異世界生活スタート
『アマタル暦359年』
まだ日が昇ったばかりの朝っぱらにも関わらず、町の市場は賑わいに溢れていた。
俺の名前はひのま……おっと、今は違った。
僕の名前はエリス。エリス・リーゼルだ。
あれはとある夏の日のこと、僕は川に溺れていた少女を救けようと川へ飛び込んだ。そしてなんとか少女は救い出したが……突如、僕の体は川の底へと引っ張られ、そのまま意識を失い、目が覚めると………そこはゆりかごの中。僕は異世界転生を果たしたのだ!!
これで平凡な生活とはおさらばだ!……と思ったんだけど、現実はそう甘くはなかった。
産まれたのは極フツーの庶民の家系。それと、僕が手に入れたスキルも《解析者》とかいうただ技の特性や相手の魔力量を知る事の出来る、強くはあるんだが、何とも地味なスキルだった。
ルックスは我ながら可愛くて、まさに小悪魔ショタって感じで良いんだけどね……
はぁ〜、どうせだったらもっとド派手でザ・最強みたいなスキルが良かったのに。
そんな淡い妄想をしていると八百屋のおばちゃんが話し掛けてきた。
「エリスくんじゃないか。お使いかい?」
「はい」
「そうか、エリスくんももうすぐ七歳だもんね。ほんと、早いもんだよ」
そう言うとおばちゃんは僕のバッグに野菜を詰め、
「いつもありがとね。またいらっしゃい!」
「はい!」
こんな他愛のない会話も、僕は嫌いじゃない。いや、寧ろ好きなのだ。
◇◇◇
(これで買うものは全部かな…)
買い物を終え、帰路についていると、
「よっ!!エリス」
聞き慣れた声とともにポンッと肩を叩かれた。
「セレン!?どうしたの?」
「いや〜偶然エリスを見掛けたからさ」
この子はセレン。僕の家の向かいにある鍛冶屋の娘さんで、小さい時から剣の稽古を付けてもらっている。僕より四つ上だが、まぁ所謂幼馴染ってやつだ。
「今日も稽古するか?」
「いや、今日はいいかな。おつかい中だし…」
「な〜んだ……そっか」
そう言うと彼女は少し残念そうな顔をしたがすぐに、何かを思い出したような顔して言った。
「…で!あの件についてなんだが……」
「あの件?」
「アレだよ!昨日のア!レ!」
僕は少し考えて、
「あ〜〜あの話ね。いくらセレンでも無理だよ。自分のスキルを教えるなんて」
「そりゃそうだよなぁ」
スキルを教えることは、自分の弱点を教えるのに等しいことだ。この世界では重要な個人情報の一つなのだ。
「でも、ギルドに入会するときには記入が必要なんだよ?」
「まぁ……それは仕方ないよ」
ギルドとは人間の生活を脅かす魔物や盗賊などの討伐・捕獲を目的として各地に配置されている組織で、その加入には氏名と入会金の銀貨3枚(銅貨100枚=銀貨1枚、銀貨10枚=金貨1枚)、そして、その人のスキルの情報が必要なのだ。
まぁぶっちゃけ僕のスキルは知られてもあんまり不備はないけどね。
「あぁ、そういやおつかいの最中だったな。わりぃ、止めちまって。つい長話しちまった」
「大丈夫、大丈夫!じゃあまたね!」
「おう!またな」
ニコニコ顔で手を振る彼女に背を向け、僕は家へと足を進めた。
なんやかんやで良い異世界生活かもなと思う僕であった。
どうも亜ヒ酸アルデヒドです。
……面倒臭いので次回からはテキトーに名乗りますね!
さて、『庶民出身の俺、転生しちゃいました。』第二話(実質一話目?)をご愛読いただきありがとうございます!!
いや〜〜、二話目ですよ!意外と投稿早くないですか!?(そんなことないか…)
このサイトの使い方がまだちょ〜っとよく分かっておらず、前回がどのぐらい読まれたのか分かりませんが、なにはともあれ、無事に二話目を投稿できて良かったです。
今回はちょっと長めに書いてみたのですがどうですかね?言うほどながくないですかね??
まぁ多分次回もこのぐらいの長さだと思うので楽しみにお待ち下さい!!
それでは今回はこの辺で!第三話でお会いしましょう!!