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庶民出身の俺、転生しちゃいました。  作者: 亜ヒ酸アルデヒド
第一章 【エリス・リーゼル】
13/16

サイドストーリー2 『今も、昔も』

前に「サイドストーリーは読まなくても本編に支障ありません」と言ったな。あれは嘘だ。

バリバリ絡んでくるぞ。だから読め。

 〜同日 午前8時〜


 今日も紅茶を飲みながら新聞を読む。私の朝のルーティーンです。ただいつもと違うのは、この新聞が、東の国々、主に『東方帝国群(とうほうていこくぐん)』の国で出回っている『帝国新聞(ドミニアス・ペーパー)』であるということ。


 「……『東南の勇者、魔王討つべく神聖(しんせい)へ』ですか」

 『神聖(しんせい)』とはこの地、アマタルのことだ。東方ではそう呼んでいるらしい。正直こちらではあまり見掛けない新聞だから、新鮮で面白い。しかし……

 「勇者が来るのは久しぶりですね。確か東南の勇者は最もSランクに近いとも言われていたはずです。流石の魔王様でも……」


 魔王様が負けようが、関係はない。そうよ、関係ない。今まで通りの……


 「…………今(・)ま(・)で(・)通(・)り(・)…?」


 ……本当にそうなのか?また、あの頃に戻ってしまうのでは?あの昔の生活に……もしかしたら、エリス様も。


 「東南の勇者……ロクリクス。東方の国の一つ。確かこの国は………」

 手に力が入る。新聞がクシャクシャと音を立てる。

 手が震える。手が……


 「おはよ〜、アテナ」

 この声は、エリス様!?いけない、平常心、平常心。……よし。

 「あら、おはようございます」

 もうこんな時間になっていたとは。新聞はここまでにしておきましょう。


 「じゃあ、行ってきまーす!」

 「お気をつけてー」

 バタンッとドアがしまった。

 「では、部屋の掃除をしますか」


   ◇◇◇


 「よーし、粗方(あらかた)終わりましたね」

 掃除を終え一段落つこうと思ったその時、ドアをノックする音が聴こえた。

 「はーい」

 ドアを開けると、そこには見慣れた人が立っていた。

 「どーもー、ギルドのものでーす。依頼を届けにきましたー」

 「あら、どうも。いつもありがと」

 「いえいえ、ではまたー」

 バタンッと思いっ切りドアを閉める。まったくせっかちなことだわ。


 私は月に一、二回程度でギルドの依頼を受けている。その際に、オススメの依頼が入ると、家に届くようにしている。さっきのは依頼宅配人のレティス。人はいいんだけれど、どうもせかせかしてるのよね。何をそう生き急いでいるのかしら?


 「さて、今回の依頼は……」

 どうやら、アマタルの西の方にある森で奴隷商の目撃情報があり、その奴隷商の確保と奴隷の保護の依頼らしい。アマタルでは奴隷売買は違法で、重罪として厳しく罰せられている。魔国(デミナス)の中ではこの国だけだ。

 私は主に、奴隷商の確保・殺害の依頼のみを受けている。しかし、

 「これ、Aランクの依頼ね。私はB+の依頼しか受けないから……あの子、間違えたみたいね。どうしましょう」

 悩んだ末、このまま受ける事にした。 そのほうが報酬が弾む。

 私は素早く身支度を調え、エリス様に置き手紙を残し、西の森へと向かった。


 「ここがアジトね」

 森に入り二時間、ようやく奴隷商の根城を見つけることが出来た。しかし、内部はもぬけの殻。既に逃げてしまったようだ。

 「勘付いたのかしら?奴隷を置いて逃げるなど、よっぽど捕まりたくないようね」

 見たところ奴隷は四人。私は素早く奴隷の入った牢を開け、開放した。

 「ほら、これで自由よ。ここから東に行けば街に着くわ。さあ、行きなさい」

 奴隷は怯えながらも、走って逃げていった。


 「さぁ、後は彼奴等の足跡を追えば───」

 その瞬間、体が痺れ、身動きが取れなくなった。

 (くっ!?これは…拘束魔法!?体が痺れて、一体どこから?)

 すると奴隷商の残党であろう奴らが三人ほど物陰から出てきた。


 「はっ!奴隷どもは逃がされっちまったが、これはイイ女が手に入ったなぁ」

 (くそっ!声も出せないから詠唱魔法も使えない。このままじゃ……)

 「さぁて、この女、どうするよ?」

 奴隷商の一人が尋ねる。

 「最近溜まってたからな。満足に使わせてもらってから奴隷として売り捌くか?」

 嫌……それは………!

 「いや、使っちまうと価値が下がる。それにこのくらいの年齢だとろくに言う事も聞かないだろう。バラバラにして闇市に流そうぜ」

 「いいなそれ。じゃあこいつは連れてくか」

 一人が賛同し、動けないアテナを籠に入れた。


 (嫌……嫌!やだ……ここから出して!……もう……)


 手に力が入らない。籠が運ばれ、ガサガサと揺れる。

 手が震えてるような気がする。もう────ない。


 「しかし、ギルドの差し金か?早めにまいて正解だったぜ」

 「こいつ、確かギルドで見たことあるぜ。ちっちぇえガキを連れてたな。かなりいい見た目だったぜ」

 「じゃあこいつの住所調べて、そのガキも仲良く捕まえて奴隷としてうるか。あーははははっ」


 (駄目っ!エリス様…エリス様だけは………もう…やめて……)

しかしアテナは何もできず、只々心の中で懇願するのみであった……

アリさんです。

……さっき本編を投稿したばかりなので何も言うことがありません。

ぜひそっちも読んてみて下さい。

にしても急展開……アテナ、彼女には何らかの過去がありそうですね。

今後の動きに要注目!!

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