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未来予知

「俺もう死ぬかもしれない。」妻にそう告げた。


聞いた途端、妻の顔は一気に青ざめて、汗をダラダラと垂らしていた。きっととてもショックなんだろう。


「別に何か根拠があるわけでもないんだけどね。変なこと言って悪かった。最近は仕事も多かったし疲れているのかもな。今日はもう寝るよ。」


男は予言者だった。しかしアニメや漫画で見るようなものではなく、見た予言は絶対に変えられない。男はその能力で未来が見える男として、妻に隠れて老人からお金を巻き上げていた。神と崇められるには十分すぎる能力だった。しかし昨日、稼いだ金で遊び呆けた後、夜歩いていると不意に自分が死ぬ未来が見えたのだ。


(きっと病死だろうな。最近はなんだか妻の料理も美味しく感じない。)


妻は何も言わなかった。ひどくショックを受けているようで、申し訳なくなった。


翌日男は、保険会社に向かった。少しでも妻に金を残そうと、保険に入った。幸い健康診断の結果は良好だったのですんなり入れた。


それからというもの、男は何度も妻を外食に誘った。最後を楽しみたかったからだ。しかし妻はそれを頑なに拒否した。


「どうかしてるわ。別にいつも通り過ごせばいいじゃない。変なこと言わないで。」


外食は拒否したが、妻はとても明るくなった。こんなに明るい妻を見たのは、結婚したての頃ぐらいだったと思われる。


男は死んだ。特に何もない日だった。いつものように妻と夜ご飯を食べ、テレビを見てその後寝た。そのまま男が起きることはなかった。


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「それで、なんで夫を殺した。」警察官は問い詰めた。


女は答えた。

「別に最初は殺そうとは思っていなかったわ。料理に少量の毒を入れて試していただけだったの。体調でも悪くなればいいと思っていたのよ。」


「最初は?何かあったのか?」


「ええ。急にあいつが死ぬかもと言い始めたのよ。流石に焦ったわ。毒を盛っていたのがバレたかと思って、次の日尾行していたのよ。警察にでも行くかと思ったわ。でも違った。あいつは保険をかけたのよ。」


女は一息ついて言った。

「だから殺したのよ。まさかバレるとは思っていなかったけどね。」

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