新期生定期面談log No.741001RT「霊場照陰」初回log
「はい、僕がその霊場照陰ですが……面談ですか。分かりました。すぐに向かいます」
どうもこんにちは、八折伏木です。
自分の中では霊場照陰という人物はいつでも冷静で知的な人物だという印象を受けるのですが、幽夜や愛渦に見せるような感じの、時折覗かせるいたずらっ子のような一面は一体どこから来たものなのか。そんなことがふと気になることがあります。今回閲覧する資料でそういった部分の由来が見られるかもしれませんね。
___じゃ、始めよっか。面談。ほなまず名前、教えてちょ。
「霊場照陰」
___ははっ、淡々としてんねぇ。キミほんとにまだ6歳児?
「はい」
___ほんとかなぁ、たまに聞く「コイツ人生2周目だろ〜」みたいなヤツ……キミみたいなののことを言うんだろうね。
「輪廻の話ですか」
___輪廻!!……マジで6歳児の語彙じゃないだろ、ハハッ!いや〜……面白いね、キミ。この面談の担当者としてじゃなく、個人的にキミと今度お話してみたいモンだよ。
「僕は構いませんが」
___マジで?じゃあ今度一緒に外にご飯でも食べに行こうか……っと、ゴメンゴメン今は面談も終わらせないとね。え〜……っと、あ、そうそうコレコレ。キミの“力”、どんなものなのかな?んで、どんな状況で発現したワケよ。
「……僕の発現した“力”は、これです」
___……お?何もない空間が裂けて……鎖か!へぇ〜こりゃまた硬派な“力”だねぇ、で?どんな時に出たんよ、コレ。
「……」
___……そっか、いや、そうだよな。キミの受け答えがあまりにも子ども離れし過ぎてて忘れてたわ、キミもちゃんとまだ子どもなトコ、あんじゃん。
「……この“力”は……」
___いや、いいよ。キミが答えたくないと思うなら、別に答えなくてもさ。別に答えを強制するものじゃないんだ、この面談も。
「……そういうことでも、ないです。ただ……思い出したい事でもないだけで」
___だったら、尚更言わなくていい。
「え……」
___ああ、ゴメンゴメン!柄にもなくちょっと真面目なカオしちゃったよ。怖がらせ……てはないか、キミそういうタイプでもないわな。驚かせてごめんよ……ただ、やっぱそれについては今は答えなくてもいい。いつかこの定期面談で……僕じゃなくてもいいんだ。話したいと思える時、思える相手に話してみてくれないかな。きっと少しは、助けになれるさ。
「……分かりました。覚えておきます」
___ああ、それでいいよ。じゃ次の設問は……何だったかな。ああそう、大体1ヶ月経ったけどある程度こう……仲良くできた子とか、いる?
「……五月蝿いのと、変なのがいます……仲良くしてるのかは……分からないけど」
___いいんだよそんなの気にしなくても。キミなんだかちょっと拗らせた20代みたいな思考してんのおもろいね。で、え〜と五月蝿いのと変なの……っと。名前は覚えてる?
「透鮫愛渦と幽夜」
___苗字までキッチリ覚えてるとは、さすがだな。幽夜って子は……なるほど。記憶喪失で苗字不明なのか。他にはどうよ。コイツおもろいヤツだな〜くらいでもいいからさ。
「……遺懐遠古。何考えてるか分からないから、気になる」
___遺懐……遠古ね。確かに、僕もこの前一回会ったけど不思議な雰囲気を纏ってる子だなって第一印象だったな〜。よし、人間関係についてもオッケーと。あとは〜……。
「……さっきから思ってましたけど随分適当なんですね、この面談の内容」
___……ああ、そりゃ僕が適当だからだね。この面談って漠然としか内容は決められてないんだよね。中身はほぼほぼ担当者の裁量さ。その方がその子に合った面談ができんだろって、僕がいつだったかに提案したらそのまま通っちゃったんだよねコレ。
「……担当者さんは……」
___カルロ、でいいよ。大体皆僕のことをそう呼んでる。
「カルロさんは、適当じゃありません。前言撤回します」
___ほう、そりゃ光栄だけど……どうしてまたそう思ったんだい?
「本当に適当に生きている人は、面倒がって意見なんて通したりしないと……思いました。カルロさんは自分なりに、物事に真摯に向き合っている」
___……あっ……はっはっはっ!
「……?僕は真面目に言ってるんですが……」
___あ〜……ははっ、ゴメンゴメン……まさかカウンセラーでも心理学の博士でもない、ただの子どもにそんなこと言われるとは思ってなかったよ。ホント……キミは面白いヤツだ。
「面白い……ですか」
___ああ、もちろん馬鹿になんかしちゃいないよ。……よし、今回の面談はここまでにしようか。
「随分……突然ですね。思っていたより短いし」
___確かに時間にすると短かったかもしれないけど、キミのことは割と分かったよ。それにまだ1ヶ月程度しか経ってない初回の面談なんてこんなものさ。でも、そうだね……時間余ってるし少しだけ、アドバイスをしようかな。
「……アドバイス?」
___そう、アドバイスだ。キミがこれから生きる長い時間を素晴らしい時間にしていく為に。
「これから生きる、時間を……」
___おっ、ちょっと興味もってくれたかな?それじゃあ……キミのこれから生きる時間に必要なモノ……それは、ほんの少しの柔軟さ。それからちょっとしたユーモアだ。
「柔軟さと……ユーモア」
___そう、キミは……さ。きっとキミの同期の誰より頭がいい。それは知識量だけじゃない、頭の回転の部分も含めてね。だけどきっとそれ故に……他の子のことが分からないだろう。どうしても価値観が合わないことは出てくる筈だ。
「他の、やつらの、こと……」
___そういう時に、思ったことをそのまま言わずに……ほんの数秒でいいから考えるんだ。そうすればそれを言うべきか言わないべきか、キミの頭でならすぐに理解できるさ。それができるだけで今よりもっとキミが触れ合える人間の幅は広がる。それって大きなメリットだと思わないか?
「……」
___ははっ、ごめんな。今すぐに理解しろとは言わないさ……でも、たま〜に思い出してみて欲しいんだ。ここで僕と……カルロと、こういう会話をしたってこと。それだけで、きっと意味がある。
「……ユーモアっていうのは」
___ああ、そっちな。まー柔軟さと大して意味は変わらないが……そうだな、あえてそれっぽい言い方をするなら……。
「……!」
___楽しい時間を沢山過ごせるようになる一番の近道は、素敵なユーモアを身につけることだからさ。
新期生定期面談log No.741001RT「霊場照陰」初回logより




