ギルドの話はシチューと共に
おつかいを終え、僕は玄関の扉を開けた。
「ただいま〜」
すると素早く奥から、いつも迎えてくれる彼女がやって来た。
「お帰りなさいませ、エリス様」
「うん、ただいま!」
この綺麗な白く輝く短髪、そして視線を引き付けるたわわなモノをもち、いかにも清楚な姿をした彼女は、僕の家の召使い、アテナだ。
僕の母は生まれつき体が弱く、僕を産んだあとすぐにこの世を去り、その後を追うように父もその一年後に病死してしまった。なので僕は、アテナと二人暮らしをしている。
「はい、これ」
そう言って僕は買い物の入ったバッグを手渡した。
「ありがとうございます。そろそろお昼時ですし、ご飯の支度をしましょう」
気づけば、日は南に昇っており、時刻は十一時半を回っていた。どうやら少々道草を食いすぎたようだ。
「お昼はエリス様の好きなシチューにしましょうか」
「ヤッター!!」
おそらく今鏡をみれば、目に星を宿し、満面の笑顔の僕が映るだろう。それぐらい僕はシチューが大好きなのだ。……いや、正確にはアテナの作るシチューが大好きなのだ。
そんな僕を見て、アテナも優しく微笑んだ。
昼食の用意ができ、僕たちはテーブルの前についた。
「では、いただきましょうか」
「うん!せ〜の…」
掛け声とともに二人で手を合わせ、
「『いただきます!』」
そう言うと僕はすぐにスプーンを手に取り、熱々のシチューを口へと運んだ。
「あちっ!!……でも、おいひぃ〜!!」
「ふふっ。そう言ってもらえて良かったです」
う〜ん!やっぱりアテナの作るシチューは絶品だ!!
「……しかし、エリス様ももう七歳ですか……」
僕がシチューを頬張っているとアテナはそう呟いた。
僕は三日後に誕生日を迎え、七歳となる。
「とうとうエリス様もギルドに加入される時期が来るとは……」
『ギルド』
それは人々が人間の生活に有害な魔物や盗賊などの討伐・捕獲を目的としてつくった組織である。
この国では男性は七つになると、ギルドへの加入が義務付けられる。一様、十つになるまでは命に危険のない任務が与えられるらしいが……
「……」
「不安ですか?」
僕の食べる手が止まったのを見てか、アテナは心配するように言った。
「うん…」
「大丈夫ですよ。エリス様は幼い頃から物覚えが良かったので」
それは前世の知識があったからだ。すぐに喋れるようになったのも、字をかけるようになったのも、落ち着いた判断ができるのも……全部。全部、前世のおかげなのだ。
まだ不安が顔に出ていたのか、アテナは優しく囁いた。
「それに、私もついていますので」
アテナもギルドに所属している。ただ僕の父が死んでからは僕の世話もあってか、あまり活動していなかったようだ。
「……それなら、安心かな」
「はい!エリス様が慣れるまで、全力でサポートいたします」
それを聞いて、僕の緊張は和らぎ、心から安心できた。
おそらくそれは、アテナも同じだろう。
「明日は一緒にギルドに行ってみましょうか。手続きも済ませておきたいので」
「うん。分かった」
そうして僕らは残りのシチューを美味しくいただくのだった。
どうも吾輩です。
いや〜、次はいつになるかななんて思っていたら、まさかまさかの次の日に投稿することになりました!!
なんだか急にやる気スイッチが入って、原稿が進むのなんの。勉強はやる気でないのに……
この調子だと次もそう遠くないかもしれませんよ!!
さて、今回はアテナが登場しました。にしても、エリスは良いですよね。こんな美人でたわわ……いや、違う違う。こんな面倒見の良い召使いがいて。うちには召使いどころか、居候の兄がいました。(過去形)
ま、僕には召使いを雇うお金なんてないんですけどね…… (;´д`)トホホ…
まぁそんなことは置いといて、今回はここらへんでお開きにしましょう。
それでは次回もよろぴく!