に訴えかけてはいるようなのだが。なんとか聞き取った感じでは。本当にというよりが合っているような大きさだった。辛うじて聞き取れるレベル。新幹線が隣を走ってるのに「おやすみー」っていうぐらいの。
・・・・・・いや、おやすみがいつどのタイミングで言うのかはわかってるよ?
寝る前だろう?
そんなこともわからない程馬鹿ではない。それだけ肉付けされてもこっちも困るってものだ。ほんとう。冒頭部分ではなにもないことが取り柄のような扱いだったのになー。
それほど話も進んでないのに。
「え、えっと・・・・・・」
と返事する。返事というよりは反射ででたような。
なにせ、此方は上空にいる人と話すのは初めてなのだ。もっとも、こんな事人生で一度きりだろうが。一度も経験しないことがごく普通なのだろうが。
「拒否権は無いと言ったろう。すなわち返事も無用。如何なる言葉も承諾だ。それ以外でも、それ以上でも、それ以下でもない。問答無用――――」
男は言い終わると同時に、その右腕を振り上げた。右腕から目映い限りの薄白い光が見える。目も開けられないような、そんな閃光が。目映すぎるので直視することはできないが、おそらく此方に向かってきていることは予想できた。
頭は自分でも嫌気が差すほど冷静だった。何故このような非日常的なことが起きているのにも関わらず、こんな判断ができているのかと。
死ぬ間際に見えるという走馬灯はこんな感じなのかなあ。
走馬灯というよりは自分が死ぬことがわかった人の心情かなあ。
そんなこと経験したことはないけれど(っていうかしたくなかった)、本にもよくあるさ。死ぬ間際だけ、冷静になったり、やたらと時間感覚が長くなったりすることは。
そんなことを考えている暇があるのなら、自分が助かる方法を考えたり、少しでも行動を起こして僅かな可能性に掛けてみろよって思うけれど、体は動かないものだ。
自分もそこらですぐくたばるかませ犬となんら変わらないことを実感した。
こんなにも無駄なことを考えているのだから。
すなわち、この瞬間にライゼという名のほら吹き(自虐)はこの世界から消える。
――――消滅する。
この人生はなかったことになる――――かもしれない。偉人ならば、名、それに功績すら残せるんだけれど。
しかし、自分は死んだほうがいいかも知れない、生きている意味がないかも知れないなんてことは日々常々考えていた。今さらジタバタしても仕方がない。
釣り上げられて、己の死を直感したときの魚たちのように受け入れよう――――死を。
全然成長できなかった。成長するまでの時間もなかった。さっききっと死んじゃってるなんて言ったけれど、死期はもうすぐそばにあったようだ。案外、第六感は感づいていたのかもしれない。
しかし考えてみると、お互いに人間なわけだ。釣り上げられて必死に言葉を伝えようとしてもそれができない魚じゃない。向こう視点だと魚同然かもしれないが。
ならば、名も功績もなにもないけれど、うっすらここの近所の人には噂だけでも残そうか。
――――不確かな。
ただの幻聴だと思うかもしれない。それでも、少しは気にかけてくれるだろう。少しは噂も広まって微かに記憶に残るだろう。
それだけでいい。
それだけの人間だったということだ。
人生終了を告げる白い撞木、鐘を鳴らす叩き棒が凄まじい速さで襲い掛かってきた。
最後くらいいい音色を残してやるさ。
鳴り響いた音色と共に幸せを祈祷しなよ。寺社で己の幸福を祈るときみたいにさ。
召されたあと、あの世で叶えてやるよ。
どっかからの受け売りだけど、叶えるという字は口に+《プラス》って書く。だから、口に出したらどんどんプラスなことが積み重なっていくんじゃねーの?
口に出して他人に聞いてもらうことで自分でも改めて自覚し、責任を負い、それでまた夢を叶えることに繋がるんじゃないか?
こんなこと最初に考え付いた人ってすごいな。
だから、口にだして祈ってみろ。叶えるために手を貸してやるよ。それが存在意義ってことだ。
・・・・・・じゃあ、いくぜ!
しっかりこの世に存在したことにさせてくれよ。・・・いや、させてください。お願いします!
「かああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁああぁぁぁぁぁっ」
6月3日、天候は晴れ。
薄暗い夕暮れ時、閑静でのどかな住宅街に背景を赤にして黒い不吉な鳥が数匹飛び立ったそのとき、一人の青年の悲鳴が鳴り響いた。
・・・・・・さながらまるで鐘のように。
一度目の鐘の音こそ大きかったが、その後に続いたものは、普段からよく聞く、何故鳴くのか子供たちにわかられていない、そんな鳴き声のようだったという――――。
なーんて。そんなの勝手でしょー。
最後の方よくわからないですね。作者もです。
かなり間が空きましたが、なにはともあれ二度目の投稿です。
執筆は遅いんですが、もうこんなには間が空かないようにやっていきます。